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文字起こししたもの「薄田泣菫」

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薄田泣菫作品で、青空文庫に無いものを個人的に文字起こししました。 読書に朗読に、どうぞご自由にご利用下さいませ。
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2024年4月の記事一覧

「五月の日光と陰影の戯れ」薄田泣菫


 雨がやんで、五月の空が晴やかに笑ひ出した。
 新鮮な藍色の空。あの寶玉に譬へられる名器、砧形の青磁の肌を思はせるやうな淡藍の空の潤ひ。その潤ひは私の心を動かして、素足の蹠に靑草の柔かい感觸を樂しませるべく、靜かな郊外へと引張り出さうとするが、とかく病氣がちで、この二三年が程は一歩も門を外へ踏み出した事のない私は、どうにもその誘惑に應じかねてゐるので、私はせう事なしに「空想」の翼に乗つて、ほん

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