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12/12 Cryptopsy(渋谷ストリームホール)

Cryptopsyを観てきました。
カナダはケベック州モントリオールが生んだテクデスの元祖で当時は本気を出したMORBID ANGELが最速の認識ではあったが、None So Vileがリリースされた瞬間にその座を剥奪するほどの爆速を誇る変態レジェンドバンド。

僕が到着したのは17:50。
そもそも渋谷ストリームホールってどこやねん。渋谷って南東方面は殆ど利用しないから駅員にお伺いを立てないとずっと迷子。地下鉄上がって直線に進んだところに入り乱れる出口の指定箇所から階段で上がれば着くそうな。

シャレオツなビアバーやレストランや居酒屋を横目に怪訝な風貌が4Fまで辿り着くと、これまた似たような怪訝な風貌の行列が股開いていた。最後に発表された前座目当てのバンギャ、テクデス/ブルデスマーチを着用したヘッズ、気合いの入ったおっちゃん若者達の賑わいでNone so Vileが如何に多様性に満ちたアルバムであるかを感じさせる。

18:00の開場でVIP以外の面々が5Fに陳列し、物販に赴く。Cryptopsyの日本ツアーマーチ、今年の新譜のマーチの2種類が用意されており前者を購入。隣では前座2組の物販が催されていたが、来日過多によるお財布事情により断念。

よーしベロベロだし更にビール足しちゃうぞ〜あれ〜?ペットボトルが雑に置かれてるけどZepp式販売方法か〜?

僕「あれ、今日はアルコール無いんですか?」
スタッフ「無いですー」

そんなこんなで目頭を熱くし頬を伝う涙とともに6Fのメインホールへと突撃したのであった。

●兀突骨
まず最初に見たのは兀突骨。
テクニカル・デスラッシュメタルといったところか。
ハリのある2ビートやブラストビートとともに駆け抜けるテクニカルな敏腕リフワークとキザなベースが絡み合いIntestine baalismを想起させるようなラフながらも猪突猛進さをも感じさせるグロウルが非常に良かった。プログレチックでもあるけどテクの方が近いかな。

「埼玉県は川越市から馳せ参じてきました兀突骨と申す者だ!貴様らどうせはよ終われとか思ってるだろうけど、社会人が来るまでの繋ぎとして我々が頑張らなければ行かん!最強の前座だと名誉なのか不名誉なのか分からん勲章をいただいておる」
「今度新譜を出すからそこから新曲を披露する!ディスクユニオンでも今度発売されるし物販では旧譜も売ってるから見て行って欲しい!ここで言うべきじゃないけど大人の都合じゃ!」
「静まれーい!」

30分ぐらいの演奏でしたが、最強のオープニングアクトを見せてもらいました。

●DEVILOOF
次に観たのはDEVILOOF。
名前は知ってるけど観るのは初めて。
V系なのにスラミング・ブルータル・デスメタルを基調としたデスコアにDir en grayの妖艶さや爆速グラインドコアをブレンドしたカオティック・デスコアバンド。これ本当にV系なんですか?(マッサージAV)

なんかもう始まる前から人気が凄い。
サウンドチェックでメンバーが出てくる度に「けいすけー!」「だいきー!」「かんたー!」と黄色い歓声が飛び交っている。確かDEVILOOFが追加される数日前にチケットがソールドアウトしていたこともあって当日券狙いのバンギャが結構数並んでいたのを目撃。「メタル一筋闘魂勢」vs「None so vileは青春若手メタラー」vs「DEVILOOF目当てのバンギャ」という好カードが今火花を散らし始めた。なんなんコレ?

で、実際の演奏。

<<セトリ>>
拷訊惨獄
Newspeak
Everything is all lies
ISHTAR
Rebellion
Ruin

ヤベェ

お世辞抜きにとんでもなく殺傷力に満ち溢れたライブパフォーマンス。それでいて野蛮で獰猛ながらもキャッチーなグッドメロディとモッシュパートが明瞭に示唆された端正の取れたパートと曲の粒は非常に大きい。

ヴォーカルは下手と上手を飛び回りながらハーシュやホイッスル、ガテラルを切り替えるバリエーションの高さがうかがえる。小柄その実、筋肉質なその姿はRyo Kinoshitaを想起させる。竿陣は非常に強度でスラム/ダウンビートパートでは鈍重なリフがオーディエンスに雪崩こんでくる。ドラムのビジネスマンは大振りのパフォーマンスで破裂音に近い音をひたすら叩き続けている・・・が、ちょくちょく聴こえない。こればっかりは仕方なく、本人曰く「大振りのパフォーマンスなのに下手の狭いドラムで演奏するもんだから叩きづらいし終わったらアホみたいに切り傷が増えていた」との。

MCでは「大阪からやってきましたDEVILOOFと申します!車で8時間!Cryptopsyと対バン出来るなんて凄い!カナダからやってきてくれたCryptopsyに盛大な拍手を!」

相手がバンギャじゃなくメタラーという点も考慮しクリーンが一切入っていない曲だけで練り込まれたセトリ。影響元がスラミング/デスコアなのでオーディエンスからも非常に高い好感度を獲得した30分ほどの演奏。

最後はCryptopsy。

●Cryptopsy

<<セトリ>>
In Abeyance
Graves of the Fathers
Lascivious Undivine
Crown of Horns
Slit Your Guts
Back to the Worms
Drum Solo
Detritus (The One They Kept)
Sire of Sin
Flayed the Swine
Phobophile
Orgiastic Disembowelment

70分ぐらいの演奏でした。

やべぇ


ひたすら猪突猛進に突破していくアティチュードが垣間見えるかと思いきや一つ一つの演奏陣が緻密に暴虐に踊り狂う演奏がとんでもない。それでいて軽やかにガテラル/グロウルを切り替えながらオーディエンスへのアプローチを忘れない面目躍如のヘッドライナー。中央でカーテンにかかっていた神器(ドラムセット。2タムだったネ。)の全貌が露わになった途端のオーディエンスの歓喜たるや。

今年の新譜から"In Abeyance"を1曲目に据えながら2曲目には名曲"Graves of the Fathers"でモッシュピットの熱が最高潮に。

Scott Ianみたいな風貌のChristian Donaldson(gt)は瘴気に満ち溢れた破壊力抜群のローなリフをかき鳴らしながら名曲群をひたすらかき鳴らしている。テンポが落ちるパートでは鈍重なタフガイとも言えるリフでオーディエンスへの圧力を高めていく。ツインギターでもないのに殺傷力抜群のホールをぶっ壊すかのような流砂混じりのリフ1つ1つにウットリしてしまう。対するOlivier Pinard(Ba)はブルータルなメロディラインを形成するキザな唸りをあげながらオーディエンスへの目配せも忘れない。DEVILOOFのビジネスマンドラムも言ってたけどFlo Mounierのドラムに余裕でついていけてるコイツラが一番凄いんじゃないかな。Flo Mounier(dr)は面目躍如のドラミングが凄まじく、ブラストビートやタム回しはゴアグラインドに接近する過激さを誇るも恐ろしく丁寧に余裕そうに叩き上げている。元々ジャズ畑だった影響か1つ1つのドラムが跳ねる感覚の音に近くテクデス/ブルデスとは違う軸のグルーヴ感を孕んでいました。非常に抜けの良い破裂音とも言えるシンバルやスネアを堪能しながら5分30秒前後のドラムソロ。圧巻である。対バン相手はトリガー抜きの生ドラムでそれを堪能したそうな。Matt McGachy(vo)はyoutubeで観た感じだとスカスカなガテラルかと思いきや獰猛な野獣の咆哮をあげながら扇風機(ヘドバングルグルのあれ)と一枚目キャラである。とにかくブルータル。

モッシュピットが荒れ狂ったりオーディエンスからのメロイック・サインや歓声が鳴り止まず演奏陣もかなり高めのテンション。楽屋にはけたかと思いきやオーディエンスの「Phobophile!」の歓声に直ぐにフロアに。None so vileから珠玉の名曲"Phobophile"と”Orgiastic Disembowelment”で最後の力を振り絞ったオーディエンスが生んだモッシュピットが最高潮に。

最高に楽しかったです。


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