2024/4/12 Suffocation(渋谷clubasia)
Suffocationを観てきました。
アメリカはニューヨーク出身のデスメタルバンド。今となっては楽曲の節々に落とし込むだけでオーディエンスはモッシュ大旋風、ハイパーポップを凌いでハードコア界隈では流行りとなっているビートダウンつまり落としを1990年代から取り込んでいたレジェンド・デスメタルバンドです。USデスメタルのBIG4を選定するとなると「DEATH / Morbid Angel / Cannibal Corpse / Obituary」の4強になってしまうため、知名度や影響力を吟味するとDEICIDEやMalevolent Creationと同様に一段階落ちてしまいます。
招聘元はEverlasting Fire。Sable hillsのメンバーが運営するプロモーターです。Darkest hourの招聘から端を発し日本のメタル業界を勃興させようとする気概と若者ながらの感性と審美眼を持った前座で、ある意味「理想形」のイベントを作り上げてくれる今後の重要項とも言えると思います。
でも、はっきり言って癖が強いです。
というより、運営しているバンド側が相当癖が強くミーハーをあえて突き放す身内ノリつまりヴィジュアル系の用法を取り入れてしまったため、様々なドメインからは「あーあのバンドか・・・」と思われているメタルコアバンドです。そして、自分以外のバンドや界隈のフェスでもあのノリを抑えるような事はしません。バンド側が用意した持ち前のネタをオーディエンスに伝播するやり方ではなく、とある客の界隈が持ち込む「他の客に行き届いていないネタをライブを妨害してまで主張する行為」を礼賛し受容する手法を取ってしまったのはDarkest Hourの来日公演にて記憶に新しいです。これについては別の機会で語りたいと思うけど、個人的には上記のせいでSable hillsとは距離を置いてしまいますね。
僕が到着したのは16:30。
先行物販は後ろ倒しで17:00となりましたが、どうやら工場の製造工程でトラブルが発生したらしくゴジラT以外は18:00に到着する運びとなった。僕ちん的には何も関与性や接続性のないゴジラとビオランテのTシャツを購入しても・・・と思い、ディスクユニオンでCDでも眺めてました。
客入りは7割ぐらい。前座も含めた格だけ吟味しても全然少ない方。後述するけど客のやる気もそこまで無かったですね。明日の叙景のギターもいました。
●Crystal Lake
ということで前座に降臨されたのは日本のメタルコア業界だけではなく海外のメタルコアの錚々たる面子に鎮座するCrystal Lake。
前日は代官山UNITの単独公演をまぁまぁ成功させるものの、当日券を普通に売っていたりそもそもRyo脱退前は倍のキャパを完売させていたので国内(国外はむしろ伸びてる)における衰退ぶりがヤバイですね。まぁRyoのKnosisも別にそんなに伸びてるとは・・・。3回ぐらいフルでは見てるが、そろそろ指向性を定めて欲しい所。
相変わらずThe ghost insideやarchitectsを下地に置いたモダンヘヴィネスなメタリック・ハードコアに田浦楽のアグレッシブなドラミングとJohnのグロウルが調和し国内勢とは一線を画すクオリティを見せてくれました。やはり盛り上がったのはSix Feet Underでサークルピットが前座ながらも大ぶりに形成されており、前日にはやらなかったAeonもしっかり演奏してくれたんですけど、Aeonってフェス・前座用セトリの曲に格落ちしちゃったんですかね?単独や自主企画で演奏している印象が何も無いんだけど。ハードコア・モッシュは全然起きなかったけどCrystal Lakeだったら全然やってもいいし、後述するけどSuffocationもハードコアの現場が2日後に控えていたんで全然やっても良かったと思います。Johnもメタラーが多いと悟ったのかサークルピットやハンズアップを煽動するなど、スイッチの切り替えは早かったですね。メンバーの登場中に下手のドアが開きJohnが来るのかと思いきやSuffocationが車でようやく到着した状況だったのは一本取られました。
●Suffocation
60分ぐらい。
海外だと最後にもう1曲1枚目から演奏してますが時間が押してたんで翌日はやると思います。
軽快に叩き上げる粘り気のある激烈ドラミングを交えながら上機嫌にオーディエンスを眺めるドラムも凄かったが、恒例行事「手をピラピラ」させながらブルータルなピッグに近いガテラルを休憩無く挟み続けるRickyのパフォーマンスは恐々としたモノで非常に見応えがありました。全身タトゥーで筋骨隆々とした黒人である彼はどうやらDisgorge(アメリカの方)のドラムだそうで、後述するオーディエンスの反応の悪さに機敏に対応する観察眼にも優れていました。上手のCharlieと下手のTerranceのツインギターのせめぎ合いとギターソロの絡み合いがオーディエンスにOSDMとテクニカル・デスメタルの色合いが見えるリフをかき鳴らしつづけオーディエンスのヘドバンやメロイック・サインを促進させるアジテーションになっていましたね。Liege of InveracityやPierced From Withinのギターソロは5年ぶりということでキャパ300前後のキャパでやるべきではない異形のリフが掻き鳴らされていて非常に聴きごたえがありました。1曲ごとの間隙でウイスキーをラッパ飲みで回してたのは面白かったです。
セトリは新譜のプロモーションを中心に過去の名曲を加えた安定セトリといったところで、どの曲が一番ウケてたとかではなく満遍なく受けてる印象を受けましたね。
ということで、気になった点。
ミーグリが先行物販開始前から終演後に切り替わったことですね。まぁこれは僕ちんに関係無い事なのとメンバーの到着が遅れてしまったと察したのはCrystal Lakeのライブ中にギリギリになって到着した様相から察せられるのでしょうがないかと。
次に物販。
今回は事前物販が無く先行物販を利用するしか無かったため早めに到着したはいいものの、製造工程のトラブルでその時間帯までにゴジラT以外は販売する事が出来ず、開場後にようやく3種類のマーチを購入することが可能になりました。まぁこれも開場前の段ボール待ちのスタッフの慌ただしい姿を見ていたら攻めたらアカンなぁって。というか、スタッフの数少なすぎね?金髪2人とSable hillsのフロントマンしかいなかったような・・・。
後はマーチがFit For An Autopsyに続いてゴジラの無断転載マーチが販売されていたこと。丸パクリの色違いをTシャツにされても購入意欲はそこまで。個人的には変なデザイナーを雇って海外エージェントにお願いして・・・ってやったんじゃねぇかって思うなって。海外アーティストの食い扶持になるから良いんだけど、個人的にはセンスが無さすぎて若干萎縮しましたね。
一番気になったのは客のやる気の無さ。何アレ?
翌日のサイクロンではハードコア・モッシュやサーフ・ダイブ、押しくら饅頭が繰り広げられる灼熱っぷり(なお大阪)を見せてくれたらしいですが、華金なのかCrystal Lakeではハードコア・モッシュが起きずサークルピットだけ、Suffocationでも同様の事象が発生しておりJohnもRickyも早期に悟って「ハンズアップ!」や「サークルピット!」を煽動してました。というか、言われなかったらほぼ起きてなかったのは・・・。ObituaryやMr.Bungleで暴れ散らかしてた勢はどうやら土曜日に集っていたようで、華金だということで疲労の溜まり具合が半端なかったということで・・・。
少数精鋭で海外アーティストを誘致し、メジャーからインディーズへのロードマップ作りという新形態フェスの勃興だけでは持続性の無いメタルやハードコアシーンにおける新旗手としては辣腕で行動力が伴う、今後とも目が話せないバンドとプロモーターとしての気概が感じられたライブでした。
だからこそ、あのバンドのオーディエンスの酷さに関してはどうにかしてほしいですね。バンド側も理解してやってるんだろうけどさ。
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