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旅を仕事にする

今、恒例の東北湯治旅に来ている。私は年に何度も旅に出るんだけど、遊びで行っているのではない。旅はれっきとした仕事で6つも目的がある。


では順番に説明していこう。

1.武司くんが作る本の取材同行、記録担当として。

最近武司くんは本を作ることに熱中している。やっぱりウェブ上では色んなものが消えてしまうし、届く人がそもそも少ない。というのがその理由のひとつ。それで、最近は本というかZINEを作成して販売している。私も記事を書いたり最近ではイラストを入れることもある。

2.観光地の土産事情の視察、研究

土産用、ギフト用のクッキーを製造、販売していることもあって、今、観光地ではどのような菓子が、どんな形態で売られているのか、を見ることが大事だ。でも、工業製品のような大量に作られる土産物が見たいのではない。地元の人が地元で作っているものを探したい。そのような菓子はネット上になく、日持ちもしなかったりする。これは出かけて行かなければ見つけることができないものだ。最近知ったところでは、まみや煎餅店の大鰐煎餅や高瀬温泉、中村屋のきんつばなんかがそうだ。ちゃんとおいしいもの、ちゃんと作られたものって、本来はネットでなかなか買えないものだと思う。


3.宿の運営、ゲスト対応などの視察、研究

民泊をやっているので、ほかの宿がどのような運営をしているかはとても気になる。リサーチというやつだ。実際にお客で行けば、宿の対応も当然リアルになものになる。取り入れられそうなものは参考にする。オリジナリティある宿帳とかは参考にするし、分かりやすさを追求するあまり色んな所が張り紙だらけになっていたりすると、こういうのはうちはやめよう、とかなる。実際に行かないとこういうのは分からない。最近はどんなにボロ宿でもウォシュレットがついている。うちの宿はあったか便座だけでウォシュレットがない。もしかするとウォシュレットにしたほうがいいのだろうか。

4.送料無料キャンペーンのネタ

うちのウェブショップで定期的に開催されるのが「行ったところ送料無料キャンペーン」だ。行ったところの在庫が尽きてくるとウェブ担当の息子から「ちょっと、次、はよ、どっか行ってよ」と言われる。送料無料キャンペーンは息子のアイデアで、最初は本当にまったく注文が来なかった。ところが少しづつ広告をするようになったらちょっとづつ売れるようになってきて、今では結構利用され、そこからリピートされることも多いようになってきた。旅にも行けるし、仕事にもなる。一石二鳥の企画である。ちなみに現在は兵庫県加西市、小野市です。


5.ワーケーションをやってみる

旅に出て実際に自分でもワーケーションをしてみる。するとどういうサービスがあれば便利なのか、助かるのか。そういうことが分かってくる。伊勢市が企画したクリエイターズワーケーションでは長期の利用者が多く、この時の体験が役に立った。もてなし過ぎるよりもちょっと放置くらいが実はちょうどよくて、そのほうがゲストが自分で探索して友達を作ったり、いい店を発掘してきたり、ちょうどいい塩梅で自分のワールドを作ってくれるのだ。まあ、もちろんそいういう素養のある人に限るんだけど。

6.ゲスト、来客対応向上のネタ

私たちが商売をしている土地と言うのは伊勢で観光地だ。ハッキリ言ってスーパー観光地である。なんにもしなくても伊勢神宮があるだけで全国から毎日、毎週、毎月。どんどん人がやってくる。つまり、日本全国からお客さんがやってくるわけ。それで、店でも民泊でも「どちらから?」という話になることが多い。

みんな東京や大阪、仙台から来てるのかと言うと、ぜんぜんそうじゃない。お客さんが「北海道から来ました」と行ったとき、それは札幌じゃないことが多い。札幌から来た人は「北海道、札幌からです」と言うからだ。「むむ、北海道のどちらから?」と尋ねて「いやぁ、言っても分かんないと思います」と言えば、小樽や函館ではない。多分富良野とか旭川でもない。「じゃあ、十勝とかですか?」と聞いてみる。そう、十勝なら行ったことある。六花亭の本店も行ったし、十勝川でカヌーも乗った。十勝川のモール温泉にも入った。豚丼はちょっとキャベツの千切りとか欲しかった。「いえいえ、どっちかっていうと西の方で」とお客さん。「むむ!なら岩内とか?」「え!岩内知ってるんですか」「北海道の名付け親である松浦武四郎は三重県の人なんですけど、岩内の郷土資料館に松浦武四郎の資料ありますよね。雷電は『飢餓海峡』の舞台ですしね。しかも、すでに送料無料キャンペーンもやってますよ」とかね、フンフンと鼻息荒く言えるわけですよ。行ったことがあるからね。

例えあなたが日本の僻地から来たのだとしても私はそこに行ったことがある

私はこれが言いたい。実際「あ、そこ行ったことあります」と言うと、お客さんはとたんにほぐれて、緊張がなくなっていい感じになるんである。観光地で商売して行く上で、よその土地を知ってリスペクトするというのはとても大事だと思っている。

日本ってめちゃ広くて、どんな田舎に行ってもびっくりするようなすんごい歴史も文化もある

実際に行くと分かる。どんな限界集落にも歴史がある。地蔵があり、寺があり神社がある。特産品があって、手工業があって、鉱物が取れたり、温泉があったり、熊を取っていたりする。若いころは都会がすごいと思って憧れてた部分もあったんだけど、今は都会は乗り換え駅で、大阪も京都も名古屋も素通りがほとんどだ。日本の田舎に興味が出てきたのは年齢のせいかも知んないだけど、でも年齢のおかげでこういう面白さが分かってきたなら、年取るの、割にええんちゃう?と思う。思いません?

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ADHD(注意欠如・多動症)である私の散らかった思考がそのままマガジンになっています。日々書かれることに一貫性はありません。

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