☆心友との小説 6☆
どうも朔月です!
今回も【起の章】の続きを投稿していきます。
「次はどこに行けば…」
職員室に行ってみるか。
また長い階段を進み、次は逆方向へ進んで行く。
職員室に辿り着いた。
「…ここに居るとも思えねぇんだが…。それ以前に開かねぇし…」
どこにいきゃいいんだ。
もう行く場所なんて…、まさか。
祠、か?
「まさか…な。…でも気になるな…。皆を巻き込めねぇし…一人で行くか」
学校を出て、外に行くことにする。
階段を下り、一階。
保健室の前は通れないので、反対側から玄関を目指す。
祠に行くってこと、わざわざ言う必要はねぇよな…言ったら一人で行く意味がなくなるしな。
「よし、玄関に行くか」
ずっと真っ直ぐに進み、大きな玄関の扉の前に辿り着いた。
「………」
扉を開き、学校の外に出る。
「祠は確か、森を通らないと行けなかったよな…」
学校の近くには不気味な少し暗い森がある。その森を抜けないことには祠に行けないのだ。
「…あの森を通るには、少なからず抵抗を覚えるな…」
そう思いつつ、森に入る。
やはり中は暗い。
「…嫌な雰囲気だな…。こんな所に有津真が一人で来るか…?」
来ないような気もする…けど、一応行っとくべきだよな。
ゆっくりと慎重に進んで行く。
生い茂った草を踏み、サクッサクッといった音が恐怖感を一層煽る。
「…はぁ。もうここに来るのは勘弁だな…」
だが、そうも言ってられないな…。
架芭音達を危険に晒すわけにはいかないし…。梨夜も体が弱いし、有津真だって体が弱い。架芭音や義哉《よしや》は他人に優し過ぎて危ないし…。…俺は…何なんだろうか…。
っていうか俺、何で十年前に死ななかったんだ?だって俺はあの時…"見てしまった"のに。殺されても仕方なかった。
…でも俺は何を見た?そして俺と両親に、十年前何が起こった…?
「…やべぇ。俺、何かがあったってことだけ覚えてはて、"何があったか"の具体的なことは覚えていない…。何でだ?いつからだ…?」
…くそ、分からない。考えない方がいいのか…?
「…っ、頭痛がしてきた…。早くこの森、抜けないと…」
この森は"惑いの森"。
抜けるまで人に幻を見せ、人の心を惑わす森…。
早く抜けないと身体的にも精神的にもキツすぎる…!
それから俺は、闇雲に歩き続けた。
有津真を探して。
あいつが祠に居ると信じて。
一時間目が経つという時、俺ははっきりと有津真を見た。
「!有津真!ゆづ…!」
ドサッ
「はぁっ…はぁっ…。…もう…駄目だ…動けねぇ…ごめん、有津真…」
俺の意識はゆっくりと遠のいていった…。
その頃、流月川高校の保健室前では…?亡くなった一年の男女四人は病院に送られ、死亡が確認された。死因は分からないとのことだった。
そして今、葬儀が終わり、職員室では、荒木が蝶葉達と今回のことについて話し合っていた。
「…今回亡くなった生徒四人は、亡くなる前に祠に行っていたとのことだった。死因はまだ分かってはいないが、四人はそれぞれ、左腕、右腕、右足、左足の身体の四肢が、刃物のようなもので切り取られており、未だ見つかっていないそうだ…」
深刻な表情で荒木が話す。
「祠に行ったという生徒達に亡くなる前に話を聞いたところ、森を抜け、祠の前まで来たところで気分が悪くなったため、入るのはやめたそうです」
蝶葉が説明する。
「は?入ってないのに、殺されたっていうのかよ?意味わかんねぇ」
義哉が言った。
「義哉、保健で習っただろ?人は自分の領域や、縄張りを荒らされるのを嫌うって」
架芭音が言う。
「…つまり、入らなくても|祠《》ほこらの周辺も奴の縄張りだから、近付くのも危険な行為だってことか」
「そういうこと。…殺す必要まではなかったんじゃないかと…俺は思うけどね…」
「…だよな…残酷なことしやがる…!!」
「…お前らも絶対近付くなよ。どんな目に遭うかわかんねぇからな」
荒木の言葉を聞き、蝶葉が、
「…隼斗くんは?」
「え?」
「あれからずっと戻って来ないけど…、幾らなんでも遅過ぎますよね?もしかすると、学校中に居なかったから、祠に向かった可能性もあるんじゃ…」
「…確かに遅過ぎるな。分かった、隼斗のことは俺に任せろ。お前らはここから出るな、いいな?…もし出たら…命の保証は出来ないぞ」
「え、それってどういうこと…?」
梨夜が荒木に不安げに聞く。
「…俺でも感じる、異様な気配だ。近くに、居るのかもな」
「そ、それって…!」
荒木の話を聞き、<それが何なのか>を想像して恐怖を覚える全員。
「…じゃ、行って来るな」
それだけ言うと荒木は走り去って行った。
「…荒木先生って謎だよな」
ふと義哉が呟く。
「突然何よ?」
「いや、荒木先生ってさ、何ていうか、隼斗を異常な程構ってるよなって思ってさ」
「…確かに。それは俺も思った」
架芭音が頷く。そして、思い出しながら言う。
「ほら…えっと。荒木先生っていつも水晶のペンダントを付けてるだろ?でも、さっきは付けてなかった」
「言われてみれば確かに…」
「だから俺は、祠に有津真を探しに行こうとした隼斗に会って、隼斗先生が守護石として自分のネックレスを渡したんじゃないかって、俺思ったんだ」
「…そこまで予想出来るって、架芭音、お前スゲェな…」
義哉が感心していると梨夜が、
「…それで?ここに言われた通りに居るの?隼斗を探しに行かないの?」
と皆に聞く。
「梨夜、今さっきここから出るなって、、荒木先生に言われたばかりじゃないか。いい加減にしろよ。いつまでもそんなままじゃ、いつか後悔するぞ?」
架芭音が梨夜を厳しく叱る。梨夜は黙ったまま、少しだけ俯いて、
「分かったわよ…」
と答えた。
その瞳には、うっすらと涙が滲んでいた…。 6
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