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臨床心理士と公認心理師の2023年3月推定人数

公認心理師という新しい心の国家資格

公認心理師というはじめての心理系国家資格ができて、まだ数年しか経っていませんが、現任者講習会ルート(Gルート)を経て、5年以上相談業務を行っていた様々な方が公認心理師になっていっています。

その「現任者」には様々な職種、資格の方が含まれており、これまでほぼ1強とされていた「臨床心理士」だけでなく、小中高や特別支援学校の教員、看護師や保健師、社会福祉士や精神保健福祉士、ケースワーカー、キャリアコンサルタント、医師、児童相談所職員、家庭裁判所調査官、その他心理カウンセラーとして働いておられる方々など、何でもありとまではいかないものの、「公認心理師って結局なに?」って言われてしまいそうなくらい、色んな人が公認心理師になっていっています。

ただし、この現任者講習会ルート(Gルート)は、あくまで2018年〜2023年までの5年間の移行措置(経過措置)なので、この期間を越えると正規のルートとして大学4年+大学院2年→公認心理師試験受験という形がメインになるでしょう。

臨床心理士と公認心理師の推定人数(2023年3月頃)

そこで、公認心理師所持者に占める臨床心理士の割合が、かなり少なくなってしまうのではないかと考え、2023年3月ごろにおける臨床心理士と公認心理師の推定人数を計算してみました。

[現在の値]

公認心理師
合格者36438人(2019年9月時点)
登録者34934人(2020年3月時点)

臨床心理士 
登録者37249人(2019年12月時点)

[臨床心理士の受験者数/合格者数の推定]

臨床心理士の受験者/合格者は、減っていっており(合格者数は1601→1623→1590→1408→1337人*)、これを例えば2020年、2021年、2022年と、毎年1350人ずつ増えていった場合でも、臨床心理士の数は2020年末38599人、2021年39949人、2022年41299人程度になります。
*2015年〜2019年の臨床心理士の合格者数。

[公認心理師登録者の推定(~2023年3月,Gルート受験が終わる第5回試験)]

公認心理師合格&登録者数34934人
(2020年3月時点**[第2回公認心理師試験終了])

以下に、2021年3月時点[第3回終了]、2022年3月時点[第4回終了]、2023年3月時点[第5回終了]時にどれくらいの公認心理師が増えるか仮に計算をしてみました。
**臨床心理士と公認心理師とで測定時期が異なるため注意。

第3回公認心理師試験(推計)

公認心理師受験者数[第2回公認心理師試験]は、受験者数16949人/合格者数7864人(合格率46.4%)であることから、第3回受験者数は前回現任者講習会修了者8277人+第2回不合格者9085人+α(まだ受けてない人)
17362人+α(全員受けないとしても17000人程度?) 、合格者7650人(合格率45%の場合)

第4回公認心理師試験(推計)

公認心理師受験者数[第3回公認心理師試験]が、受験者数17000人/合格者数7650人(合格率45%)になる場合、第4回受験者数は今回(2020年)現任者講習会修了者12000人(仮の数字。オンラインでオンデマンド可なので大幅に増える可能性)+第2回不合格者9350人+α(未受験者)
受験者21350人+α(全員受けないとしても20000人程度?)、合格者9608人(合格率45%の場合)

第5回公認心理師試験(推計)

公認心理師受験者数[第4回公認心理師試験]が、受験者数21350人/合格者数9608人(合格率45%)になる場合、第5回受験者数は今回(2020年)現任者講習会修了者10000人(仮の数字。Gルート最終回)+第2回不合格者11742人+α(未受験者)
受験者21742人+α(全員受けないとしても20000人程度?)、合格者11000人(合格率45%の場合)

公認心理師推定合計

=34934人(第1~2回)+7650人(第3回)+9608人(第4回)+11000人(第5回)=63192人

臨床心理士推定合計(2022年時点)

=41299人

上記の仮計算では、最初思っていたよりは、臨床心理士の比率は減りませんでした(公認心理師のうち、臨床心理士の割合は約65%[あくまで推計])。

[変動要因]

・オンライン現任者講習会での修了者が、上記計算より増えれば臨床心理士の比率は下がり、上記計算より減れば臨床心理士の比率は増える(現時点では、第4回を12000人、第5回を10000人で計算)。
・公認心理師合格率が、第3回、第4回、第5回と、上記計算より高くなれば臨床心理士の比率は下がり、上記計算より低くなれば(合格率がどんどん下がっていけば)臨床心理士の比率は増える(現時点では、第3回〜第5回の合格率を45%で計算)。Gルートの合格率は全体と比べて低いため、臨床心理士のほとんどが受験し終わった第3回からは、大幅に合格率が減る可能性がある(現任者講習会でも臨床心理士の占める割合は、2019年度ですら10%未満だった)。
・臨床心理士の受験者数が上記計算より減れば、臨床心理士の比率は減るが、数十〜200程度しか変わらないと思われるので、微々たる差。

以上のことから、合格率の低さから、当初考えていたほどには臨床心理士の比率は減らない(半減とはならない)可能性があるが、それでも、公認心理師のうち「元臨床心理士メイン65%、元教員メイン18%、元看護師メイン8%、元SWメイン4%、その他5%」くらいになりそうですね。

臨床心理士や公認心理師の行く末

今後、臨床心理士と公認心理師は、かなり色の違う資格として分かれていきそうな気がします。ただ、今後臨床心理士がどのように生き残っていくかも、公認心理師がどのような資格となっていくかも、いずれもその資格を持つ私たちがどのように示していくかによって大きく変わりうるものと考えらられます。

ただ長いものに巻かれるだけでなく、政治その他に任せるだけでなく、ひとりひとりの臨床心理士、公認心理師が、社会に役立つ形で活躍していけることを望んでいます。

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