「ハルジオンが咲く頃」について

 今回はたぶん歌詞の話です。

「ハルジオンが咲く頃」
・14thシングル表題曲
・センターは卒業を控えた深川麻衣
・作曲はAkira Sunset・APAZZI両氏

 個人的に思い入れが最も強いシングルです。なんせ深川麻衣さんは最初期から現在に至るまでずっと応援しているメンバーですので。MVラストの乃木坂を上っていって振り返る深川麻衣さんの姿はいつ見ても心打たれます。

 「ハルジオンが咲く頃」はいわゆる卒業センター曲です。卒業ソロ曲は結構たくさんあるのですが、卒業センター曲は意外と少ないです。基本的に歌い継ぐことを前提としているため、かなり歌詞は一般化されており個人にフォーカスしていないので、ポジション的には卒業センターだけど、「卒業曲」かどうかは微妙なものもあります。
 ※一般化についての暑苦しい思いは「アンダー」の記事参照。
 でも「ハルジオンが咲く頃」は乃木坂46のことを好きな人が聴くと、深川麻衣さんのことを歌っているとしか思えないという理想的な形になっていると思います。

【卒業センター曲】
・14th「ハルジオンが咲く頃」 深川麻衣
・16th「サヨナラの意味」 橋本奈々未
・22th「帰り道は遠回りしたくなる」 西野七瀬
・25th「しあわせの保護色」 白石麻衣
・アルバム「Time flies」収録「最後のTight Hug」 生田絵梨花

※「しあわせの保護色」は歌詞から別れを想起させる文言が少ないので迷ったのですが、振付など総合的に考えて入れました。また「Against」を入れるかも迷ったのですが、主格が「僕ら」と複数形になっているので今回は外させてもらいました。

 基本的にはどれも「僕と君の別れの歌」ではあるのですが、歌詞の中で去っていく(卒業する)側として描かれているのがどちらかによって少し捉え方が変わります。

【どちらが去るのか】
・「ハルジオンが咲く頃」 去っていく人:君
 -君も季節が過ぎればいなくなるとわかってる

・「サヨナラの意味」 去っていく人:君
-後ろ手でピースしながら歩き出せるだろう君らしく

・「帰り道は遠回りしたくなる」 去っていく人:僕
-僕の夢はここではないどこかへ

・「しあわせの保護色」 去っていく人:僕?
-僕に出来ることは君にヒントを出すこと

・「最後のTight Hug」 去っていく人:君
-引き止めちゃいけないんだ 僕だってわかっているよ

 この違いで、センター卒業後の扱いが少し変わってくるような気がします。
「僕」が去る歌は、あまりに印象が強いと他の人が歌いづらいかもしれませんが、「君」が去る歌は、誰かを想いながら歌うことの方がそもそも自然です。
 とはいえ先述の通り歌詞は十分に一般化されており、「卒業」ではなく「別れ」の歌になっているので、別に誰が歌おうが大きな問題はありません。恋愛であったり友情の物語に置き換えられています。

 「ハルジオンが咲く頃」は元々去っていく「君」を想って歌う曲です。例えば歌詞の中の「やっと言える 大好きだよ」は深川麻衣さんに向けての言葉なので、「やっと言える」のパートを深川さんが歌うのは不自然では?と思ったりします。だから、センターを空けたフォーメーションもしくは、関係性の深いメンバーがセンターに立って、そこにいない「君」を想いながらパフォーマンスするのが最も相応しい。そういう意味で川後陽菜さんセンターで披露されたのは非常に美しい形でした。

【センター卒業後の扱い】
・「ハルジオンが咲く頃」
 卒業後は川後陽菜センターで一回披露した後、新加入メンバーの登竜門的な扱いに。最近は梅澤美波がメイン。

・「サヨナラの意味」
 卒業後は基本的には齋藤飛鳥センター。

・「帰り道は遠回りしたくなる」
 卒業後は秋元真夏や与田祐希などがセンターを務めたが、最近は遠藤さくらがメイン。

・「しあわせの保護色」
 卒業後に披露されたのは一回のみ、大園桃子センター。

・「最後のTight Hug」
 卒業後は披露されず

 さていろいろまとめてはみましたが、結局何が言いたいのかわからなくなりました。10年も続いているのってすごいことですね。深川麻衣さんや橋本奈々未さんの卒業が、乃木坂の歴史における「前半」であるという事実。
 「ハルジオンが咲く頃」の時代は、「卒業後センターどうするの」問題は結構取り沙汰されていましたが、解決策として川後陽菜さんをセンターに置くというのは改めて良い采配でした。
 今やどの曲もオリジナルメンバーが残っている方が珍しいという状態なので、誰がやろうがという感じもありますね。その時の格でセンターが決まることもあれば、オリジナルメンバーとの関係性、楽曲のもつ雰囲気で決まることもあるでしょう。
 歌い継いでいくのは当然ですし、誰々がセンターやったから叩かれるというのはおかしいけど、歴史を重んじる姿勢も大事だし、絶対に外してはいけないポイントというのはあって然るべきかと思います。乃木坂46はメンバー同士の関係性で出来上がっているグループだと思いますし。

 おやすみなさい。また乃木坂で会いましょう。

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