小説家との旅路
2021年公開作品 オススメ度 7.8/10点中
アメリカ 原題 ベストセラーズ
今回は非常に珍しく、邦題が原題よりもセンスの良い映画を紹介したい。内容もそこそこ面白い物だった。
70年代に一世を風靡して以来消息を絶っていた伝説の小説家の新作を出版するために父親から出版社を受け継いだ女性編集者が奮闘する話。
伝説の小説家は現在は飲んだくれの偏屈老人になっていて新作は出してくれたもののブックツアー(書店周り)をやらなければ絶対に本は売れない。嫌がる彼をなんとか無理矢理引っ張り出してツアーに出かけようとするが発売会見での奇行が原因で書店からキャンセルが相次ぐ。そんな時、女性編集者が思いついたのがバーを周って朗読会をやる事だった。
あらすじはこんなところだがネタバレを言ってしまうと、バーでの朗読会は大して上手くいかず、苦肉の策で思いついた大勢の人間に少しずつ朗読してもらいそれを配信するというのが当たって本が売れる。というところ。正直観ている途中でなんとなく大まかな流れが分かってしまうほどよくある展開だった。しかし要所要所で引用される海外文学の一節であったり、登場人物たちの言葉の選び方だったりと小説家の人生がテーマだけになんとなく心に沁み入るチョイスになっていて個人的にはそこが好きだった。
自分が歳を経たからかもしれないが昔よりも台詞の多い映画が好きになった。挿入歌や効果音やカメラワークで魅せてくる映画よりも言葉の選び方で攻めてくるものの方が好きになった。この映画はそういう意味では良い台詞を登場人物たち多く喋らせていたと思う。視聴する者たちに分かり易くかつ気の利いた台詞が多く出ていたと思う。聞いていて心地良かった。
冒頭でも述べた様に原題よりも邦題の方が珍しくセンスが良いなと思える映画でもある。普通は邦題がダサすぎてどうしようもない場合が多い。極め付けはその時の日本の流行りを反映してつけた邦題である。ブラック企業が深夜会議で思い付いたみたいなクスリともしないタイトルが多いが、果たしてこれは仕方のない事なのだろうか。
とはいえこの映画、今回は言いたいことがあってエッセイを書いた。
吹き替えの翻訳でどうしても解せない部分があった。
物語の中盤、女性編集者と小説家の会話でアニメのルーニートゥーンズのロードランナーとワイリーコヨーテの話が出てくる。
しかしながらあろうことか、彼らは信じられない台詞を口にする。
「道走りとワイリーコヨーテが」
「道走り」!?
ロード🟰道
ランナー🟰走り
みちばしり、、、、
いや、最近は制作サイドも若年化してる。ロードランナーというキャラクターを知らない翻訳家さんもいるかもしれん。
それでも、それでも。
吹き替えを録音する時の監督。音声スタッフ。そして何より声優。みんな思わなかったのか。
道走りって、なんだろう?って。私は思った。なんだそれ。まず日本語としておかしいし、前後の文脈もおかしくなる。会話の内容でそれがキャラクターの名前だと分かるだろうに。ワイリーコヨーテと道走りじゃバランスが変だ。道走りなんて名前で子供が覚えるか。
たかが台詞のひとつだと侮るなかれ。世界的に有名なキャラクターなのだ。間違えたら怒られるだろ。ワーナー・ブラザースが黙ってのが不思議なくらいだ。
とにかく、この吹き替えに携わった全員に物申したい。こんな単純なミスを見逃して日本全国に配信してしまうなんて。
「ん〜どったの?先生?」
問題の箇所も含めてオススメです。
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