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2024/5/20 Svalbard(新代田Fever)

SvalBardを観に行きました。
ついでにKokeshiも観に行きました。

僕が新代田に到着したのは18:50頃。
開場が19:00、開演が19:30と押しに押したスケジュールとなっている訳だが、この時点で100人ぐらいは何の変哲もない辺鄙な新代田駅周辺で黒服がウヨウヨと彷徨っておられました。
物販はKokeshiが先行販売を開始しており、Svalbardが終演後に販売する運びとなっていた訳だが、大阪・名古屋の時点でSとM以外は完売。まぁ、小さいレーベルにありがちな光景である。あまりに売れ行きが良かったので事後物販も開催されました。

開場後はビールを一気飲みしながら3列目の上手側に鎮座。今回はモッシュしなくてもいいかなと思って比較的前の位置を取りましたが、これが後程功を奏することに。
本公演はソールドアウトしているだけあって入口までギッチギチに敷き詰められたオーディエンスが形成されていましたが、新代田Feverの構造だと前に詰めなくてもいいような奥行きのある空間が匠の粋な計らいで仕上がっているので、他のハコよりかは快適な空間で快適に拝見することが出来ました。


⚫︎Kokeshi

Kokeshiはメタルなのか?

そういう疑問を持たれた場合の答えとしては「ハードコア」だと思う。こういった断定的な表現だとジャンル分けに対しメタラーの悪癖と揶揄したり○○はメタルじゃないの旨に対し一種の憎悪を覚える層からは石を投げられるかもしれないが、鬱ロックの中でもCOCK ROACHやthe back hornといった茨城ハードコア影響下のインディーズロック(今のバクホンがインディーズなのかはともかく)からの影響を本人達は公言しており、EnvyやHeaven in her armsからの影響も口にしている。実際に、空間を捻るように唸るような轟音トレモロや静謐さを出しすぎない間の取り方はHeaven in her armsを感じさせる。何ならドラムはメタリカを通っていないしメタルコアの方がある程度の知見を持っている。3LAが取り扱いそうなハードコアやポストメタルを濾過したらデスコアともブラッケンハードコアと称するにも差し支えない呪物が誕生した…それがKokeshiだと思ってる。

実際のライブを拝見するのは5度目である。
前回は新宿LOFTで開催されたサーキットイベント。
最近になってハードコア・モッシュがKokeshiでも解禁されたのだが、現体制メンバーでハードコア・モッシュが敢行されたのはこの新宿LOFTだったりする(はず)。異種格闘技的なラインナップだったのと次の出番がMEANINGだった事が最たる理由でもあるんだが。
どっしりと構えた木村昴レベル100が放出する切迫感のあるトレモロリフに下手のベースが重厚感たっぷりのベースで演奏全体の屋台骨となり、令和の鬼才とも呼べる亡無のスクリームが新代田Feverを支配する。演奏面での見所といえば、これまでストロングに前のめりに叩き上げていたドラムがラフな体勢でジャズ感のある生合成の取れたリズムでしっかりたたき上げる姿はやはり1番の変更点であり成長とも言えるのではないか。マイクが無くてもそこそこ声が通ってたのは笑ったw

セトリは憧憬のリマスター版がリリースされた事もあってか前半は1枚目を中心に後半は2枚目からを中心に組まれたセトリ。そして2度とやらないと公言していたinto my darknessも演奏するなど、このツアーが如何に彼ら彼女らの分水嶺であるかを指し示す標識であったかは語るに及ばず。
W:O:A Metal Battle Japanでは強豪たちの中でも頭一つ抜けたアーティストとして優勝候補にKokeshiが上がっていた訳だが、結果として別のアーティストがW:O:Aの出場権を獲得した。
Sable hillsが後のFRONTLINE FESTIVAL 2024へオファーしたりこういったツアーに参加して前座から沢山のオーディエンスの視線を向けられたり、以前からもアンダーグラウンドシーンの精鋭との対バンを経てることから観てる奴はちゃんと観てんだなって。

15分ぐらいしたらSvalbardが登場。

●Svalbard

<<セトリ>>
Disparity
Open Wound
Faking It
Lights Out
Defiance
Throw Your Heart Away
Click Bait
To Wilt Beneath the Weight
Eternal Spirits
Grayscale

75分ぐらい。
セトリは大阪・名古屋で変更無し。Tシャツの裏に演奏曲目全部書いてあるからそりゃそうか。

のっけから祝祭と歓喜に満ち溢れたトレモロリフをSerena Cherryが掻き鳴らしながらSkramz然としたシャウトを挟み、下手のどっしりとした風貌のギターも獣性の高いシャウトを交互に挟みながらメロディアスのリフを添えていく。上手のメガデスの大佐みたいな貴族スタイルの好青年はひたすらヘドバンで体全体を揺らしながら怒涛のベースラインを紡いでいき重低音を重ねていくメタルらしいプレイスタイル。Serena Cherryがかき鳴らす甘酸っぱくも冷ややかなトレモロリフと重なりプリミティブなブラックメタルとは距離を置いたクリアさと重心を落としたハードコアらしさの感触も覚えている。ドラムのメタルコア然とした若い男子は前のめりの体勢でバシバシ叩き上げる兵。常に前のめりである。前のめりの体勢でオーディエンスを注視しながらSkramz然とした性急な展開を作り上げるプレイヤー志向でもありましたね。後半になると全力疾走で疲れを見せつつもヨレを見せないタフネスさも抜群。
ちなみにSerena Cherryは日本のアニメやゲームのオタクらしいですよ。ファイナルファンタジーやキングダムハーツが好きだそうで。ソォラァ↑。

セトリは去年の新譜、2020年のアルバムからの選曲が大半を占有。その新譜と3枚目が非常に名盤だった事もあってオーディエンスからの歓声が止まらない。2枚目のIt's Hard to Have Hopeからは全く選曲されてなかったけど、どうやらこのアルバムは精神的にもバンドの空気感的にも当時は最悪だったために選びたくなかったとのこと。個人的には2020年のアルバムは全曲好きなので1曲目~3曲目を堪能出来たのはこの上ない僥倖。あ、新譜からは5曲ほど演奏していますよ?Faking Itが一番好きなのでこれも僥倖。

オーディエンスは静かに魅入るように演壇を見つめている。あまりの祝祭に歓喜の声が鳴り止まないしメンバー全員が滅茶苦茶ニコニコしていてこちらも笑顔になる。「日本に来られて滅茶苦茶嬉しいわ」というMCも本音だと思う。リードギターにエッセンスを取り入れるほどキングダムハーツ好きだし。
というか、無茶苦茶快適。全然モッシュが発生しないし圧縮も発生しないし。影響元にありそうなDeafheavenは静謐なナンバーですら圧縮が止まらずクソうざかった思い出があるんだけど、こっちは凛として堪能出来て良かったですね。
最後は初期のコンピからGrayscaleを演奏。激情系ハードコアサウンドに最初で最後のモッシュピットと圧縮が発生。弁えてんなーと思ったのと同時にSvalbardの音には解放の含みもあるんだなァと思ってしまったなって。

素晴らしいライブでした。
個人的には19:00開演の方が嬉しかったんですけどね。


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