新学期とタルトタタン 1月10日(火)
今日から新学期。
12月中旬から家族全員でコロナにかかり、そのまま冬休みに突入…年末年始は末の子だけが残って、上の二人は祖父母の家に。その間はわりにのんびりすごしたけど、最後の5日間はこども3人が入り乱れるカオス…
空腹、喧嘩、主張、そしてもちろん部屋の散らかり…思い返すだけでもため息が出る。
子供たちが全員登校した後、夫とお茶なぞ飲みながら「いやー大変だったね…」「ほんと、よくがんばったよね…」とやつれた表情でねぎらいあう。
そんななか、状況を見透かしたように、祝福の小包が届く。
中にはタルトタタン!
タタンの送り主は、わたしたちが「自営でやっていこう」と食まわりの仕事を始めた10年前からのお客さん。お客さん…というかもはや守り神的存在。グラノーラ、みかんに文旦、お菓子、野菜セット….思えばその方には色々なものを送らせていただいた。かつて開いたグラノーラや南インドカレーのワークショップ、お話し会などにも来てくださり、直接お会いしたこともある。そんなおつきあいが続くなか、「最初はひとりのお客さん」だった彼女が、今近しくさせてもらっているなんて、ほんとうに稀有でありがたいことだと思う。
何年前だっただろう。
ある日、彼女のインスタグラムにタルトタタンの写真を見つけた。タルトタタンはフランスでよく食べられているりんごのお菓子。というか、ほぼりんご。バターと砂糖でキャラメル化させたりんごを型に敷きつけめて長時間焼く。
みっちりと濃縮された林檎とキャラメルの風味がすばらしく魅力的なお菓子だけど、時間も手間もかかるし、加えてコスパという観点においては致命的…つまり「自分で作るのは本当に大変」なお菓子なのです。彼女のインスタに燦然と輝くタタンを目にして、いつか食べてみたいなあ。そんな風に思った、まさにそのタタンがいま目の前に!
実は小包は、2日前に届いていた。「家族みんなで一緒に食べよう」と思っていたけれど、「やっぱり」と思い直して、静けさが訪れるくるまで待つことにしたのは正解だったと思う。
人の手から生まれたものほどうれしいものはないし、
この世で一番おいしいものは、買うことができない。
いつも思う。「その人が作ったものは、そのひとそのもの」
タルトタタンは、やさしく、謙虚で、気持ちの細やかな、あの人のようだった。
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