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Keep on going.

 5時起きで自宅を出発、14時間程度で本日から3週間我が家となるAirbnbに到着しました。シドニー中心部から少し離れた郊外にある、Padstowという場所にいます。静かな住宅街に佇む、おしゃれな庭付き一軒家の一室で、今日という長くて遠い一日を終えようとしています。

 到着後、想定以上に沢山あったゲストルームの一つからインド人女性が出てきて、「Welcome to Sydney.」と、落ち着いた声で歓迎してくれました。「6日前に初めてシドニーに来たばかりだけど、皆Welcome to Sydneyと言ってくれるから、私もそう言ってみたのよ。」と。誰も知っている人のいない土地に来た私の不安を、彼女の静かなほほ笑みはゆっくり溶かしてくれました。彼女の名前はPooja(プージャ)というそうです。お互いの名前のスペルと発音を確認し合いながら、「私の愛車はプジョーだったから覚えやすい。」と伝えたら、少し照れくさそうな顔をして頷いていました。

 飛行機で食べずに持ち帰ったサンドイッチと、空港で買ったクラッカー&チーズ、日本から持参のインスタント味噌汁で夕飯にしました。Poojaもちょうど夕食を食べるところで、炊き過ぎたという白米をたくさんお皿によそってくれました。インド風(?)ご飯は、普通のご飯とお粥の合の子くらいの柔らかさです。味がついていないからと、塩とバターを足すように指示され、美味しかったので一粒残さずいただきました。

 Poojaはインドはバンガロールの出身で、これから4年間、シドニーの大学でPhDを始める予定だそうです。専門はChemistryなので、大学のLabで実験をしたり学術書を読んだりする日々とのこと。カナダの大学でMasterを終えた後に息子を出産し、彼が3歳になった今、勉強を継続しに単身でシドニーに来たと教えてくれました。息子の面倒は夫家族が見てくれているけど、彼に会えないことが既にとても辛いそうです。自分に言い聞かせるように「But we can't leave working, right?」と肩をすくめて私に同意を求めました。

 私はそんな彼女の言葉を聞いて思わず、「そうよね、働かないわけにはいかないわよね」と、返しました。不真面目サラリーマンの私だけれど、働くことはとても大切なことなんだ、と今日はいつになく素直にそう思うことができたし、可愛い息子と離れ離れになりながらも、keep on learning, keep on working, keep on goingするPoojaの美しさに、胸がいっぱいになった夜でした。




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