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仕事のゲーム化で浮かび上がる、旧来の問題点。

菅総理の内閣が発足して、方針についていろいろ取り沙汰されていますが、中でも中小企業へのテコ入れに関しては賛否両論いろいろな意見が出ているようです。例えばこんな記事も。

記事で書かれているのは、大きくなろうとしていない=成長しようとしない中小企業が多いから、日本の経済が回らない。そして大きくならない理由は、中小企業が社長にとって私物化しやすい=私腹を肥やしやすい仕組みだからだ。というもの。
上記に限って言えば、Bit Beans は立ち上げから18年少しづつではあるけれど成長を続けてきたわけだし、我が社の2人代表というのは私物化しにくい構造でもあり、さらに税理士からも驚かれるほどクリーンな財務状況で、私物化とは程遠い状況。
また補助金に関しても、自分たちの進みたい方向に沿ったものならいざ知らず、軸に添わない補助金をあえて狙うということをしてこなかったので、全てが当てはまるというわけではなさそうです。なので、そんな私たちかしてみたら、政府主導の改革でいきなり何か大きく変わるとは思えないけれど、でも、中小企業に蔓延る「曖昧な何か」にメスが入ってくるだろうことは、想像できることです。

成長を阻む、日本的「曖昧な何か」

曖昧な何か、について上記の記事ではそれが「情」という表現で書かれているけれど、確かに世の中のありとあらゆる不透明な部分は、つきつめると情がベースとなっていることが多いように思います。
辻褄が合わないこと、
帳尻合わせでなんとかすること、
仕方ないと目を瞑ること、
などの、ロジカルではない部分が、大規模な企業よりも中小企業に多くあって、それらの「日本的なもの」が、日本の成長を阻んだと言われます。また中継ぎ企業が多く、外国に比べて実際の生産者にお金が回りにくい構造も、(中小企業のそういった体質のせいなのか大企業の怠慢なのかはさておいて)そういった「曖昧な何か」があるからこそ出来上がる仕組みだとも思います。

それらの「曖昧な何か」は、少なからずめんどくさい&非効率的な仕組みであることは、誰もが薄々感じていたこと。
けれどあえて目を瞑ってきたのは、長らくその文化で組織が成り立ってきた中で、自分だけが変えるという重責を担いたくなかった(あるいは担うとビジネスが成り立たなかった)からだし、メスを入れようとすると誰かを切り落とすことになるから、というのもあるかもしれません。
物事は多面体であり、見る方向が違えば正しいものも変わるもの。いろいろな面があるから、何が正しかったとは一概には言えないけれど、それが今回、世の中の空気に後押しされる形で国のトップが発言したことによって、一気に見方、仕様の方向性が示されているように感じます。

コロナ禍テレワークの定着で変わったもの

コロナ禍で変化したものはいろいろあけれど、Bit Beansを取り巻く環境で言うと、一番の変化はテレワークの定着にあります。そしてテレワークが定着した理由は、なんといっても「楽である」ことじゃないか、と思っています。
従業員視点で見てみたら、まずは通勤が楽。同じ仕事を楽にできるならこんなに素晴らしいことはなくて、もちろん数日くらいは会社に出てくるのもまた気分転換にいいのかもしれないけれど、体力的に調整が可能な働き方は、快適なものです。
また経営視点で見てみると、これもまた「楽」だったりします。
オフィス代は削れるし、採用を距離に制限することなく行えるようになったし、社員が適度な距離を保ちやすく、変な軋轢で頭を悩ませる回数も減っていくのでしょう。

一方、管理という意味では少し問題も出てきます。
不透明なものは、不信を生みやすい。テレワークの最中では、誰もがわかりやすい仕組みでないと組織の崩壊が起きそうです。だから先に述べた日本的な「曖昧な何か」はとかくやりにくくなってきたし、さらに、社風ということの定義も作りにくくなった。
早急にその辺りを調整する必要が生まれていると感じます。

不透明コミュニケーション淘汰の時代

社会全体がまだ旧体然としていたって、個人の感覚はスピード感を持って新しい時代へとシフトしていって、多分社会全体が変化していくのも時間の問題。辻褄が合わない、帳尻を合わせる、仕方ない、みたいな情を基軸とした「不透明コミュニケーション」は淘汰される流れにあります。
正しいことを正しいと言えることは、いいことですよね。
もちろん(個人的にも)それは歓迎すべきことだけれど、けれど、全てが正論で進められるとは限らないのが今の実情。辻褄のあわなさや、帳尻合わせは社員にとって不都合な部分も多いけれど、都合のいい部分ももちろん多くあって、例えば生産性と紐づかない年功序列であっても、必要だから成り立ってきた。そういうことも含めて、辻褄の合うことを進めていこうとすると、当然社会との軋轢の中で苦しむことも出てきます。

けれど、テレワークの流れは不可避。
つまり曖昧な何かに頼らずに透明化された組織づくりが不可避ということ。
多少の軋轢があれど、わたしたちBit Beansでも、社内の組織体系や給与体系にまでメスを入れることで、時代の変化に対応しようしています。

情に対峙する、ゲーム化という考え方

先に、日本的「曖昧な何か」について、根本は情を基軸としたコミュニケーションにあると書きました。ではそれに流れることのない、ある種対峙する仕組みづくりに必要な要素とはなんでしょう?
辻褄をあわせ、帳尻合わせをせずに、何事にも仕方ないと目を瞑ることをしない。
つまり
・成果の定義を明確にする
・何をしたら何がもらえるかを明確にする
・そしてそれを守って運用していく

ということ。
詳しい体制変更に関して今ここでは言及しませんが、ある意味これは「ゲーム化」に近しいものではないかと思うのです。
運用をは、仕組みが楽しくないと続きません。楽であることも大切な要素です。誰もがわかりやすい指針の上で、定義化されたポイントを取得していくことで報酬を得られる仕組みにすると、今まで曖昧にしていた不透明な要素は浮かび上がってきます。
もちろん「ポイント=稼ぎ」という短絡的なものではなくて、会社の進むべき方向がありそれに沿って必要な人材の評価を高くしていくなどし、企業としての文化やアイデンティティを作っていく必要がありますが、それも含めて「透明化」を実践できれば、企業の競争力も上がっていくことでしょう。

3人日の見積もり作業が
10人日かかってしまった場合どうするのか

今現在、新しい仕組みに対して疑問や質問を集めているところですが、先日こんな質問があがりました。少し変えて書きますが、かいつまんで言うと
「3人日の見積もり作業が、やってみたら10人日になっちゃった場合売り上げとか分配とかはどうするのか」
というもの。
作業時間が増えてしまう要因はいくつも考えられます。
単に技術力や知識不足の場合もあるし、クライアント都合で作業が増えることもあります。またこれも能力に関係しますが、相手の意図を組みきれなかった場合に起因することもあるし、意図のすり合わせの段取りが悪かった場合もある。だらだら作業した、なんてこともあるでしょう。それらケースによって対応すべき事柄は変わるけれど、手をつけずに放置しておいていい問題ではありません。
もちろん今までもこうした問題はいくつも発生していたわけですが、これまでスタッフ内から問題提起として浮上してこなかった理由は、それが個人の評価に直結する仕組みではなかったから。
大きな問題であるにもかかわらず、その問題すら不透明になっていた。
こうしたことが、どんどん明るみに出てくる。

問題が可視化されるごとに、今までその問題を野放しにしていたことへの恐ろしさへの直面と、あわせてそれが浮かび上がることにワクワクするのです。問題がわかれば解決の方法を探るのみ。地下に問題が潜るよりもよっぽど健全。
問題が浮き彫りにならない組織は、競争では勝てません。
当然ながら、これを改善していこうと思うといろいろな困難が生まれます。
自分たちだけの仕組みを変えたって、社会の変化に足並みを揃えないことには、生きていけないシーンもまだ多くあるでしょう。

けれど私たちが変わらなくてはいけない問題は、実は日本の構造の問題でもあって、それは確実にこの近い将来ガラガラと変化していくのだと思います。だからこそ、今変わることが求められている。

不都合な真実にメスを入れると、苦労も生じるかもしれないけれど、それが未来への第一歩。できればそこに生じる苦しみすらも可視化した上で、変化を楽しみながら、前へと進んでいきたいと思っています。

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