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2024/4/20 Imperial Circus Dead Decadence 「夜と霧の中、死生の命を問う――。」(東京キネマ倶楽部)

Imperial Circus Dead Decadenceを見てきました。

知らない方に説明をしておくと、メロディック・デスメタルとかシンフォニック・パワーメタルとかグラインドコアとかブラックメタルとかヴィジュアル系とか好きな連中がバンドを組んで時に東方界隈で活動したり時に別名義でライブを行ったり一昨年出したアルバムが妙に良かったりとエクストリーム・メタルの尖端を広げていくバンドです。
東方界隈では別名義で活動していた経歴があり、その別名義の活動が尻すぼみになった頃から東方ラウド界隈も縮小気味つまり後発がいない現場になったのは記憶に新しくないですね。Squall Of ScreamとかAdust rain、かちかち山を筆頭に2010年代後半の東方ラウドシーンも盛り上がってはいたんですが、結局は一過性の文化となってしまいました。東方ラウドと言えば最近ではWorld End Symphoniaが一時期好きでした。

見るのは4回目。
一昨年までは活動頻度がセルフ自粛だったのに良く活動しますね。
単独開催は2回目だと思います。Vermillion-D Alice SyndromeやVaguedge名義で単独ライブを敢行したことあるのかは存じ上げませんが、この名義で10ヶ月ぶりの単独ライブということで、今回も伝説に残る灼熱のオーディエンスと狂気の演壇が形成されるかと思います。

実を言うと、今回のライブに参戦する意欲や活力はそこまでありませんでした。なんなら同日に開催されていたYOUR ARMS ARE MY COCOON / BLIND EQUATIONのジャパンツアーを見に行きたいとも思いました。でも、折角の単独だし次やるのはいつになるのか分からない事を考慮したら観るべきだと思って一般販売が開始された時点で購入しました。

2024年1月17日に単独公演2度目がツイッターの公式垢で告知される。
優先入場+Tシャツ込みのプレミアムチケットの抽選期間が暫く設けられる。
2024年2月9日に一般販売開始。
2024年3月末にソールドアウト。

まぁ、こんなもんよね。
命を讃える葬列に馳せ参じることが出来なかったファンのリベンジもあるから完売するのは既定路線だけど、それにしても前回と違って緩やかな売れ行き。特別ゲストに小岩井ことりが控えていたのもソールドアウトへの決め手になったんだろうけど。3回目はよっぽど工夫しないと同じキャパは厳しいと思います。

僕ちんが鶯谷に到着したのは17:30ぐらい。
そもそも鶯谷なんてパネマジかそもそも在籍していないのに出勤表に顔と写真だけ置いてある微妙な風俗店の印象しか残ってないって。左右が上野と日暮里なので余計に印象が薄いんで妙に笑っちゃうんすよね。

どうやら昼から物販が開催されていたようですが、前回は終演後も在庫が残っていたりネット販売が控えていた事もあって、秋葉原で最新アニメの情報収集を行ったり家電量販店やCDショップでレア物を探したり上野駅でケバブを食べたりと空いた隙間をプラプラ潰してから鶯谷に向かいました。

東京キネマ倶楽部に入場したのは17:50ぐらいでした。昭和な雰囲気の外装と洋風チックなディズニーとかで見かけそうな演壇は今までメタルのライブばっかり行ってた僕ちんとしてはかなり斬新。2Fは関係者席のようで、ケースバイケースで客も収容出来るキャパ500(+500)のハコのようです。
前回は5列目付近で観覧してましたけど、音響や演出諸々を吟味したら前で見るメリットは無いようなもんなので、音を楽しむために今回はめっちゃ後方の中央で見てました。客入りはソールドアウトしているだけあってギッチギチかと思いきや8~9割ぐらいの埋まり方。バーカンや出入り口付近はスカスカだったので当日券とか出せたと思います。

18:00丁度になり同期の音量が上がるとメンバー全員が演壇へと登場。

●Imperial Circus Dead Decadence

<<セトリ>>
腐蝕ルサンチマン、不死欲の猿楽座。
百鬼夜行-Pandemonic Night Parade
嚮導BRING+瞳EYES=死DEATH+齎INVITE

因果律ノ咎人、境界面上ノ運命。
分裂した道化と≒発狂の修道女
黄泉より聴こゆ、皇国の燈と焔の少女。-殯
ギターソロ(KIM)
ドラムソロ(修平)
ドラム+ベース(修平+もっさん)
禊祓の神産は宣い、禍祓の贖罪は誓う。
夜葉:罪と罰の螺旋--。
悲痛なる跫音は哀しき邂逅 (mode:α) (feat.小岩井ことり)
悲痛なる跫音は哀しき邂逅 (mode:Ω) (feat.小岩井ことり)
天聲 (feat.小岩井ことり)
劇愛の呼声が溺哀の叫声を喰らう
断罪の焔と恋人たちの輪舞曲
邪神の婚礼、儀は愛と知る。


150分ぐらい。

過去に3度ライブに足を運んでその1回が単独、今回は4度目のライブであり2回目の単独。

で、今回のライブ。

大多数からすれば大満足のライブだったと思います。

でも、個人的にはあまり・・・。

まずセトリ。
3枚目からは"神罰を辿り狂骨に至る"と"黒キ桜ハ愛∴其ノ死ヲ乞ウ"を抜いた楽曲を選出。2枚目からはキラーチューン3曲に加えて"因果律ノ咎人、境界面上ノ運命。"という本来なら2枚目に存在しないナンバーを選出。そして、2014年にリリースされたEPのみ収録されている"断罪の焔と恋人たちの輪舞曲"を加えたオールラウンダーなセトリ。
Imperial Circus Dead Decadenceのライブを初めて鑑賞したり、これまでサポート・アクトや対バンでしか見たことがないファンにとっては垂涎の止まらないツボを抑えた神セトリになっています。

でも、個人的にはかなり退屈で微妙なセトリだと思っています。

というのも、前回の単独からの変更点といえば"因果律ノ咎人、境界面上ノ運命。"と"断罪の焔と恋人たちの輪舞曲"が追加されただけ。それ以外は60分以上設けることの多い前座なんかで演奏してくれるナンバーが大半を占めています。命を讃える葬列で演奏されなかった3枚目の2曲は今回も演奏されず。"黒キ桜ハ愛∴其ノ死ヲ乞ウ"って未だにライブで演奏されていないナンバーなんだけど、そんな温存するほどの曲ですかね。2枚目からは"因果律ノ咎人、境界面上ノ運命。"が選曲されるも、個人的には"謳"の後に残っている捨て曲の印象でオーディエンスの反応も芳しくなかった事から、別の曲が欲しかったですね。

良かった点?
やっぱり"断罪の焔と恋人たちの輪舞曲"を演奏した点ぐらいですかね?
個人的には再放送よりも攻めたセトリで新機軸を見せて欲しかったです。

でも、今回のライブにおいてやはり今まで演奏してきたキラーチューンではオーディエンスが灼熱の坩堝を見せてくれたのと、前回の単独公演に行けなかったオーディエンスも多いことを考慮したら今回のセトリは大正解だと思います。

次に演奏。
代官山で見た名前だけでも覚えてほしいバンドの時よりも幾らかの変更点がありました。
まず上手に鎮座するオリジナルメンバーでありギタリストKIM。これまで3回のライブを観てきて「全くと言っていいほどギターが聴こえねぇぞ」という印象がありました。その教訓を活かして今回は中央のめっちゃ後ろで観るようにしたところ、これまでとは打って変わったキレのあるリフやメタルが好きなだけでは到底思い付かないようなギターソロやリフをかき鳴らしていて「あれ?この人めっちゃ上手くね?」ってビックリしたのと同時に、ICDDを音で楽しむためには後方で観る必要がある事を再認識しました。追従するICDDの屋台骨こと修平は去年のCryptopsyのライブに訪れていたこともあり、Flo Mounierの影響を明らかに受けているであろうジャズ寄りの軽快かつ爽快かつアドリブを交えるようなドラミングで演奏全体の音を引き締めていました。これが凄くてスネアはバチンバチンと破壊力がありつつ丸みを帯びた音で打音の一つ一つがデスグラインドでもやってんじゃないかって思わせながら切り刻むようなツーバスドコドコとボコボコと沸騰するようなタム回しが非常に秀逸。今回のMVPは修平氏とKIM氏かもしれない。
下手に鎮座するイヨダマンはイエテボリサウンドと呼称される言わばIn FlamesやDark Tranquillityがリファレンスとなるメロディックで煽情感の高いリフやトレモロリフを担当するイケメンでオーディエンスに放射される荘厳かつ冷酷なリフの数々はこれもうブラックメタルだなって思いました。前回は青臭さが滲み出る一挙手一投足が垣間見えたけど今回は「俺だってICDDなんだ」と鼓舞するようなアグレッシブさが光っていました。
イヨダマンの隣に堂々とした佇まいのもっさんは「お?Intestine Baalismのライブじゃねぇぞ?」と言わんばかりの風格でゴンゴンと厚みのある重々しいベースを鳴らしながら時折上手のKIM氏と向かい合い竿バトルを展開するなど俺達はチャラさだけではねぇぞと演奏全体に渋みを足していました。
ICDDの華となる頽廃的エロ漫画家ことリブユウキはDir en grayを意識したクリーンとピッグとグロウルを切り替えつつも手を伸ばしたりまるで舞踏会のような仕草と動作をオーディエンスに魅せつける妖艶さを醸し出していました。クリーンは京じゃなくKONAMIのあさきを意識してるんだと思うけど。右側には紅一点のなっちゃんが妖艶かつエロティシズムなクリーンと時折グロウルを入れながらリビドーな威容を見せつけてくれました。
ただ、歌は正直弱かった。
音源通りに歌えてはいるものの力強さが無く音程があってなかったり、時折グロウルからのクリーンの切り替えに手間取ったり、とりあえずDani Filthの赤ちゃんシャウトを叫んどくかみたいな騙し騙しが結構な頻度で見られて安定感はあまりなく、途中で歌えなくなる場面も結構見られました。なっちゃんは前回に比べたら歌えていたほうだと思いますが、まだまだ同人レベルだと思います。グロウルも本来なら存在しないパートで挟んでくるからあまり意味無いと思う。LA KIAの血が騒ぐのは分かるんだけど。
演奏のバランスもかなり悪かった。ドラムと竿隊とヴォーカル2人が別々のスピードで疾走してるからブラストビートで加速するナンバーではそれが顕著に見られました。終始「あれ?ICDDってこんなにカッチリとしてない演奏だっけ?」という想いで見てました。

音響面はというと、音の分離はしっかり出来てるのに爆音すぎてベースとヴォーカル2人が埋もれがちな印象は受けました。それでも、やはり後列に鎮座した功を奏したのかこれまで全く聴こえなかったKIMの冴えわたるリフの数々やイヨダマンのFRONTLINE FESTIVALからは見違えるリフの数々を楽しむことが出来たのは大きかったです。

オーディエンスについて、これまでのICDDのライブでは前列にいると7列目近くまで圧縮が始まりギターソロでは大合唱、サビでも大合唱というオタクメタラー大歓喜の磁場が結構な頻度で発生していました。単独ライブでは邪神の婚礼や獄でモッシュがちょくちょく発生していました。しかし、今回の単独においては圧縮もモッシュも全く発生せず全員律儀に頭を振ったりメロイックサインを掲げたりしたりと前回の異種格闘技然とした雰囲気はなく、パワーメタルのライブに訪れたかのような雰囲気でした。圧縮が無いのは普通だしゆったりと観覧したいオーディエンスにとっては好都合な現場だったと思いますが、ジャンルがジャンルなので暴れてくれても良かったと思います。代官山や前回の単独の方が全体的に盛り上がってたと思います。

俯瞰した演出とか雰囲気について。
前回は天聲がコロナ渦中における自身の感情や葛藤から抽出されたアンセムであり、それに似た発露の幕間と統括して緊張感と安寧感の中からアジテーション強めの煽情感溢れる空間を形成していました。
が、今回はそんなもん無かったというか、良く言えばゆるめで悪く言えば同人ノリ強めの雰囲気が全体的に蔓延してました。
後々記載するんだけど、ギターソロからドラムソロに移行しベースとドラムのユニゾンを楽しむパートが終了後、煉獄さんを連想させるような白と赤の装束を纏ったリブユウキが登場。これを見て"灼熱の煉獄に薔薇は…"が演奏される確信がどこからともなくやってきましたが、最後まで演奏される事はありませんでした。
アレ、なんだったんですかね?
何かしらのメッセージ性を含んでいるのならともかく「これねー、かわいいでしょー」しか説明が無く"黄泉より聴こゆ、皇国の燈と焔の少女。-殯"は着用前だし、"断罪の焔と恋人たちの輪舞曲"の伏線なのであればアレってアンコールで演奏されたナンバーでその頃にはマーチに着替えていたし、炎以外のコンセプトがあるのなら余計に理解出来ず。黒ずくめの組織にあの衣装だったので若干の悪目立ち感はありました。
"悲痛なる跫音は哀しき邂逅 (mode:α)"終了後、小岩井ことりの自己紹介と今回の公演に参加するまでの経緯や過去のアニメでのオーディション話やメタルが好きといったトークショーが展開されてましたが、個人的にはツイッターでサクッと裏話で済ませられる話だったのと、結構時間を取ってて中弛み気味だったので不要だったと思います。

客層はこれまで行ってきたライブでぶっちぎりで悪かったです。泥酔状態でバーカン前でチンパンジーの真似をしたり小岩井ことりのMCで大声で歌いだしたり謎の野次を大声で飛ばしたり時折奇声をあげたり、そもそも開演前から明らか成人とは思えない行動に出たりと、開演前だけではなく小岩井ことりのMC中でも迷惑そうにしていた人が結構いました。
あれってV系とメタルの中間に棲息する界隈だと思いますけど、ライブを楽しむんじゃなく集団オナニーを受容してもらうことを目的に来たんですかね。私はあの界隈はしょっちゅう炎上してその度に同じ身内が援護射撃や手打ちに入ってるんで迷惑系の類だと考えてるんですけど。バーカンだけじゃなくそこら中に棲息していたのでパンピには厳しい現場だったと思います。ネットで自警団を組織する人間にロクなのはいないですね。

ここからは、ライブの流れ。

腐蝕ルサンチマン、不死欲の猿楽座。のトレモロリフで夜と霧を払い熱を帯びたオーディエンスが形成される幕開け。続く百鬼夜行-Pandemonic Night Paradeではオーディエンスがメロイックサインを掲げながら「ハイ!ハイ!」と結束力の高さを見せ、嚮導BRING+瞳EYES=死DEATH+齎INVITEでは前のめりになりそうなミドルテンポで疾走していく。ここでMCが入り、以下の内容。

・今日は色んなイベントが被っているけどこっちを選んでくれてありがとう。
・今回のテーマとなっている「夜と霧の中、死生の命を問う――。」は悲しい事が人生には沢山あってそれを僕らが晴らしてやれればなという意気込みも込めた。
・円盤出す予定とか無いけどとりあえずカメラマンを入れて撮影している。

リブ「ちなみに言い忘れていたけど次の曲だけは撮影OKだからな。なんでこの曲だけOKかはさておき、獄。」

去年初めてICDDでもMV撮影が入ったが開始。フロリダの香りがしそうなデスメタルのトレモロリフから始まり、サビではしっかり溜めながらもメロディックに歌い上げる歌謡メタルの極致。続くは2枚目に収録されていそうでされていなかったレアナンバー因果律ノ咎人、境界面上ノ運命。で後ろに映し出されているのは今回のマーチのデザインと荒野の世界のような・・・おーっと!オーディエンスの反応が鈍いぞ!僕ちんからしても「しかしなぜこの曲を?」と言わざるを得ないマッチングだ!
冷めたオーディエンスの熱を再び取り戻そうと分裂した道化と≒発狂の修道女により事無きをえながらDir en grayからそのまんまパクってきたをリスペクトした「Geist Seele Wille Zelle」の輪唱とともにボルテージがさらなる高みに登りつめること間違いなし。黄泉より聴こゆ、皇国の燈と焔の少女。-殯では上がりきったボルテージを冷まさぬように合唱の嵐が吹き荒れる。これが終わると演壇に集った面々は楽屋に引っ込み、数分後にKIM氏だけが現れギターソロタイムとなる。速弾きとかハッと目覚めるような冴えるリフの数々を魅せてくれる訳ではなかったので個人的には要らない時間だったと思います。続くドラムソロはFlo Mounierからインスピレーションを受けたパフォーマンスが展開されていてこれは気持ちよかった。そこからベースのもっさんが現れてハードロック的な楽曲のユニゾンが開始された訳だけど、派手な展開に繋がる訳でもなく・・・。しばらくするとメンバーが演壇に戻ってくるんだけど、そこのMCでは以下を語る。

・前回のワンマンでは前半と後半で分けた。
・修平のドラムソロが入ってブラストビートがとんでもない事になっててすげぇ。
・こんだけエクストリームなメタルをやってるバンドで2時間以上やってるところは無い中での修平を休めさせるためのコーナーなのにドラムソロやらせちゃった。
・イヨダマン「ちょっと待てぇ!俺のギターソロが欲しい?明日NoGoDのワンマンあるからそっち来てねぇ(唐突な宣伝はICDDの特権)」

あ、この時のリブユウキは煉獄さんみたいな格好に着替えていました。あまりの重装っぷりに若干、オトナブルーを感じました。

禊祓の神産は宣い、禍祓の贖罪は誓う。にて前回の単独ワンマンにて呼び起こされるリフのカラオケ大会が開催され、全体的にボルテージが再度高まったのは言うまでもない。夜葉:罪と罰の螺旋--。はあんまり記憶にないけど盛り上がってたと思います。

ここで「こちらの方に登場してもらいましょう!」と共に小岩井ことりが地雷系なのかゴスロリなのか「乳酸菌取ってる~?」と今にも言いそうな様相で下手の階段上から登場し、悲痛なる跫音は哀しき邂逅 (mode:α)のバラードナンバーを共に歌い上げる。その後は、MC。

・ただでさえアニメっぽいICDDというバンドに本物のアニメ声優におこしいただいた。
・じょしらくってアニメに小岩井ことりが出演していていつかfeatしたいなぁって思ったのがキッカケ。
・じょしらくのオーディションでデスボイスをやれって言うもんだからやったら受かった。ちなみにArch Enemyを聴きながら向かった。メタルは好き。
・リブ「どうすか?なっちゃん。小岩井ことりさんを見て。」
 なっちゃん「うーんこの」

リブ「ここから先一気に駆け抜けて行こうと思いますがいけますか!?」

悲痛なる跫音は哀しき邂逅 (mode:Ω)では男1人に女2人が囲うというエロ漫画みたいな(エロ漫画家なんだけれども)構図になりながらアニソンチックなナンバーを歌い上げ、最後に顕現するは天聲の完全版でありやっぱ小岩井ことりとなっちゃんの歌唱バトルが繰り広げられていました。

演者が一旦楽屋にはけ数分間の間隙を越え同期音源の音が大きくなると前回同様にバンドTシャツに着替え演壇に現れるんだけど、半分ぐらい絶賛発売中(ネット販売も予定中らしいよ)のマーチをタンクトップみたいに切り刻むもんだからなっちゃんエロすぎてクソワロタ。劇愛の呼声が溺哀の叫声を喰らうにてオーディエンスのヘドバンがそこそこになるも、次の前奏曲から続くのはまさかの断罪の焔と恋人たちの輪舞曲で、オーディエンスは面食らったかのような顔つきとリアクションで「え、マジ!?」みたいになってたのは記憶に新しかったです。僕ちんもこればっかりは素直に喜んでしまいまた。会場全体がワルツを舞うようなリズムとフォーキーなエクストリーム・サウンドにより熱気を取り戻し再び灼熱の坩堝に。これが終わるとMCタイム。なっちゃんのMCだけ覚えてない。

リブユウキ:
本当に来てくれてありがとう。物販はネット販売を予約してるけど後でもやってるから是非見て欲しい。

もっさん:
名前覚えてくれていてありがとう。最近面白いことがあって、直近で観たライブでアンコールで「最初から!最初から!」って声が響いてマジで最初からやったのは面白かった。(Ailiph Doepaの単独ライブだと推測。)

オーディエンス「最初から!」
もっさん「帰れんくなるぞ!」
オーディエンス「明日日曜やぞ!」
もっさん「この下り前回もやらなかった!?」

イヨダマン:
反応薄いな!全員声出して!

修平:
修平「俺の名前を言ってみろ!」
オーディエンス「修平ー!」
修平「声出せ!見えてるんだぞ!左ー!右ー!真ん中ー!二階席ー!」

元々東京キネマ倶楽部でライブやりたいと言い出したのは俺から(リブもだけど)で、様々なヴィジュアル系バンド(Fukiフェスの名前も出てた)のライブを見て俺達もここでやってみたいなぁと思ったからここを選んだ。でも、今までのICDDじゃここのキャパでやれなかったから今回はソールドアウトも含めて感謝してる。

KIM:
こんなに早く次の単独を開催する事が出来て本当によかった。まさか出来るとは思わんかった。本当に感謝してる。リハ終わった後にデッカイ華を会場の入口まで外人が運んできてビックリしたのと感激した。


リブ「まだまだ頭振り足りないんじゃないんですか?振りまくってその首置いてけー!」
…悲しいって気持ちは嬉しいって感情を知っているから―。

2枚目で一番苛烈なナンバーの邪神の婚礼、儀は愛と知る。が登場。オーディエンスのヘドバンが本日トップの灼熱の坩堝でとんでもねぇなって。なんかもう、邪神の婚礼を演っとけばオタクはウケるだろみたいな感情も知っているんだろうなって。灼熱の煉獄に薔薇は…暗黒の城郭に侵攻さる異形の狂姫を期待していたんだけどなぁ・・・。

リブ「ラスト1曲!今日は本当に来てくれてありがとう!次はいつやるかまだ決めてないけどまた会いましょう!」

から始まるのはキラーチューンである
このナンバーはいつ聴いてもブチ上がるのは至極是当然であり鶯谷という風俗街にメタルヘッズの大合唱が天高く舞い上がるのは想像に難くない。囚われ!孤独さも!風を待つ!雛鳥のように!目を逸らすな!この痛みを!愛の姿は刻薄!の絶唱も相変わらずでなっちゃんの吐き捨てるようなヴォーカルも良い味を出していました。

最後は全員で写真撮影を行い、夜と霧の中、死生の命を問う――。は閉幕。


今回の単独を完走した僕ちんの感想としては「面白さはあったが満足感はほとんど無い」に帰結していて、もっと言ってしまえば断罪の焔と恋人たちの輪舞曲が聴けたこととKIM氏のギターがしっかり聴けたこと以外はこれといった感動は無かった。それこそ多種多様なジャンルを独特な割合と感性でブレンドして出来上がった教材に、ICDD独自の頽廃的世界観や様々な界隈の個性と文化が揉まれあった異種格闘技然とした空気感やそこに少しの遊び心のあるエンタメをスパイスとしたギフトをこれまでのライブで享受してきた自分としては、今回のライブを通して「眼前にそびえ立つのは間違いなくICDDだけど受け取ったギフトはこれまでとは違う何か」の想いは拭いきれなかった。前回の単独や代官山での60分はメチャクチャ楽しかったのに、今回はあまり楽しむことが出来なかったのは、ICDDの成長であり変化を自身が受容出来なかったからだと思うけど、それにしてもモヤッとする想いは今でも残り続けています。

バンドにも色々思う所があって「次の単独公演で人が入らなかったら次は無いかもしれない」「我々は想定以上にギリギリで活動しているかも」といった事を修平がツイートしていたんだけど、どうやら某バンドの企画にてICDD名義で私服ライブを新宿アンチノックで敢行したらしく、その情報は公式垢からは告知されておらずメンバー垢からも匂わせ程度で流れてくる程度で流れてくる感想も別ルートで情報を獲得してるんだろうと感じさせる追っかけの層で凄くダブルスタンダードだなって。メンバーの何人かはライブをする時は遠征で来てるってそういや言ってたなって。購買意欲を掻き立てるためにドラムが勝手に言ってるだけの可能性の方が高いけど、マーチを購入したりライブに赴いて素直に応援したくなる気持ちは無くなりますね。

媚びはしないけどオーディエンス一体型となって最高のライブを形成する過去の空気感が消えて、オーディエンスではなく上でも書いたV系とメタルの中間に棲息する界隈に寄り添ってる感覚をICDDから覚えているのも個人的には微妙だなって。イヨダマンがいつかの百鬼夜行のライブ音源に身内ノリが入ってて面白かったってツイートに身内がやっててワロタの引用RTがあったり、前回の単独公演後に行くぞの別表現が飛び交っててそれって何か教えて?ってツイートしていたり、今回も終演から数日後にオタマトーンで自我出ししてるオタクに反応して当人達が喜んでたり、ICDDとメンバーの情報だけ知りたくてメンバーのSNS垢を確認してる僕ちんとしては「アーティストがそれやるんだ」という白けた想いがあって。MCや会場の雰囲気も命を讃える葬列や前回の代官山と違ってほぼほぼそっちに引っ張られていたから、そこは中立的にあって欲しかった。現場はオーディエンスの物であり客側がルールを設けることはあってはならないのは理解してるけど、特定の界隈と特定のグループの玩具にされてる感覚は否めなかったし、されてるのもどうかと思う。昔行ってた中華料理屋に行ったら顔なじみの常連達が消えてヤクザだけが飯食って酒飲んで暴れてるだけの集会所になってたみたいな。あそこの炒飯美味いんだよなとまた来店するんだけどやっぱり同じヤクザしかいないしチラ見すると喧嘩売られるからそそくさとお会計を済ませて帰るみたいな。
アーティストとしてではなく宴会の二次会コンテンツや大喜利コーナーとしてドメスティックに成長し円熟しているようにも思うし、今まで見て聴いて楽しんできたライブとはあまりにも乖離していたので、自分はリタイアしたいと思います。2枚目の再現ライブがあっても行かないんじゃないかな。

最後に断罪の焔と恋人たちの輪舞曲を回収出来て本当に良かったです。
自分は今後ICDDのライブに訪れることは無いと思いますが、新譜に興味を持ってICDDのライブに遊びにいきたい方々は他人を想う気持ちを持って楽しんでください。


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