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プロダクト開発の上流・下流という呼び方

うーん。。。と思ってしまう場面があります。
世の中には、言葉はあくまで言葉でしかないと割り切れる人とそうでない人がいて、そうでない人がしばしば周囲を困らせてしまうことがあります。
私も時々困っています。

上流、下流とは何を指しているか

まずその、「上流工程」「下流工程」を簡単に説明すると、以下のような感じでしょうか。

上流工程
・企画
・市場分析
・要件定義
・設計

下流工程
・UIデザイン
・実装、開発
・テスト
・リリース

プロダクト開発の工程は多岐に渡りますので、それを純粋に川の流れに喩えて表すのは非常にわかりやすくていいとは思います。

川の上流では大きなゴツゴツした岩が不規則に存在し、水の流れも乱雑です。それが下流に行くにつれ、岩と岩同士がぶつかって砕け、水流に磨かれて次第に大きさの揃ったすべすべの丸い石になる。
岩が砕けた小さな粒は砂となり、下流の更に先の大きな海に流れ混み、それが波に打ち寄せられて砂浜を作る。

そこに優劣は無いのです。すべては繋がっており、上流には上流の、下流には下流のそれぞれの美しさとそれぞれの重要な役割があります。

プロダクト開発の流れを地球の営みに喩えるだなんて、なんともわかりやすくてぴったりで美しい比喩だ、考えたのは誰だ!と感動すらします。

"上流" という言葉が違う意味に脳内変換されてしまう問題

ところがこの、工程のフェーズを表す「上流」「下流」という言葉が人々の思考に変な影響を及ぼしてしまうことが起こります。

「上流階級」と変換されてしまうという問題です。
確かに検索してみると、そう思わせる記事がたくさんありますし、
実際、報酬金額も高いことが多いのである程度は仕方ないのですが...

そこで。グラフィックデザイン力が著しく低い私ではありますが、どうにか視覚化できないかと描いてみました。

上から下に流れるという理解をやめてみる

上流1

確かに川は地球の重力に従って水が上から下に流れていくのではありますが、プロダクト開発の工程をこの図のように頭の中で描いてしまうとどうしても本来の喩えからズレてしまい、人間同士の上下関係という理解になりがちなのではないかと考えてみました。
ちゃんと見れば循環しているのですが、やはりこれだとどうしても循環よりも上下が目立ってしまいそうですね。

循環している事を強調した図で理解をしてみる

上流2

地球の営みでいうと、川が上流から下流に流れてやがて海に流れこみます。しかしここで終わりではないですよね。
海の水が蒸発して雲を作り、山に引っかかって雨が降る。その水が上流に集まり下流へ流れる。常に循環しています。
そんな感じで理解できないでしょうか。

よくあるプロダクトマネジメントの図を改めて見直してみる

チーム

最近関わっていたプロジェクトで、デザインも開発も未経験な方がプロジェクトマネージャーに就任したことがありました。
やたらとチーム内を分断させて、すべてがそのPMに集約し、そこから各メンバーに指令を出してきっちり管理するということを全力で目指していました。組織図まで作成してそれを遵守するように強く求められましたが、いきなりチームはうまく回らなくなりました。

プロダクト開発の過程で生じる問題や課題は様々です。時にはデザイナーと開発者が、時には開発者とビジネスサイドが、というように課題に応じてそれぞれの専門知識をもったメンバーが適切に自主的に即時に取り組めることが重要なのではないかとよく感じます。

工程と階級は別のことなのでは?

ここまで書いてきたように、プロダクト開発の工程を川の流れに喩えて「上流工程」「下流工程」と表すことは非常にわかりやすくて良いと思います。

それを全員がきちんと理解できていれば問題ないのですが、
「上流工程」= 「上流階級」というような変換をしてしまうと色々よくないことが起きます。

どの役割の人を欠いてもプロダクトは作れません。
開発工程と人事的な階級は切り離して理解した方がいいと思うのですがいかがでしょうか?

事実と意見も別のこと

ついでに言うと「事実」と「意見」も別のことだと思います。
それをごっちゃにすると会議がうまくいかないですね。

例えば、プロダクト開発の際にビジョンや仮説を立ててそこに向かって製品を作り、世の中にリリースするわけですが、
そのビジョンや仮説通りにユーザーが行動してくれないことはよくあります。

それは分析結果として数値で具体的に出ていることなので、「事実」です。
分析した人の意見ではないはずなのですが、「その意見はあるかもしれないけど...」と反論し初めてしまう場面をよく見かけます。

事実は事実なので反論しても動かしようが無いです。
ですから、事実を受けとめて、ではどうしようかという方向で議論するようにするとチームは活性化するでしょうし、信頼関係も深まると思います。

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