見出し画像

☆心友との小説 7☆

どうも朔月です!
今回も【の章】の続きを投稿していきます。

その頃有津真ゆづまを探し、力を使い果たして倒れてしまった隼斗はやとは…変わらず、薄暗い森に倒れていた。目は固く瞑り、閉じられた瞼は開きそうにない。
サク…サク…
その中で不気味な森を歩く者が居た。
その者は、隼斗はやとの倒れている所に近付き、隼斗はやとを見つめ、抱えた。
「………」
何も言わないまま、その者は隼斗はやとを抱え、消えて行った…。
後ろから銀色の猫がついてきていたことも知らずに…。

隼斗はやとが誰かに連れ去られた頃。ほこらに向かった隼斗はやとを探す荒木あらぎは、学校を出てほこらに通じる不気味な森を歩いていた。
「ここにもいねぇか…隼斗はやと…。本当にほこらまで行ったのか?」
疑問に思いつつ、歩き続ける。
「ん…?」
よく見ると、自分の真下くらいに誰かの携帯が落ちていた。
「…!隼斗はやとの携帯だ!…なんでこんな所に…?」
携帯を拾い上げ、自分のポケットの中にしまった。
「何をしたら落ちるんだよ…」
確か隼斗はやとのポケットには、大事な物を入れておいても落ちないようにらベルトが付いていたはずだ。
そのベルトを外していたとしても、走るだけなら落ちはしないと思うのだが…。
「まさかとは思うが…隼斗はやとの身に何か遭ったのか…?だとしたら早くほこらに向かわないと…!!」
ほこらに向かって走り出す。
俺が行くまで待ってろよ、隼斗はやと
全速力で森を抜けた。

ポツン、ポツン…。
水の音が聞こえる。
ここは…どこだ…?
「…ん…」
目覚めるとそこは、水の滴る空洞だった。
「あれ…俺、森に倒れてたはずだけど…」
と言いながら周りを見回す。
「…誰も居ねぇな…」
とりあえず、有津真ゆづまを探さないと…
そう思い、体を起こして立ち上がった時だった。
コツン…コツン…
こちらに向かって来る靴音が聞こえてきたのは。
「…誰だ?」
暗闇に問い掛けると、向こうから歩いて来たのは少年だった。その少年が隼斗はやとの近くまで来たとき…
「あぁ隼斗、はやと目が覚めたんだね」
と言った。
有津真ゆづま…!お前っ、今までどこに!じゃなくて、何でここに…!?」
俺が動揺していると、有津真ゆづまが、
「僕が君をここまで運んだんだ。…急に居なくなったりしてごめん」
と言って、頭を下げて謝った。
「い、いや…それはいいんだけど…。何で急に居なくなったりしたんだ?先生や皆も心配してたぞ?」
「…同じ学校の生徒が四人も無惨な死体で見つかって…。どうすればいいか分からなくなったんだ…気が付いたら、ここに来てた」
「…そっか、そうだよな…。人が四人も死んだんだもんな、当たり前だと思う…梨夜りよなんか泣いてたし…」
そう。俺が梨夜りよの叫び声を聞き義哉よしやと共に保健室の前まで走って来た時、梨夜りよは泣いていたのだ。
最初は気が動転し、過呼吸まで起こしていた危険な状態だったが、近くに架芭音かばねが居てくれて助かった。
医者の息子である架芭音かばねが応急処置をほどこしてくれたおかげで、悪化せずに済み、状態も安定した。
その時俺は、自分も正常では居られないはずなのに正常を装い、梨夜りよを気遣った架芭音かばねにとても感心をした。義哉よしやも機転を効かせ、救急車と先生を呼んでくれた。
この二人は本当に凄いと思う。
…と、俺が暫く黙り込んでいると有津真ゆづまが、
「君は?君も危なかったの?」
と俺に聞いた。
「俺?俺は…それよりも有津真ゆづまが居ないことを知って、気が気じゃなかった。もしかしたら有津真ゆづまも事件に巻き込まれたんじゃないかって」
「…ごめん。相当心配掛けちゃったみたいだね。君にも皆にも」
「…いいんだ。こうして無事だったから大丈夫。…有津真ゆづま、学校に戻ろうぜ」
そう言って、手を差し出し有津真ゆづまが俺の手を取ろうとした時…
隼斗はやとっ!!」
「!!!」
あまりの突然のことに後ろを振り返る。そこには荒木あらぎが居た。
俺が居ると分かると、こちらに向かって走ってくる。
有津真ゆづま荒木あらぎのことを見つめていた。
…ちょっと不服そうな感じで。

…どんなタイミングで出てくんだよ…。
空気読めよな…全く。
「無事か、隼斗はやと!」
「無事だよ。…っていうか、何でいんだよ?」
「…隼斗はやとほこらに行くなら何で皆にも言わなかった?有津真ゆづまのこともそうだが、どんな理由があったにしろ、皆に一言言ってから行かなきゃだめだろ?心配すんだから。梨夜りよなんてまた泣いてたし」
「…ごめん。それは謝る」
「…えらく素直だな?」
うるせぇな、放っとけ。
「…けど、出てくるタイミングは読んでほしかった。今すげぇいい所だったんだぞ?お前のせいで台無しだ…」
「出てくるタイミングなんて読めるか!…まぁでも…すまん。お前らの会話を邪魔したことは事実だ」
荒木あらぎは謝った。
その後、何かを思い出したかのようにポケットを探り、俺にその中身を渡す。
「あ、携帯…」
一言呟くと、荒木あらぎが俺の頭にポンと優しく手を置き、
「大事な物だろ?もう落とすなよ」
と言って微笑んだ。
「あ、ありがとう…」
一応礼を言い、携帯を受け取った。
ポケットの中に入れ、ベルトを締めた。
俺は有津真ゆづまに向き直り、もう一度言った。
「…戻ろうぜ、有津真ゆづま
有津真ゆづまは、
「ああ…!」
と言って、俺が差し出した手を取った…。
の章・完】

今回は長くなりました、閲覧ありがとうございましたm(*_ _)m
また章ごとに分けて投稿していきたいと思いますので、よろしくお願いします((ヾ( ◍´꒳`◍ ) 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?