見出し画像

無職、沖縄に立つ

沖縄のことが、隣のクラスの趣味が合いそうな、だけどどこか田舎者の私としては話す標準語がスカしている印象で恐れ多くも話しかけられず、日々屈折していく募る思いをこじらしているあの転校生のことくらい好きだ。

あのとき、修学旅行のホテルでこっそり飲んだオリオンビールと、北陸の街並みとは対照的な晴天と椰子の木のことを思い出すたびに、修学旅行というバスto観光地のモラトリアム旅、ひいてはいわゆる「いいご身分」でありながらでもでもだっての死にたがりを憚らぬいたいけな1/3の純情を思い出して、北陸の曇天のもと、雪風に揺れる杉並木を眺めながら、簡単に言えば「あの頃は良かったね」と胸が締め付けられる。そういうパブロフの犬なのだ、「那覇」という言葉は。あしびな〜。

そんな転校生の気になるあの子とこっそりオリオンビールを飲みたいじゃん。沖縄、行こ。7日くらい行こ。

名護のビーチ

はい。

来た。

海水、透明すぎる。

全然さむくない。

最高の海じゃん。最高の海に来ちゃったよ。

(比較)福井県の海岸

友だちが車を出してくれたんで、いろんなところ行けてますます最高。
レンタルバイクもいいね。

以下、行ったとこたち。

沖縄県立図書館

旭橋駅およびバスターミナル付近。宿泊施設の徒歩圏内。ナイストラベル。
郷土資料がたいへん充実していて素晴らしい。椎名誠の旅行記に読み入ってしまって、飛行機乗ってフェリー乗り継いで離島に行きたくなっちゃった。

気になっていたユタ/戦時記/遺骨発掘等の資料にアクセスできて知見が深まったほか、ちゃんとガイドブックも多数置いてあって観光客に優しい。POPEYEの沖縄特集読んどけば万事がうまくいきますよね、なぜならすべてのオシャレを分かることができる、それがPOPEYEだからです。POPEYEとは、トートロジーなのです。

とにかく情報収集ですよ旅行とは。事前にすれば効率が良いと思って憚らない人はティックトックでビーチの動画でも見て満足していてください。それはさておきこの旅の効率は本当に良くないです。無職むけだね。

コザ

たいへん好き。クラブ文化とかカンナビノイド系とかが好きな人はこの街が絶対好きでしょうが、私はハリネズミのインキャなので、昼間にニヤニヤとコソつきながら写真撮ってた。

フリーダム
ばりPEACEじゃん

このとき被ってるバケットハットは国際通り付近で泥酔してるときに手巻きたばこセットと一緒にロストした。帰りの荷物が軽くなってWINになりました。

「山椒系のフレーバーが衝撃的なBrazilを焙煎している」というコーヒー情報が私の中ではお馴染みのAMBER HOLICでコーヒー豆輸入業者になったので、福井に帰ったら地元のコーヒーフリークとお茶会かまそうと思います。

国際通りらへん

足立屋

オリオンビールでセンベロしたいときは今後もここへ足が繁くことになるでしょうね。あなたもオクラの串カツを100本食べたいはずです。沖縄で食べたごはんの中で、ここの串カツが一番美味しかったです。バカ舌の自覚に満ちています。

あとは最高の女の子にいろんな飲み屋へ連れてってもらったんだけど限界の吐瀉物マシーンになっていたのであまり記憶がなくて、あとはただ自分を責める夜が更けていくだけです。情けないと思いませんか。こんなのダメですよ。本当に、死ぬということがわかりかけました。ご迷惑をかけました。

古宇利島

旅行中はずっと曇天だったし、レンタルカブでツーリングした日は水曜どうでしょうのベトナム編みたいな土砂降りだった。私は多分今後もそうだ。そういう星の元に生まれている。でもやっぱりいちどでもピカピカに晴れて欲しかったな。

それでもやっぱり曇天でも海きれいだね。いまLRで使っているプリセットが晴天を前提にしているので上記の写真は重圧な雰囲気が漂っていますが、悲壮感ではありません、この時の私は。島ぞうりを買えばよかったなあ、と考えています。

知らない鳥が飛んでて、知らない魚を釣っている人がいた。生態系の変容は異国ですね。パイナップルがありえないくらい甘かったし、ミミガーのジャーキーは非常においしいので食わず嫌いをせずにいちど食べたほうがいいし、ポークたまごおにぎりは最初ふうんと思っていたのに結局3回食べた。つまりは、それらが、生態系です。順応の過程を経るためには、2泊3日ごときでは不十分でしょう。すなわち、みんなが、仕事を辞めればよいと思いましょう。

南部

旧海軍司令部壕
ひめゆりの塔
で、修学旅行生と大バッティングをするさま

あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
辛すぎる

私の手や足がちぎれることがなく、仮にちぎれてしまったとしても、大量の蛆の棲家になることがなく、また、そういう状態の私を、本来であればただ幸せに暮らすべきの学生たちが看護することがなく、そして、手榴弾で自決しなくてもよい世界に生まれてきて、本当によかったですよね?おばあちゃんの説教ではなく、真に、心の底からよかったですね?

ウチナンチュのみなさんがこのような歴史を持つ土地で、あんなに優しく、明るく、わたしたちを出迎えてくれることについて、罪の意識を抱きます。それでもゆいレールは定時通り運行します。私は、あなたたちに、なにかを償わなければならない。今の私には、クレジットカードの限界額まで、お金を落とすことしかできません。ごめんなさい。

斎場御嶽(セイファーウタキ)

御嶽には絶対に行きたかった。
ぜひ、御嶽の祭壇に上ることのできるユタになりたかった。巫女になりたい。いつか巫女になれたらいいのになあ。祈りを捧げたい。LSDじゃなくってナチュラルボーンで4次元の世界へ訪れてみたかった。

オリエンタルを呼称する場合の鳥居の先と同様の空気感、すなわち異国の神域であった。たいへんカッコよかったが、写真を撮ることしか考えていない群衆どもで満ち溢れていたので、次はもうちょっと観光地化されていない御嶽で水風呂になりたいと思います。

友だちがしてた「酔っ払ったユタたちに店の中を塩まみれにされた話」大好き。

ゾム(借)

レンタル819那覇空港店で新型カブ110を借りて南部を回った。ディスクブレーキしか勝たんになってしまった。うるま市あたりは闘牛の文化が盛んで牛小屋の匂いがしがちだと教えてもらっていたけど、南部も同様、さみしくやさしい瞳をもった獣の匂いがする。

山陰の山間をゾムで走行したときは、集落に近づくたび漂う金木犀と雪隠の織り混ざった匂いが印象的だったけど、沖縄は総じて牛だ。それから居酒屋の下水の匂いと、ステーキハウスの肉の匂い。匂いがする都市はいい、生活で匂いを嗅ぐたびにトラベルしてしまうので。

沖縄の道路は石灰質で滑る。走行中は問題ないけど、停止して足をつく感覚の、本土との違いにひっくり返りそうになる。それから二輪は上手に信号待ちの車間をぬって走る。結局どうしたって余所者なのだ。

スーパーカブ、かわいい
つらい

那覇市内で全身びしょ濡れなのに渋滞に大はまりして挫けてしまったけど、それでもなお、旅行先でも乗り慣れたバイクだと安定感があってよろしい。だから結局スーパーカブが最高なんですよね。

A&W

ウチナーグチでエンダーって略すの?かっけ〜な〜。

バンズがモチモチでウマでした。

ルートビアについては、はひ……でした。ルートビアは、はひ……てかんじです。そもそもドクペとかコーラとか苦手な人にとってはそりゃはひ……ですよね。お門違いです。語る資格なし。立ち去れ。

さんぴん茶はまったくもってジャスミンティーでうまかったです。

そのほか

元たまの知久さんのライブに赴き月食の日に月食仮面を聴いて、そのライブを見に来た香川から沖縄に移住した人がポケットに吸い殻をしまっていてウケたり、沖縄県立美術館に行くなどの文化活動をしました。そんでやっぱり名護のビーチがいちばん好きだな。

沖縄に来てる外国の人たち全員ここに泊まってるでしょ?ってくらい外国人率が高いゲストハウス周辺はもう私のものです。完璧に地理が”わかる”。やっぱり旅行先には7日くらい居るべきですよね。

沖縄空港

6泊7日が秒で過ぎた。あっという間に帰る時間だ。

帰りたくないな。帰りたくない気持ちでこの写真撮ってたら、航空券が風に飛んでいった。本当に帰れなくなると思うとかなり焦る。拾ってくれた人が爆笑してた。ありがとう。

帰るのか〜。帰んなきゃいけないよね。だって”来た”んだもん。来た者は帰るべく運命にあるのだ。演繹法的にそうなのだ。

あ〜〜

やだよ〜〜

待って!落ち着いて一回戻ろ!戻って!

……。

こんなのさよならじゃん。さよならをしました。沖縄はいつでもさよならの街だ。きっと一生住むことがないので、きっと一生さよならをし続けることになるのだ。

全国に通用する沖縄の有名人、バヤリース

沖縄バヤリース・ソルティシークヮーサーは、海塩と旅行者の涙で出来てる。だからめっちゃうまい。

「また来る」としか言いようのない感傷

沖縄はやっぱり「隣のクラスの趣味が合いそうな、だけどどこか田舎者の私としては話す標準語がスカしている印象で恐れ多くも話しかけられず、日々屈折していく募る思いをこじらしているあの転校生」のままだ。また歩み寄れなかった。一緒にオリオンビールは飲めなかった。

いつかLINE交換できるのかな。仲良くなった暁には、一緒に下呂温泉とか行きたいな。

登録地を沖縄にした雨レーダーの通知は、しばらくそのままにしておく

晴天のもと、異郷の雨予報に手首が震えるとき、ユタたちは共同体を祈っているのだろうか。

どうでもいいけど沖縄の友だちが全員あほみたいにたばこを吸うので喫煙量が増えたまま戻りません。責任取ってくれ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?