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うちの猫 その二【エッセイ】

賢いところ、おバカなところ

彼女の名誉のために言っておく。彼女はけっしておバカなだけではない。

賢いところもある。

下げて上げることにしようか。

先におバカなエピソードを書いてみる。


こちらも不注意だったが、彼女はピザを焼いていたオーブントースターに飛び乗ろうとした。前足が触れて、あちっとなった。その痛みにカッとなったのだろう、彼女は勇ましくもオーブントースターに立ち向かい猫パンチを食らわそうとしたのである。当然のことながら1発退場である。幸い彼女の足に火傷はなかった。

彼女は、私のトレーニングの甲斐あってか、身体能力はすこぶるよい。けれど勢い余ってよく壁にどしんとぶつかっている。その辺りの計算能力がイマイチなのか、もしくは計算自体していないように思える。

それから、うちはベッドと窓の間に隙間があるのだが、窓の外を見ようとして、よくその隙間に落ちている。落ちては悲哀に満ちた顔をしている。


ほかにもおバカエピソードはあるが、彼女の名誉のため、ここらでやめておこうか。


次に彼女の賢いところを挙げてみる。


特筆すべきは彼女の人間とのコミュニケーション能力の高さと、ものの仕組みの判断力だ。

最初にできるようになったのは、クローゼットのドアを開けて入ること。人間が普通にドアを開けるようにして入っていくのが、なんとなく面白い。

自分の好きな番組のテーマソングを覚えている。岩合光昭の世界ネコ歩きという番組が始まると走って見に行く。他にも一つ好きな犬猫の出てくる番組があり、10分くらいはじいっと眺めている。なかなかの集中力である。

彼女は音楽やリズムが好きだ。私がおもちゃのチャチャチャを歌いながら前足をリズムに合わせてぽんぽん叩くと、シッポでリズムを合わせてくれる。

おもちゃが勝手に動くものではなく、私達と遊んでいることを理解していて、遊んでほしい時咥えて持ってくる。

私は彼女を鍛えるために、おもちゃで遊ぶ時にトリッキーな動きを入れてみる。ペンギンのぬいぐるみを居合風にシュッと出してみたり、隅っこへ追い詰めたり、ガードを上へ上げさせておいてボディを攻めたりしてみる。すると、割と早い段階でそれに対する攻略法を見つけてくるのだ。


私からすると、なんでこんなに賢いのにおバカなんだろう、という猫なのである。なんとも人間臭いではないか。

次回は彼女の楽しみなどを書いて、なんとも人間臭く表情豊かなところを描いてみたい。


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