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手紙①

2月13日(日)に申込を入れたものの、
売主が買主を誰にするか決めるまで、8日間あった。
2月21日(月)に誰にするかを決めます、と。
それまでは内見したひとの購入申込を受け付ける。
番手(申込を入れた順番)は関係ないです、と。

この8日間ほど、長く感じたことはない。

どうやったら、自分を選んでもらえるんだろう?
内見した時の、売主さんから見た私の印象は
悪くはないはず。

売主側の仲介担当者とのコミュニケーションも大事。
だから、レイに言った。
「売主側の仲介の気持ちも想像して、寄り添え」って。


レイはまだ売買仲介をやりはじめたばっかりだけど、
コミュニケーション能力が高い。上手。
才能がある。ほんでもって、おだやか。やさしい。

でも身内のこととなるとヤンキーっ気が出て
ケンカっ早いところがあるから(私に似ている)、
戦闘モードになりそうな時だけ、手綱を引いた。

レイ、おちつけ。

大事なメールのやりとりは横について、
一言一句、こうやって書いた方が
売主側の仲介は助かるよって
一緒に考えながらメールをつくった。

ガチよ、ガチ。売主側の仲介に嫌われても試合終了だからね。

レイの方(仲介同士のやりとり)はOK。


次は、私と売主さんだ。
さー どうすっぺか。

福田さんとレイには、
申込を入れた日からこう言われていた。


手紙かぁ。。。

正直、気がすすまなかった。
だって、自分が仲介担当をしてきた中で、
自分のお客さんが売主に手紙を書いたことで
うまくいったこともあるけど、逆もある。
その失敗の経験が、頭から離れない。


売主さん、
手紙をもらったらどんな気持ち?
熱くてちょっとキモくない?
引いちゃわない?

7日間、もんもんと考えた。

2月20日(日)のお昼くらいにレイが私のとこに来た。

レイ「ゴンさん、手紙、書かないんすか?」

私「うん。気がすすまない。書かない。
      案内行ってくる」

自分のお客さんのご案内して、
お別れして、そのあと車の中で、
片瀬山の空を見上げながら、最後にもう一回考えた。

書こっかなー、どうしよっかなー

自分が売主だったら、
手紙をもらうのは嫌じゃない。
内容によるけど。

手紙を書かないで
自分の気持ちを100%伝えきれないまま
断られたら?

後悔ずっと残るわ。

世界に一つとして同じ物件はなくて、
やっと好きになれた物件だもん。
ちゃんと告ろうと思った。
怖いけど。

フラれたら、しょうがない。
アリアナグランデの【thank u,next】爆音で聞くわ。
ちゃんとフラれたら、次に行けるし。
ぜんぶ、芸の肥やしだ。

フラれたら、きっとペンティとアリアナが慰めてくれる。


手紙、書こう。

レイに電話。


私「レイ、やっぱ手紙書くから、
      それ届けて欲しいから、帰んないで」

レイ「Okokっす!書きましょう!届けます。
        帰んないっす!」


片瀬山からオフィスがある由比ヶ浜まで20分。
ジムニー運転しながら、
めちゃくちゃ真剣に手紙の内容を考えた。


ラブレターだ。



つづく


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