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Vol.5 拒食症が過食症に変わった日-摂食障害

食べる食べないのスパイラル

 「しっかり食べよう!」そう思って食べ始めたとき、自分が恐ろしくなった。
4人家族の食材を食べ尽くしたのだから、相当な量を食べただろう…。
あまりのスピードと一瞬の出来事であまり記憶に残っていない。
それでも「お腹いっぱい。」という感覚にはならない自分が怖かった。
そして、「食べてしまった…。」という罪悪感が私を襲った。
どうしよう…。
太ってしまう…。
鏡を見るとお腹はダルマ状態で、体重計に乗ると3~4kgは一気に増えていた。
翌日からは、増えてしまった分を取り戻すように、食べない生活の繰り返し。
しかし、拒食症の頃とは反動的に一気に食事を摂った分、身体や顔がビックリするほど浮腫むようになった。
足を指で押すと凹んだまま戻らない。
確実に身体が異常を訴えていたが、その頃はまだ体重をコントロールできていた分、心は安定していた。
しかし、食べてしまった後は体重が戻るまで人には会うのを拒み、極度に周りの目を気にしていた。


食べてしまったら出せば良い

 「食べたい!」欲求がどんどん抑えられなくなり、過食をすることが連日続いた。
帳尻を合わせて体重をコントロールすることができなくなってきた。
でも未だに、太りたくない気持ちは変わらない。
「食べたものをどうにかして出せば良い。」そう思い、自主的に吐いたり、下剤を服用したり、とにかく身体の外に出した。
自分で喉に指を突っ込んで食べたものを吐く(自己誘発性嘔吐)は実際のところ相当苦しい。吐き切った後はスッキリするが、全部吐ききるまでに、体力も精神力も擦り減ってしまう。
そして、吐いた後は別人のように顔つきが変わる。
食事とともに大量の体液も出ているので、多臓器不全を起こしていただろう。
過食嘔吐は長くは続かず、下剤に頼り始めた。
服用量を守らず、大量に服用することもあったので授業中には何度もトイレに駆け込んだ。


外に出るのが怖い

 過食生活を続け、下剤薬では痩せるわけもなく、どんどん体重が増加し始め、ミルミル変わっていく自分が醜くて外に出るのが怖くなった。
だんだん、鏡に映る自分の姿を見れなくなっていった。
そんな理由で学校に行くのも怖く休みがちになったことで、母との喧嘩も絶えなくなった。
家にある食材を全部食べてしまい、朝になると学校に行かない。
そんな娘を優しくケアできるほど母にも余裕は無かったのだろう。
「こんなに苦しいのに何でわかってもらえないの…」とイラだち、生きることを辞めたら楽になれるのではないかと考えることもあった。


体育の授業は欠席

 拒食症時代、絶対に欠席することのなかった体育の授業ですら度々欠席するようになった。
理由は醜い身体で体操着を着るのを恐れていた。
美意識=自己肯定
他者からどう見えるかは関係ない。
自分をどう肯定しているかがとても重要で、拒食症のときは自分をコントロールして痩せていたので、自信を持っていた。
他者から見たら病的でも、私は自分自身を魅力的と感じていた。
しかし、過食症時は大きく違い、自分自身をコントロールできずに太っていくごとに否定的になり、自分を醜く感じていた。他者からは「健康的に戻って良かったね」と声をかけられていたが、心の中は拒食症時よりもボロボロになっていた。
露出が増えることもさることながら、外に出ることすら恐れるようになり、周りの視線や車に反射して映る自分の姿を見ることすら怖くなった。
そんな生活とともに約1年が過ぎ、高校進学へ。

Vol.6に続く→→→


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