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東京→札幌

成田空港。
2年ぶりの日本。

わずかの間に世界は様変わりし、海外旅行も以前のような感覚はもはや通用しなくなった。
旅をしながら耳に入ってくる日本のニュースも絶望的なものばかり。

いざ帰国すると、空港でもコンビニでも飲食店でも、あまりに懇切丁寧な対応をされて、ウルっときてしまう。
なんてちゃんとした人たち。

世界各地、クオリティは低いままでプライスだけが日本を追い越してしまった。
ロークオリティ&ハイプライスが当たり前となってしまった世界旅行から帰還すると、日本の超絶ハイクオリティにはせつなさすら感じる。
クオリティを下げずしてプライスを上げまいとがんばりすぎちゃってるんだな。
でもコストプッシュ型のインフレだから、どんなにがんばったところで不景気の構造は変わらないんだな。

大半の国では、ひとたび都市から離れれば荒野あるいは農村が果てしなく続き、とてつもない地方格差を見せつけられる。
この国では、地方都市でも一国の首都として十分通用するレベルで、田舎でも国道に出れば名だたる飲食店チェーン、ダイソー、ユニクロ、ワークマン、ドンキホーテ、イオンなどがずらりと並び、不便さをまったく感じさせない。

あらゆるモノやサービスが超絶ハイクオリティで細部まで行き届いている。
格差も支配関係もない。
恵まれすぎだ。

メシの国、日本。

食べる喜びの絶頂。
何を食べても本当においしくておいしくて、いちいち泣きそうになる。
心の底から唸らせられる、この重み。

すき家のキング牛丼、並盛にしか見えない。
牛丼1杯+卵に1570円も払ってしまったにもかかわらず、満腹感ははるか彼方。

空腹病は不治の病。
食えば食うほど腹が減る。

ケーキもドーナツも、食パンでさえも、何もかもが世界最上級。
こんなにも繊細で上質なスイーツは他国にはない。
また一段とちっこくなった気がするけど。

寿司食べ放題。
60分1本勝負、ファイッ!

50皿やっつけて、2519円!

デザートも含めたら52皿か。
さすがに満腹、ごっつぁんです。

しかし、翌日からまた飢えとの戦い。
メシがうますぎる国というのも困りものだ。

つくづく、日本は米の国。

米は穀物界の王者。
他の穀物と比較すると、米は耕地面積あたりカロリーや収穫倍率が桁違いで、しかも連作障害を起こさない、スーパーハイスペック穀物。

稲作地域=アジアには全人類の60%が集中し、他のすべての地域の人口を足し合わせてもアジアより少ない。
国単位だとインドや中国ばかりが人口大国として着目されるが、国境を消してみれば、アジア界隈全体が超過密地帯。

古来より人口を増やし養ってきたのは他でもない、米。
ただ、米を育てるには大量の水が必要。
日本がいかに水に恵まれているかがわかる。

米が育たない小麦圏のヨーロッパでは、人口が増えると十分に養えず、たえず土地をめぐって争ってきた。
人類が歴史上起こした戦争の大半がヨーロッパに集中したのは、自分の土地で十分な食料を生産できなかったから。
そして大航海時代より他の大陸を植民支配したことで世界の覇者となり、現在に至る。
アジアがそうなれなかったのは、自分の土地で食うに足りて大陸外進出する必要がなかったから。

自然や動物に対する態度、食に対する意識、死生観。
自然環境の違いが世界観の違いを生み出し、歴史を動かしてきた。
生き抜くために奴隷を使ってきたヨーロッパ人は、現代においても移民を労働力として人口を維持している。
食うに困らなかったアジアでは、現代社会で少子化してもなお移民を使うことに抵抗を感じ、人口減少の危機に陥っている。
古代から現代にいたるまで、世界の構図は地理と気候を見ればつながる。

鬱蒼と生い茂る森にひそむ鳥居。

精霊が宿る樹木を伐採することを禁忌とする神道の世界観。

一神教が成立する以前は、こういったアニミズムは全人類に通ずる根元的宗教観だったのではないだろうか。
キリスト教やイスラム教の一神教的価値観に蹂躙された地域と免れた地域とでは、自然や動物に対する見方が異なるように思える。

日本の国鳥、キジ。

マムシ。

今も昔も、野宿の定番といったら道の駅。

道の駅は、たいてい17〜18時に店が閉まり、人気が失せて暗くなったらサッとテントを張る。
もちろん公認されているわけではないので、人目につかぬよう迷惑かけぬよう、こっそりと。

車中泊している人もたくさんいる。
閉業してもトイレや自販機は利用できる。

日本のトイレはきれいなんだけど、

禁止禁止禁止禁止禁止、、、、、

何でもかんでも禁止禁止禁止。
女子トイレにわざわざ「男性立入禁止」と書かれているのも見たことがある。

人っ子一人いない公園に自転車1台乗り入れたところで誰に何の弊害が?

宿に泊まっても、怒涛の貼り紙。

LINEやPayPayなど日本独自のアプリが、スッとシンプルにまとまらずゴチャついて見づらいのは、この貼り紙文化に起因しているような気がする。

狭小なスペースにきめ細かなサービスをぎっしり詰め込むのも日本のお家芸。
やはりいたるところに貼り紙。

とにかく芸が細かい、充実しすぎのサービス。

快活CLUB泊。

プライベートブース、フリードリンク、フリーアイスクリーム、フリーシャワー、フリーコミックス、24時間オープン。

別に目新しくはない前からあるものだが、改めてこの異常なサービスはオンリーインジャパン。

一晩で一体何回ソフトクリームおかわりするだろうか、これ止まらないんだな。

快適すぎてクセになる。

世界中にあったネットカフェはすっかり姿を消し、絶滅してしまった。
この島国では、独自の進化を遂げたネットカフェではない何かが生き残っている。

日本のトイレは世界一。
そのクリーンさやウォシュレットは言わずもがな、トイレットペーパーが常にフルストックされているのも他に例を見ない。

この閉ざされた静寂空間、僕はけっこう好きだったりする。

フリーブレックファースト。
サービス充実しすぎだ。

「幸福度調査」とかいういかがわしいランキングで、日本はいつも下位の方だという話をよく耳にする。
あまりにも恵まれた環境で生まれ育つと、それが当たり前という認識になって幸福さを実感できなくなる。
世界でもぶっちぎりで極上レベルのサービスを提供している店員さんに対して、ちょっとしたつまらないことでキレたり怒鳴ったりレビューで叩いたりする客、他にもそういった健全とは思えない病的なトラブルが負の連鎖となり、ストレスが蓄積し、極上の環境であるにもかかわらず不幸であると感じてしまう。
逆に本当に恵まれない環境の国々では、食べたり遊んだり家族友人と団欒したりするのが当たり前でないことをよく知っているからこそ幸福感を得やすい、というのがあるかもしれない。
帰国してまだ間もない僕は店員さんのサービスに対してお礼を言わずにいられない、でも日本になじむにしたがってこの感覚も薄れていくのかもしれない。

世界でもぶっちぎりで極上サービスを提供する日本だが、キャンプ場に関してはどうも違う。
欧米文化圏のキャンプ場は、シャワー、電源、Wi-Fi、キッチン、ランドリー、など生きていく上で必要なものは基本的にそろっている、キャンプ場も宿泊施設なのだから。
でも日本のキャンプ場はトイレと水道しかないところが多い。

度を越した潔癖民族の日本人、キャンプ場にシャワーがない(あっても有料だったりする)のは実に不思議、快活CLUBでさえあるのに。でも日本には銭湯がそこらにあるので、今のところ今回の国内走行では毎日シャワーを浴びれてはいる。
外国人には銭湯はハードル高そうだ。

絶対に必要であるゴミ箱がない(あっても有料だったりする)のはさらに謎。
金をとって客は受け入れるけどゴミは受け入れないとは、なんとも勝手だな。
「ゴミは持ち帰り」と言うけれど、一体どこに持ち帰れと?

公園泊。

公園にもトイレと水道はあるので、お金を払ってキャンプ場に泊まるよりは、公園でこっそり寝た方がいい。

しかし、公園にもゴミ箱がない。
結局、本来無関係であるコンビニのゴミ箱に、ささやかな罪悪感を抱きながら捨てることになる。
コンビニには「家庭ゴミお断り」と書かれているが、家庭のゴミではないのでセーフか。
場合によっては、前日からのゴミがいつまでも捨てられず、溜めながら進み続けるしかないこともある。

日本に行ったことのある外国人が口をそろえて言う不満も、ダントツで「日本はゴミが捨てられない」。
日本人の僕でも大いに不満である。
いやほんとに、どこに持ち帰れと?

全国各地にいる知人友人たちからお声がけいただき、泊まらせてもらうことも。
旅の出発前にやった「小学校の窓清掃」で「またどこかで会えそうな気がする」と言葉を交わした人たちとさっそくの再会。

10年前にネパールで一度だけ会った旅人と10年ぶりに再会したり。

今回の国内走行でずっと気になっているのだが、田舎の歩道ってこんなに草ボーボーだったっけ?

たまたま草刈り前の時期でこういう状態なのか、それともこれがインフラ崩壊の始まりなのか。

自転車は車道を走るというルールになっているはずだが、日本の道路はあくまで自転車に歩道を走らせるような設計になっている。
歩道の凸凹と縁石の衝撃を一日中くらい続けるのは甚大なストレス。
特に荷物満載の重い自転車だと衝撃も倍増。

歩行者は限りなく皆無だし、この貴重なスペースの半分でもいいから自転車レーンにしてほしい。
縁石はすべてブッ壊して、車道と同じ滑らか路面に。
いやムリなのはわかってる、言ってみただけ。

今後は、道路環境整備よりはルール違反厳罰化に走るのだろう。
日本の道路は、自転車に違反させるようなつくりになっている。
ルールと実情がまるで噛み合っていない矛盾だらけの道路構造。
道路整備なんて支出がかさむだけ、というかもうそんな金はない、それよりはカモに違反させて罰金を搾り取った方が収益につながる、そういう時代になっていく。
いわゆるママチャリ、老人も子供も全員車道を走るようになったらおっかないだろうな、でもそれがルールだというならしゃあない。

日本はトンネルだらけの国。
自転車が走行できるスペースが確保されていないことも多い、恐怖の時間。

猪苗代湖。

磐梯山(1816m)。

たまたま話しかけてきた地元民。
少し立ち話して、去り際に「福島を楽しんでください!」と言われた。
こういうセリフはなかなか出てこないな。
地元愛があるんだな。

岩手山(2038m)。

十和田湖。

岩手県から青森県にかけて、一戸、二戸〜八戸、九戸という地名があり、最後がこの十和田湖、というのを初めて日本一周した時に知った。

北海道上陸。

ガラナ飲んで走るよ。

羊蹄山とニセコ川。

羊蹄山(1898m)。

標高600mほどの峠を越えて、眼下に小樽の街。

札幌。

たまたま、YOSAKOIソーラン祭り。

高知の「よさこい祭り」と、北海道の「ソーラン節」のミックス。
ソーラン節は、北海道のニシン漁で歌われた労働歌がルーツ。
全国各地からチームが集い、踊りを披露する。

虫歯がひどいことになっているので、ここでしばし歯医者に通います。

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