亡くなった母の笑顔

うちの母が亡くなって13年経って、初めて笑顔で夢に出てきた。

今までも夢に出てきたことはあったけど、笑顔じゃなかった。大体私が積年の恨みををぶちまけて怒っていた(私は普段怒りをあらわにすることがほとんどないので、代償夢として時々激しく夢の中で怒る)。

母の表情は見えたり見えなかったりで、とにかく笑ってはいなかった。

夢の中で私は、最近むかついたことを実家に一人でいるつもりでけっこう大きな声で悪態をついていたのだが、2階にいた母に丸聞こえだった。

私は母が亡くなっていると気付かずに、むかついたことを聴いてもらった。
母は聴きつつもなだめてくれた。

最後に私は、母がもう亡くなっていることに気付き、今度いつ出てきてくれるの?と問いかけたが、どんどん姿が薄れていって、答えは聞けなかった。

そのあと祖母が出てきた。老衰で亡くなった祖母。うす水色の髪をしていて、ドットの服を着ていた。おしゃれだった。にこにこ笑っていた。
祖母はあまりおしゃれをする人ではなかったけど、よく似合っていた。

服のボタンにペースメーカーのスイッチがあって、見せてくれた。
(実際はペースメーカーをつけていなかったし、そもそも当然ながらペースメーカーはスイッチ式ではない。)

目が覚めて、なんとも言えない気持ちになった。

母が笑顔で出てきてくれたことが嬉しくて、夫や友達にラインで送った。

夢の中では、冷蔵庫の野菜室になぜか味噌と干し芋(なぜかおがくずの中に入っている)がパンパンに詰められており、むいた梨、グレープフルーツがむき出しで乗っていた。

グレープフルーツをかじったら、ものすごく苦かった。夢の中で味を感じたのは今までで初めてだった。

夢に意味なんてないけど、漠然と、母と祖母は私のことを見守っているし、生きててほしいんだなと思うことにした。

二人がもういないのは悲しいけど事実だし、また夢で会えるならそれはそれでいいと思った。

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