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「いい血管」とはを写真付きで考えてみる

事の発端は、わたしのツイートでした。

もうね、看護師の性だと思ってほしい。
性的な嗜好とは関係ないのです…

そこから、なぜか血管モテ(?)の話になり

こんな感じでみなさんから腕の写真がめちゃ集まったので、「いい血管」について考えてみようと思います。

・いつも採血失敗される
・何度も刺される
・いい血管になりたい(!)

という人にも参考になったらうれしい。


そもそも、採血に適した血管って?

まずは、採血の手順からおさらい。

肘の血管を狙うのは、比較的露出させやすくて太い静脈が走っているから。
手の甲や手首にも血管はありますが、ベターではありません。

神経や動脈が近かったり、なんたって痛みを感じやすいという盲点があるのです。

狙う静脈の解剖についてはこちらをどうぞ。

いろんな血管がでてきますが、臨床では

肘にある太い血管に刺す

くらいの認知度なので、覚えなくて大丈夫です。
わたしも、すべての血管の名前なんて覚えていないですしね。
肘の真ん中らへん~というテンション。


そして、ここでご自身の肘を見ていただきたいのですが、解剖図の通りに血管が走っている人…いらっしゃるでしょうか?


ほぼ、いないんじゃないかしら。


これが、個体差と呼ばれるもの。
手相みたいなもの、だと思っていただけると理解しやすいかと思います。
みんなちがって、みんないい。

血管に関して言えば、蛇行してたり繋がってたり、反対に単独ルートだったり、本当に人それぞれです。

正しい正しくないではありません。

臓器が左右逆転している人もいますし、手の甲の血管だって、左右で違う人のほうが多いんじゃないでしょうか。

肘の血管が真横に走っている人も何人かみたことがあります。

どっちが末梢側でどっちが心臓側なんだ…?

と思いながら、勘で刺しましたよ。


駆血帯の意義

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これ、くけつたいと読みます。
二の腕あたりをギュッと縛ることによって、そこから末端側の静脈血を怒張させる狙いがあるんです。

流れてる血液を採るより、溜まってる血液を採ったほうがじゃんじゃか引けてきますからね。

縛るなんて動脈大丈夫そ?って思われる人もいるかもしれませんが、大丈夫。
腕の深いところを走っているので、一時的に表面をギュッと縛ったくらいじゃ負けません。

駆血帯で縛られてるときに、脈をとってみてください。
絶対に触れるから。


それぞれの血管を見てみよう

では、いろんな人の腕をみてみましょうね。

まずは、わたしから。

ほんと嫌になるくらい、わたしの腕には血管がないですね~(ある)
他のみなさんはこちら。

Bさんの血管、難儀そうだな〜と思ってしまいました。
もう手の甲から一発で取るしかない…という気持ち。

ね、みんな全然違うでしょう?
人の数だけ血管があるのです。


採血を採りやすく&採られやすくする方法

ここで、よく聞かれることにお答えしておきます。
あくまでも、個人的な考えですのですべての医療従事者が賛同していることではない、ということだけご承知おきくださいね。

・温める

温タオルやあんか、お湯の入ったビニール袋をあてて温めます。
血管を拡張&血流を増やして、血管を見えやすくする狙い。

献血時、わたしはよく肘のあたりを温められますね…
献血のときは、太めの針を刺すのでなおさらなんでしょう。

・心臓よりも低い位置に下げる

座って採血されることがほとんどだと思うのですが、ベッドで寝ながら採血される場合も一緒。頼みは重力、ありがとうGRAVITY

ときには、ベッド冊を外して腕を出し、重力を使って血流を末梢に集めます。

・手のひらをグーパーグーパーする
これ、駆血のあとにやると、血液データ(おもにカリウム値)が変わってしまうことがあるので注意が必要なんですが、よく臨床でおみかけする方法ですね。ちょい血管がモリッとします。

・体調不良時を避ける

寝不足、低血圧、二日酔い…そんな中で採血しようとしても、血管がぷりっとしていません。

健診などで採血のタイミングがわかっているときは、体調を整えてきてもらうのが望ましいなと個人的には思いますね。

大袈裟な例かもしれませんが、熱中症で運び込まれてくる患者さんなんて血圧低いし脱水だし意識曖昧だし、血管を刺すということにおいて、この上なく難儀な条件が揃ってるんですよね。

運動をやってる高校生だって、こうなったら全然血管が見えなくなります。
高齢の熱中症患者の血管を探すのが、どれだけ大変か…

…静脈なくね?

と思うこともしばしばです(あります)

採血と点滴挿入を同時に行うこともあるので、やむを得ず肘に点滴の針を刺すこともあります。しかし、肘だと関節が曲がってしまい針が血管をつきやぶってしまう可能性があるため、点滴処置において肘を狙うのは望ましくないんですよね。

ここら辺は優先順位の問題かな。

・脂肪を減らして筋肉を増やす

元も子もありませんが、順当な意見。

運動の習慣のない、BMI高値のおばあさんの難しさったらありません。
もともとあった筋肉も脂肪になっているし、お肌のハリも失われて永遠に皮膚がのびる…

ということから逆に考えると、静脈って筋肉の周りに走っているので、筋肉を鍛えることで&脂肪を減らすことで静脈が見えやすくなります。

ボディビルダーのみなさんなんて、筋肉もそうですが血管もかなり前にでてきてますよね。溢れ出る採血ウェルカム感、ありがとう。


個人的めも

いや〜思いのほか盛り上がって楽しかった!

若い人のぷりぷり血管をみられてしあわせでした……
ハネサエ.さんの血管なんて、教科書のやつみたい。

臨床では、後期高齢者&何度も刺してる腕&認知症などで協力を得られないという三重苦の中で針を刺してるので、難易度が段違いなんですよね。

茹ですぎたカッペリーニをどうおいしく食べるか考える毎日。
もしくは、茹ですぎたそうめん。

くわえて、高齢ゆえにしかたがないんですが

皮膚のハリがないので永遠に皮膚が伸びる
血管が脆いので、針を刺した瞬間に破ける
拘縮や障害などで、肘が伸びない
絆創膏をはがすと皮膚も一緒に剥がれてしまう脆さ
痛みで暴れるし、なんならぶっ叩いてくる

このあたりとも戦っているので、採血という言葉が通じて腕を伸ばしてくれるだけでありがとう…!という気持ちになります。


大人ならば、どこかで必ず採血されると思うので、自分の血管がどういうものなのか、一回くらいは考えてみては?

というnoteでした。
おしまい。

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