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5/27 Bloodaxe 2023 Spring(川崎Club citta)

Bloodaxe 2023にやってまいりました。
Portrayal of GuiltとEND目的です。後は酒の肴程度に。
海外勢目当てなら今回、日本勢目当てなら9月に開催される大本営のほうが魅力的なのでしょうが、個人的には清濁併せ呑んだエクストリームのコクがある今回の方が魅力的。The Hotelierをヘッドライナーに迎えたツアーに参戦するため9月のBAXEに参加出来ませんが、それでも9月はハードコアファンにとっては非常に粒が大きいメンツなのではないでしょうか。

僕がBAXEに到着したのは10:40。
11時開演で30人しか並んでいませんでしたが、朝から来る人はそんなにいないのか、ラジオ体操みたいな侘しさ。近所の猫と犬を足してリサイタルが出来るぐらいの規模。ちなみに完売しています。
開演後、物販に向かうとPortrayal of GuiltとEND以外のバンドは既にマーチの販売が開始されている。ENDはMURAKUMOの演奏中に準備が完了し、Portrayal of Guiltはoaktailsの演奏中に到着する遅れが発生。僕が買ったのはPortrayal of GuiltとENDのTシャツ。COUNTERPARTSはあんまり思い入れが無いので購入しませんでした。思い入れが無いなら絶対に欲しいって人に譲ればいいからね。

●MURAKUMO
え!?オープニング・アクトがMURAKUMO!?
というぐらいには質の高いクロスオーバースラッシュバンドです。ラップ調のシャウトやスピーディーさよりもジャキジャキとした重々しいリフから生み出されるグルーヴィーさを重視している。今回のメインアクトの中でも上位陣に混ざり込めるほどの質実剛健。
これが非常に良かった。音響もとんでもなく良かった。100人も到着していない、CONTERPARTSとENDの物販で長蛇の列が形成されている中でタフなクロスオーバースラッシュは流石ですね。
6/24を以てヴォーカルのPhillとギターが脱退。なおPhillはどこのハードコアのライブに行っても見かけるのでビザの問題とかではない模様。Holding Absenceの初期メンだったってマジか・・・。

●Oaktails
Envyから静と動の押し引きを取っ払ったスクリーモバンド。
激情感のあるリフのメロディは心地良かったが、それ以外は普通のバンドという感じ。心の奥底に眠る感情を唸らせる様なシャウトは若干の青臭さが強くクセもあってかなり個人差かもしれない。俺には刺さりませんでした。

●Octavius
東京出身のモッシュコア。
これは非常に良かった。ストーナー然としたグルーヴィーなノリを下敷きに、モッシュパートはしっかり激烈に落とし込み、アップテンポに疾走するパートは重々しい刻みとともに爆走するメリハリが強調された演奏が完全無欠。音響の良さも相まってベスト3アクトの仲間入りである。
なお翌日のafter showでは音響がゴミカスウンチすぎて何やってるのか分かりませんでした。

●Portrayal of Guilt
ブラッケンスラッジ+パワーヴァイオレンス。分かりづらいわよね。

ーーーーーーーーーーセトリーーーーーーーーーー
Possession
The Sixth Circle
devil music
One Last Taste of Heaven
Burning Hand
Bed of Ash
Anesthetized
Fall from Grace
...where the suffering never ends
The Crucifixion
ーーーーーーーーーーセトリーーーーーーーーーー

やべぇ。
なんだこれ。
やばすぎんだろ。

MCを挟まない30分ぐらいの演奏だったと思います。
恐々しいイントロを挟みながらハリー・ポッターみたいな顔つきのベースとイカツイのか優しいのか分からない金髪のギターヴォーカルとニコニコしたドラムが登場。
テレキャスから鳴らしてるとは思えない瘴気に満ちたノイジーなトレモロが音の洪水となってフロアに押し寄せてくる。陽性だらけのオーディエンスの朗らかな雰囲気を殺ぎにきてるのう・・・!ベースはグゥングゥンと唸りを効かせるが淡々と弾くだけの縁の下の力持ち。しかし見た目とは裏腹にオーディエンスへの殺意が高い唸り声である。小気味良い激動的なブラストビートの疾走パートとテクニカルかつタイトに叩くパートのメリハリがしっかりしているドラムのリズムは心地いい。
“Bed of Ash”でアグレッシブに左右に動き回るパフォーマンスを見せるが、途中ステージから落ちてしまうハプニングが!上手の柵に登り「俺らはこんな早い時間帯なのは何故や!」の慟哭でオーディエンスを煽動する。
前日のセトリを確認した感じでは個人的に大好きなあの曲はやんないんじゃないかな・・・と考え始めた瞬間、あのベースソロが・・・。
もう満足ですわ。"Anesthetized"聴けたんなら満足ですわ。BAXE終了ですわ。ミステリアスな音階を駆使したイントロから爆発的な轟音ギターで奇怪に走り抜けるナンバー…音響は抜けが良く全ての楽器隊の一挙一動が手に取るように分かる。
最後は3枚目のアルバムから"The Crucifixion"を演奏して終了。後ろでモッシュが起きてたのはわかるけど一回だけだったかな。Bloodaxeの中でもかなり異質なバンドでしたが、それでも大いに歓待された来日枠1発目でした。

⚫︎幕間
小腹が空いたのでトイレ近くのカレー屋に突撃、隣の昼ごはん。モツ煮とバターチキンカレーのWカレーをいただきました。Bloodaxeではもはや馴染みの出店と聞いてもうダブル☆オドロキですよね。

う、うめぇ…。
しっかり煮込まれたモツ煮と大根とこんにゃくの旨みが汁にもしっかり浸透していてうめぇ。バターチキンは濃すぎず辛さこそないが甘味の表情も見せていてハイクオリティ。米もうめぇよ。

コーヒーもうめぇ…。梅酒サワーもうめぇ…。

⚫︎Sable hills
メロディック・メタルコアバンドです。一聴してSable hillsと分かるようなセンスのある和を感じさせるようなリフサウンドが特徴です。
身内がエマージェンシーということでキャンセルとなったGet the shotに代わって抜擢された"Wacken Open Air METAL BATTLE 2022"の優勝者です。

「Get the shotが観れなくなって悲しんでいる迷える子羊達を助けに来ました!」
このMCをそこらのラウドロックバンドがやっちゃったら大炎上だけど、Sable hillsだしOKって人も結構いたと思います。
それぐらいモッシュピットとサーフの嵐がこの日のピークを迎えていたと思います。

ドラムはパワフルかつ軽快にメロデス然とした疾走感で駆け抜け、ツインギターは泣きと和の表情を見せるリフのメロディとイカツイブレイクダウンで日本のメタルコアを代表するかの様な貫禄まで見せつけてくる。ヴォーカルは安定したシャウトで場を掌握する。
Frontline festivalでは拝見出来なかったバンドでしたが、今回でその姿を拝む事が出来て良かったです。

⚫︎Hollow suns
ポストパンク要素の強いメロディック・ハードコアです。ビリーベーン。
近年ではアジアツアーを大いに盛り上げた日本が誇る期待株でもあります。ドラムには我らがコウさんを迎え、ベースはいつものタカシ。今回のタカシは「さっきWカレー食ったばっかだから眠いわ!」と言わんばかりの若干のテンションの低さ。ヴォーカルはアイスグリルの手伝いもしている好青年。
跳ねを意識したリズムで酩酊感のあるハードコアサウンドが光りますな。メロディは一回聴いたら忘れないぐらい人々の感情に寄り添ってくれるフレーズが多く、個人的には刺さりましたね。

⚫︎Broadside
売れ線ポップパンクです。soul blindが来れなくなったので代打でやってきたバンドです。どっちもあんま知らねぇ!まあいいか!よろしくなぁ!

ーーーーーーーーーーセトリーーーーーーーーーー
Heavenly
Coffee Talk
Storyteller
Cruel
The Raging Sea
Foolish Believer
ーーーーーーーーーーセトリーーーーーーーーーー

演奏技術は特筆することがない。上手と下手のギターがバックヴォーカルの演奏スタイル。ヴォーカルはアルバムほど清涼感と陽性を兼ね備えたヴォーカルを再現出来ず、喉を痛めるようなダミ声歌唱でかなり不安になる。つまり下手。
だが、それがいい。下手ながらも心の底から沸騰する感情を喉から発砲する情熱があり感動的な情感をオーディエンスに与えてくれる。下手だけど満足感があるって滅多に無いよ。帰国する時にメンバーが感動して泣いたそうです。

●Otus
グラインドコア/クラスト/スラッジ/ビートダウン等、数多のジャンルを煮詰めたハードコアバンドです。
主張控えめのギターは聴き手に不穏な緊張感を聴覚的提示するリフが特徴。ヴォーカルは毛並みが立った猛獣の様な獰猛なシャウトでフロアを威嚇し、ベースのタカシは「あーっ 美味しーっ!梅酒すっごく美味しいーっ!!」と言わんばかりの活力で演奏の骨子となる。

ドラム?
ドンッドンッダッダッダッ!
ドコドコドコドコドコドコドコドコ

エグすぎて笑ってしまう。
殺意と残虐性に満ち溢れながらもパワフルかつ高速なドラミングが異常なまでに整合性がある。これがずっと続く。嘘喰いで例えるとViscera Infestの本部長が伽羅ならこっちは課長みたいな感じ。誰が伝わるんだよこれ。
無難なデスメタルと思わせるフェイクにスラッジ固有の泥濘な落とし方も混ざればモッシュの出来る徐々にテンポを落とすビートダウンパートも違和感なく挟んでいく。なんじゃこれ。25分ぐらいのライブでしたがイャンパクト強すぎましたね。

●Knosis
Kinoshita RyoがCrystal Lake脱退後に始めた実験的メタルバンドです。
名前と事務所だけデカくて曲もMCもチャライチンピラみたいなバンドが多いメジャーシーンでも頭一つ抜けてるヴォーカルと作曲センスを誇る鬼才にColdrainのmasatoがいますが、こちらは非凡な楽曲のレベルを天高く突き上げるほどの掌握力を兼ね備えた剛腕型の傑人です。Adoみたいなもんよね。

個人的にはワーストアクトでした。音響良し、演奏陣良し、ヴォーカルのカリスマ良し、曲が単純にダメみたいな。インスピレーション的衝動はあれど楽曲ごとに音楽性がバラバラで「方向性が定まってないせいで一体何がやりたいのか分からん」みたいな。

サイバーナイズドされたブレイクビーツが旨味の”星砕”からスタート。曲調的にもうちょっとアグレッションでパワフルなドラムの力強さが欲しい。
手持ち無沙汰なのかギターもちょくちょく主張する程度。平坦な展開であんま語る事が。
グルーヴィーな曲調から突如トラップを挟み、ミドルな歩幅でPanteraのdominationに近いブレイクダウンパートが延々と続く忌鬼。これも曲調が平坦すぎてあんま語ることが。
SepaluturaのChaos A.D.に近いバウンド感のあるインダストリアル・グルーヴメタルに近代的なサウンドを取り込んだメロウパートとビートダウンパートの二面性が垣間見える神喰。展開の切り替わりが唐突すぎるのが目立ったかな。
寂寥感たっぷりのメロウパートからEnvyが如く爆発するかのような激情パートがウリの火脂。凪のあすからのED"三つ葉の結びめ"を全部グロウルにした展開。というかまんま。ムスンデー。
結成してから間もないのでマシーンヘッドとヘイトブリードのカバーを披露。素体が良いからね…。
最後の曲もあんまり印象に残らないまま終了。

Kinoshita Ryoの天性的なグロウルが平凡な楽曲で潰されてる様な印象は受けますね。これだったら凡庸なモッシュコアやビートダウンをやってくれた方がインパクトあるかな。

●Loyal to the grave
日本のビートダウン・ハードコアの大御所。BAXEの運営でもあるコバさんが運営しているバンドでもあります。
ミドルテンポでタフネスかつ重厚な落とし込み方は非常にお見事。
BAXE完売、おめでとうございます。

●END
メタルコアを基軸にクラストやパワーヴァイオレンスやグラインド要素を詰め込んだカオティックバンドです。THE DILLINGER ESCAPE PLANやFIT FOR AN AUTOPSYのメンバー等が参加しているスーパーバンドです。

音の分離がしっかりしている。ドラムのヌケが非常に良く奥行きのあるシンバルの音が遠くからでもはっきり分かります。

ギターの音がちっせぇ・・・。
というかドラム以外の音がちっせぇ・・・。

かと言って耳栓を外すとドラムの音がデカすぎて耳鳴り不可避。
クラスト/ビートダウンのゴリゴリッとテンポを落とすタイミングで、かろうじて聴こえるぐらい。
中央の後方ぐらいにいましたが、それでもあんまり聴こえなかった。
疾走感のある手数多めの極悪ドラムが精密に叩かれる姿と音は非常に良かったと思います。それ以外あんま語る事ないな・・・。
「ファッキンユーアエーンド!」はしっかり合唱されていました。

●NUMB
90年代ハードコアシーンの残党。なんでも鑑定団で掛け軸に向かって「えーこれは偽物です」と聞こえるのが当たり前なぐらいの大御所バンド。
骨太ニューヨーク・ハードコアでとにかく演奏が上手い。MCも上手い。「俺等ですらノットフェスに出演してアウェー感じたのにオーラル出るのかよwww」みたいな事言ってたどっかのチンピラとは真逆のタフネスさを感じる。確かにDrainのMCで「最近のはチンピラだけの奴多いけどよぉ・・・」と愚痴ってたけど。あのオーナーナーナーwのチンピラが一派の名前を出してたけどどう思ってるんだろうか。
途中でSucidal tendenciesみたいなステージ上に客を集めてわちゃわちゃする下りもやっていましたが、どうやら90年代のBIOHAZARD来日時の再現をしたかった様です。
「アイラブリンキンパーク」と言ってた気がします。4文字だけのフェスでEnvy呼んだろwみたいな下りも継続中でした。

●PALM
ブラッケンクラストみたいなハードコアバンド。メタルコアかも~。
極悪リフから放射されるバイオレンスな雰囲気に激動感のある疾走ドラムと唸るベースが非常に気持ち良かったです。ヴォーカルはちょくちょく頭にマイクをトントンするパフォーマンスを挟んだりしながら噛み付く様なグロウルでオーディエンスを威圧していく暴漢。世界のPALMなんて呼び名があるけど、それに違わない地力を見せつけてくれました。

●COUNTERPARTS

<<セトリ>>
Whispers of Your Death
Bound to the Burn
Wings of Nightmares
Monument
No Servant of Mine
Witness
Stranger
Flesh to Fill Your Wounds
Love Me
Unwavering Vow
Your Own Knife
Paradise and Plague
A Mass Grave of Saints
The Disconnect

60分ぐらいの演奏。
最前で観たかったけど圧縮率が高すぎて早々に逃げちゃった。というか長丁場で疲労が溜まって最後列に戻っちゃった。「本当にCOUNTERPARTSは存在するんだ!」みたいな黄色い声も聴こえてきたけど何度も来日してるよね?
Darkest hourみたいにブレイクダウンに頼りすぎないメロデス然とした曲構成で適度に疾走していくメタルコア。というかDarkest hour好きだよね?Deliver Us好きだよね?
メンバーの見た目は本当にそこらの大学生とDarkest hourのヴォーカルみたいでメタルコアキッズとしての型から入った風貌が特徴的。学祭でDarkest hourをカバーしてそう。
疾走感のあるバウンシーなドラミングで駆け抜けていくリズム隊にメロディアスなリフを絡みつけながら悪童チックなブレイクダウンを導入するオーソドックスな演奏が非常に良かった。ヴォーカルは安定した東へ西へ駆け抜けながらサークルピットやモッシュを煽動しながら咆哮の様なシャウトを重ねていく。セトリの中でも飛び抜けてメロデスナイズドされたYour Own Knifeや新しいアンセムソングへと立ち位置を確立するかのようなA Mass Grave of Saintsが深く印象に残りました。

素晴らしいフェスでした。
まぁ、ENDで不完全燃焼だったから翌日も行くんですが。



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