芸術家の時間割
憧れのアーティストとの結婚生活で心配だったこと。それは、夜中に突然起き出して、取り憑かれたように制作するんじゃないか、そんなことだった。芸術は爆発だ、タバコに酒、ドラッグ...は田舎じゃ手に入らないけど、あとは浪費と貧乏、不規則で不健康な生活。いったいどんな世界が待ち受けているんだろう。私はドキドキしていた。
「あのさ、夜中に起きて絵描き始めたりして、私、不眠症にならんかな」
「え?何の話?」
「だから、私が寝てる時に制作したりするやん」
「いや、しないよ。だって太陽光の下じゃないと、色分かんないし」
ええ!?そうなのか?
「じゃあ、夜中にガバッて起き出して描いたりしやんの?」
「ははは、しないし、そんなの」
なんと、彼はちゃんと朝の7時とかに起きて、午前中からきっちり描いたり、構想したりという生活をしていたのです。
「会社に勤めてるわけじゃないし、自分でそういうのは管理しないと描けない。思いつきでやってたら続けられないよ」
確かにアイデアと情熱で描ける時もある。でもそういうのって、後で見ると結局よくないことが多い。出来上がった絵をしばらく部屋に掛けておいた時に、鑑賞に耐えられなくなってくる。だから冷静にコツコツ作らないとダメなんだよ、とのこと。
ちなみにそれから20年経って、次第に起きるのが早くなり、今は朝の5時には起き出して、6時には仕事を始めているそうです。そうだ、言い忘れましたが、その代わり、仕事は15時とか16時には切り上げ、自分で酒のつまみを作り出し、さっさと晩酌を始めます。晩酌時はアイデア出しの時なんだとか、そして10時にはお布団に...。これはこれで健康的かも知れませんが、一緒に生活するのは、難しいリズムですよね。まったく自分の時間で生きているタケPなのでした。
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