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2023/11/12 leave them all behind 2023(代官山UNIT)

という事でleave them all behind 2023の2日目。
Bloodaxeを中心に活動するも海外ハードコアシーンからのウケや評価が非常に高いOtus、ポストハードコアとノイズロックを融合させたバンド、シューゲアイドルRAY、フジロックにも今年出演していたノイズロックバンドのENDON、そして「超越的ブラックメタル」を標榜する前衛的ポストブラックメタルのLiturgyの邂逅である。

Liturgyのマーチを購入しようと泥濘かつ泥酔状態のまま会場に着いたのは15:00ほどで、最新アルバムのジャケどころかAesthethicaのジャケットがプリントされたマーチしか販売されておらず存在感だけならENDONの大勝利というヘッドライナー顔負けの光景を横目に僕ちんにとってのオープニングアクトを待機。

●Otus
もはやハードコア界隈の風穴とも呼べる異端児であるOtusを観るのは3回目である。クラスト/ビートダウンがええ具合に混入されたデスグラインドはあいも変わらずパワフルなドラミングに合わせて血潮を滾らせてくれる爆速を体感させてくれる。代官山UNITの音響がアトモスめいてることもありOtusの躍動と噛み合わせが悪いと感じるなどもあったが、それでもleave them all behindの1番手としての期待に恥じぬ戦いを見せてくれた。

●Solvet cobalt
名前も知らんし聴いたこともないしポストパンクにノイズロックなんかを取りこんでいるらしいSolvet cobaltが二番手に参戦。UKチックな指向性にノックアウトされるもんだと身構えていたところ、トムとジェリーぐらい仲良く喧嘩しているバスドラとベースが発散する音響の悪さでノイジーなリフ以外聴こえないなど。
ギターとベースのドラムレス編成だけれども打ち込みのドラムが音悪すぎてベースが何も聴こえん。かろうじて聞こえるノイジーなギターも起伏がないまま悠久の時を過ごすのかと思いきや30分が終わりました。

●RAY
実は僕ちん、RAYは結構知っていましてFor Tracy Hyde存命期にそのバンドも含めた2010年代後半にタワレコでも特集されていたシューゲ/ドリームポップを通過したアーティスト達が楽曲提供を行っていた女性アーティストだったので、鬱ロックやインディーズ・シューゲイザーをある程度追ってる人であればそれなりに認知されてる立ち位置かと。最初は2人ぐらいだったはずが知らぬ存ぜぬのスパンで5人もの大所帯となりチェキ販売まで執り行うこれが人撃ちガトリング斎ならあまりの商才の強かさに感動し失神してしまうのではないのでしょうか。

実際に観てみると提供された楽曲をバックで流しながら5人の女子が一糸乱れぬ舞踏を…た、楽しみ方が分からんぞ!ベビメタみたいにバックバンドが演奏する訳でもないので推し活的な楽しみ方が最適解なんですかね、ハハッ。
そして音響が悪い。Solvet cobaltの倍以上は酷い音のダマが降りかかってくるもんだから耳栓有でも耳への負担がパないの。シューゲイザー/オルタナ/ドリームポップを絶妙にブレンドした愛くるしい楽曲も轟音に潜むドラムンベースによって台無しに。とりあえず金髪のショートヘアーが一番かわえぇなァ〜と見つめちゃってました、ハハッ。1月でリベンジした際は音響も良く楽しめました。

●ENDON
どうやら過去にもleave them all behindに出演したりフジロックでも豪傑ノイズを振りまいたと巷ではmoreruの新譜ぐらいの話題性を獲得しているENDON。LiturgyよりもENDONの方が客足も多かったのではないのでしょうか。
視覚的にも聴覚的にも訴えかけてくるようなポップ・アートを楽しむ方向性なんでしょうが、これもノイズ以外の音が結構悪いのと爆音の民だった事もあって凄まじいまでの威圧感に説得力を持たせる事には成功していたんですが・・・。眼前には目まぐるしく切り替わる洗脳学的な映像とともにノイズが降りかかる訳ですが、残念ながら個人的には刺さらず。

●Liturgy
最後は超越的ブラックメタルを標榜するLiturgy。
ポストブラックメタルに通暁していなくとも、計算高く練られた構築美と幅広い層に認知されているバンドなのではないのでしょうか。まるでタンクトップマスターのような風貌で御光臨されたHaela Ravenna Hunt-Hendrixを中央に据えた男女混合4人編成による演奏は神経症的な肌質を持たせたノイジーで心の奥底に隠蔽したはずのトラウマを呼び覚ますかのようなトレモロリフに微笑めいた味わい深いメロディリフを添えるメインギターが煌めいていて素晴らしい。ベースラインはほどほどに聴こえながらも瘴気に満ちたギザギザのリードギターと正気の沙汰とは思えないメインのトレモロリフが絡み合い、バーストビートと呼称される圧縮率の高いブラストビートを叩き上げる地下室臭のするドラムの強かさが屋台骨となり代官山UNITに祝祭のようなセッションがもたらされる。この世の物とは思えない演奏に度肝を抜かれた。
セトリは2023年にリリースされた「93696」の再現に近いセトリで「Aesthethica」に収録されている"Generation"を加えた物。ちょくちょく他愛もないMCが挟まるも高次元にまで押し上げられたメタリックにゴービヨンドされたブラックメタルの疾走感は維持したまま。


来年もleave them all behindがあればFull of hellやLantlôsを誘致してほしいところ。

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