デザインシステムとFigmaとUIデザインおばさんを活用する企業
「自分のことを自分でおばさんと言うのは良くない。いつまでも気持ちは若く持たないと」
としょっちゅう言われますが、おばさんはいろんな意味でおばさんなので、私はこれからも自分のことを「おばさん」と言っていこうと思っています。
若い女性を指す言葉は「おんなのこ」→「おねえさん」のようにいきなり変わりますね。
しかし「おばさん」→「おばあさん」は、真ん中に「あ」がひとつ加わるだけで大して変わらないのが緩やかで良いです。
「さん」がつく頃から大人ってことなんでしょうかね。
さて、少し前から私の周辺では、下記の2つが特に重点的に言われていました。
デザインシステム作らなきゃ
Figmaにしなきゃ
「デザインシステム作ってください」という依頼が多発
以前、デザインシステムとはなんだっけということを会社のYouTubeチャンネルで話しましたが、よくよく話を聞いてみるとその大半はスタイルガイドとコンポーネントライブラリのことを指しているのでお引き受けしています。
「デザインシステム全体」はとてもじゃないですが私一人では到底作り切れません。
「デザインシステム作ってください」という依頼が私のところへ来る背景には、共通点がありました。
社内では作れないからなんとかしてくれ!というのが主旨です。
タスクに追われ、その都度場当たり的にデザインをして来て属人的
人の入れ替えや、デザイナーを増やすので早急に必要
「社内では作れない」というのは単純に手が足りないというよりは、ここまでにプロダクトのデザインを担ってきた若いデザイナーに経験や知識が足りておらず、「どう作ったらいいのかわからない」というのが実情のようです。
それで「おばさん」の出番となるわけですので、ありがたいです。
一気にみんなFigmaになった
XD, Sketch, Figma 使いやすいツールを選べばいいよ
とか、
用途や状況に応じて合うツールを選べばいいよ
という空気だったのが、ここ1〜2年、問答無用でFigmaになっているように感じます。特にモバイルアプリ、WebアプリのUIデザインを行う必要がある場面ではあまり例外に出会いません。
数年前、Sketchプラグイン "Material Theme Editor" が彗星のように現れましたが気づいたら無くなっていました。
Figmaプラグイン "Material Theme Builder" にはぜひ頑張っていただきたいです。時々動かなくなったりしますがとても便利で感動しました。
Figmaを使ってはいるけど使いこなせていない
みんなさっとFigmaを使うようになってすごいなあと思っていたのですが、どうやらそうではない問題が一部には存在していてこれがなかなか厄介です。
うまくいきましたという例はどんどんnoteやその他ブログに上がってくるので見えやすいのですが、うまくいかないことは明るみにはなかなか出てこないものです。
自分から直接そこに入って行って目の当たりにしました。
「これがデザインファイルです」と共有していただいたFigmaの内容を見て愕然とすることが続いたのです。
パッと見、画面のデザインはできているのですが、色々足りないんです。
Figmaのコンポーネントの機能をよく理解せず使っている
テキスト、カラーのスタイルが無い
横幅が変わったらいきなり破綻する
Figmaの素晴らしいところは、登場した時から「Collaboration」をコンセプトとして掲げ、ブラウザでもデザインできる点が大きいですが、私が使ってみて感激したのは、XDにはないコンポーネントをガシッと設計できることと、Sketchにはない直感的な使いやすさという点でした。
一例を挙げると、ボタンのコンポーネントを作るときに、アイコンの有無をtrue, false と指定して作っておくとframe上に置いたときに右側のインスペクタにswitchでアイコンの表示/非表示を変えたりできるんです。なんかすごいです。
Sketchは最初から色々とっつきづらく、大雑把に言うと「もう、使える人だけ使えばいいよ」という側面が実はありました。
Figmaの場合はSketchとはだいぶ事情が異なっての導入なのではないかと思います。(つまり割と問答無用でそうなったというような流れがあるように感じています。)
私は困っているデザイナー達を笑顔にしたい。
教育の現場でFigmaを教えることにした
そこで、それまで専門学校の授業ではAdobe XDだけを教えていましたが、今年から2年生の授業ではFigmaを教えることにしました。
ac.jp のメールアドレスがあれば、学生や講師は無料で使えるというのも授業に取り入れる障壁が無くてありがたいです。
まずはFigma独特のアートボードという概念がないことと、groupとframeの違いを知るところから。
ううむ、、、となっている学生達。
少しでも身につけて社会に出ていただきたいと思います。
UIデザインおばさんの活用
私は2010年からiOS, AndroidアプリのUIデザインをするようになったのですが、多くのデザイナーよりも始めたのが早かったようです。
検索しても情報がほとんどなかったので、ひとつひとつやってみるしかないという…いちいち時間がかかりました。
最初はFireworksで、次にSketch、しばらくしてXDも。
当時はデザインツールもまだ未熟でしたし、
その中でコンポーネントはどう作ったらいいのか、UIデザインツールの頻繁なアップデートに対応し続けること等、禿げるほど悩んできました。
そこから10年以上が経ち、少しはノウハウが溜まりましたし、デザインツールは劇的に進化しました。
若いデザイナー達の後方支援のような形でそれが仕事になるという状況が訪れ始めているのでしょうか。そうだといいです。
自分がメインのデザイナーとして仕事をすることも楽しいですが、こういうおばさん活用の場を設ける企業が増え始め、そこに呼んでいただく仕事も楽しいです。
最近私に来る仕事の依頼内容は、
デザイナーから嫌われがちな管理画面のデザイン
既存デザインファイルから「デザインシステム」を作る
が続いています。新しいニーズがおばさんにあるのかもしれません。