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言論がポピュリスト化するノルウェー左派、移民・難民の受け入れに最も厳しい政党の座を目指して

「移民に寛容な政党」の代名詞だった労働党が、ポピュリスト政党の言論を丸ごとコピーし始めた。

ノルウェーで最大規模の左派政党「労働党」。昨年の国政選挙で右派陣営に負け、世論調査では支持率が急落。

MeToo騒動では、ギスケ副党首が、複数の女性にセクハラしていたことが判明。およそ2か月間、報道され続けた。

支持率を10%以上落とし、世論調査でも王者だった地位は、今やがた落ち。ソールバルグ首相率いる「保守党」が、毎月の世論調査で労働党を超す状態が続いている。

Photo&Text: Asaki Abumi

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一体、何がしたいの?労働党の危機

「労働党の危機」と酷評する現地メディア。

支持率低下の理由は、MeToo以前から指摘されていた。

「労働党がなにをしたいのか、よくわからない」だ。

「増税を」というが、結局そのお金を何に使いたいのか。保守派陣営が率いる4年間で、失業率には歯止めががかり、難民申請者の波も抑えることができた。

何をしたいか国民にうまく伝えられなかった。よくわからない選挙運動が、敗北の原因だとされている。

右派と左派で大きく変わらない国

ノルウェーの右派と左派では、大政党においては、実際は政治はあまり大きく変わらない。

ノルウェーに住む外国人、移民の背景を持つ人は、労働党が率いる世の中なら、外国人や移民にとって、「ましな世の中」になると思っている人も多いかもしれない。

しかし、本当にそうだろうか。

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