偶然の出会いを大切にしたい。

ある日、いつものように愛車NSR250Rで走り、いつものように国道134号線が大渋滞していて、いつものように注意しながらすり抜けしていた時の事。

いつものようにミラーで後方確認をしていたら、後方にバイクがいる事に気が付いた。スポーツ系のルックスのバイクだった。

私はいつものように、後方のバイクとの車間距離を意識しつつ、国道134号線から鎌倉の大通り若宮大路へと入り、そして鎌倉八幡宮前を右折した。朝比奈峠に向かういつものルート。しかしいつもと違うのは、後方にいたそのバイク。

GSX250R。

私はスポーツ系のバイクをみると、ついつい対抗意識を燃やしてしまう癖がある。実はそのGSX250Rを見掛けた時から少し意識していた。そして偶然にもそのGSX250Rは、今も私の後方に適度な車間距離を保ちつつ付いて来ている。

私は少し速度を上げた。

GSX250Rの様子を伺うと車間距離を一定に保ったまま付いて来ている。

私は彼との車間距離を意識しながら”徐々に”スピードを上げていった。

そして後方の彼は…

そのGSX250Rも一定の車間距離を保ちつつ付いて来ている。

同類だと確信した。

彼と私は少しペースの早い速度で走っていた。

S字を抜け、

いくつかのちょっとしたカーブを抜け、

そして、朝比奈峠の鎌倉霊園前の右コーナーに差し掛かった。

減速、

旋回、

立ち上がり…

その時、少し先の視界の前方にバスが映った。

私は後方のバイクを気にかけながらも、少し強めのブレーキを掛けた。

自分が止まれても、相手が止まれるとは限らない。

しかし、彼も無事反応したようだ。


少し熱くなりすぎて、急なブレーキを掛けることになってしまったが、何事もなくて良かったと思う。その後はバスの後ろをのんびりと走り、彼とは峠の出口で別方向となった。私は軽く右手を挙げて別れの挨拶をした。

後日、何気なくTwitterでエゴサしてみると、彼らしき人物が私のNSRの事っぽい事をつぶやいていた。どうやら彼もまた楽しかったようだ。

そして彼はこうもつぶやいていた。「もしも、あのNSRの人がTwitterにいたらつながりたい!」と。私も彼とつながりたいと思い、彼にリプライを送りそして互いにフォローしあった。

それから1年は過ぎた今でも、だいぶ歳の差がある彼と私は、相手のつぶやきにそっとイイネで答えるような、そんな関係が続いている。

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