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Let’s!和ごはんプロジェクト メンバー企業様に会いに行ってみよう!(第二回 レタスクラブ)

お米離れが年々加速している現代日本。『このままではいけない…』 『業界のためにも“何か”しなくては…』そう思ってはいるものの、名案が浮かぶわけでもなく同じように過ぎてしまう日々…。
『それならいっそ、いつもと違うことをしてみよう!!』そう思い立ちロックオンしたのは、当社も参画する「Let’s!和ごはんプロジェクト」そのメンバー達だった…。


そんな拡大解釈をしたアサヒパック広報担当が、『いいよ~!』と快諾してくれた「異業界の企業さん」へと押しかけて、和食のこと、お米のことなどなど、色々お話を聞いちゃいます!そこにはきっと新しい気付きやヒントがあるはずなのです!!


【 お話を伺った方 】
株式会社毎日が発見 レタスクラブ編集部 編集長 前田 雅子様

意外と届いていない「お米のあれこれ」


―― 本日はよろしくお願いします!編集長さんにお話を伺えると聞いてドキドキしながら伺いました!

前田 こちらこそ!「お米の袋」を専門に扱ってらっしゃる会社があるんだって、すごくハッとしたというか、『そうかそこに需要が』って思ってました。なければ流通できませんもんね。いつも勝手にお世話になってます(笑)。


―― いえいえ、恐縮です…!早速ですが、なにやら昨年の11月にお米関係のイベントを開催されたそうで。
 

前田 そうなんです。「おめぐり」っていう読者参加型のイベントだったんですが、「3種類のお米食べ比べ」からスタートして、フードユニット「ごはん同盟」のお2人による「混ぜご飯講座」、最後にブルドックソースさんご提供の万能ソースを使った「おかず3品の試食会」を行いまして、約200名の方にご参加いただきました。お米にまつわるお土産もたくさんご用意したんですよ。 


―― 大盛況だったんですね!皆さんの反応はいかがでしたか?

前田 普段なかなかできない「食べ比べ」を楽しんでいただけたみたいで、「この品種が美味しい」とか「今度買ってみます」といった感想をいただきました。また当日は、ごはん同盟の「しらいのりこ」さんから、お米の保存方法や炊き方についてレクチャーをしていただいたんですが…正直、「もうそんなこと知ってます!」って言われたらどうしようって思っていたんです(笑)。例えば『精米は生鮮食品です』とか、『冷水から炊いた方が美味しい』とか、『食べない分はすぐに冷凍保存しましょう』みたいな、私たちもメディアとして何度も発信しているつもりの内容だったんですが、実際は「目からウロコでした!」って…意外とご存じない方が多かったんですよ。


―― 米穀業界の人間としても耳が痛いお話です…。もっともっと発信していかなければ(汗)。

前田 また「無洗米について」の解説を聞いた参加者の方からは『なんだか“手を抜いている”みたいなイメージがあって、使うことに罪悪感を持っていたけれど、「研ぎ汁による環境負荷も少ない」とか「むしろ気軽に使って良いものだ」というお話を聞いて泣きそうになった』と感想をいただきまして。きっと、お子さんがいらっしゃったりして、お忙しい方だったんでしょうね。こういった場を設けてよかったなと感じました。 


―― そうですか、無洗米に罪悪感を…。こういった生の声を直接いただけるのは“リアル”のイベントならではですね。

前田 本当にそうだと思います。それに「お米」って食材の中でも特に“訴求が難しい”と感じていまして…。例えばお肉なら写真や文章でも「肉汁じゅわぁ」とか、「テリテリ」とか、「シズル感」みたいな表現がいくらでも媒体としてできるんですけど、それと比べると、なかなかその「美味しさ」を伝えるのが難しくて。それで『圧倒的に美味しいお米を、その場で集中して味わってもらえるような場を提供したい』と思って企画したイベントだったんです。


―― やっぱり「実際に食べてもらう」っていう体験機会の提供が、お米の価値を改めて感じてもらう一番の近道なのかも知れませんね。

「ごはん同盟」のお2人
ご飯好きの、ご飯好きによる、ご飯好きのための、炊飯系フードユニット。
試作係(調理担当)の「しらいのりこ」さんと、
試食係(企画・執筆担当)の「シライジュンイチ」さんのご夫婦で活動されている。

“何をどう伝えるか”は一考の余地あり


―― 先ほど前田さんもおっしゃっていましたが、私たちも「パッケージだけでお米の魅力や美味しさを表現すること」には、日々難しさを感じています。米袋の専門メーカーとして色々と工夫を凝らしてはいるのですが…。そのお米の“何をアピールするのか”は悩ましいポイントの一つです。

前田 そうですよね。仕事柄、炊飯器メーカーさんとお話しする機会も多いんですが、同じように「どんな付加価値をつけて炊飯器を届けるか」には苦戦されているみたいで…。それでも上手にPRされてヒット商品を生み出しているのはすごいなと思います。ただ、そういった「お米のプロ」の方々がアピールをされる際の『皆さんこのくらいは知ってるよね』のハードルに、消費者がなかなか追いつけていないな、と感じることも多いです。私も含めてですが一般の方の知識って「魚沼のコシヒカリって美味しいよね」とか「なんか最近見かける「新之助」ってお米が口コミで美味しいって聞いた」といったような、思ったよりも多分ふんわりしたものなんです。


―― 確かに、私もこの仕事を始めるより前の知識ってそのくらいだったかも知れません。まず『日本のお米ってこんなに種類があるの!?』ってびっくりした覚えがあります(汗)。

前田 今の炊飯器ってすごく高機能で「銘柄による炊き分け」ができるモデルなんかがあるそうなんです。確かに「うちのお米に合わせて炊いてくれるんだね」っていう安心感はありますが、使いこなせるかと言われると…。何種類もお米を買って食べ比べなんて、なかなか家庭ではできませんしね。あとは「品種の違い」まで考えが至らない、っていうこともあるかと思います。私は硬めが好きなんですが、そういう食感を意識し始めたのってごく最近で、炊きあがりが柔らかめだったりすると「水加減が多いのかなあ」とか、「新米の時期だからこんなもんかなあ」みたいに感じていましたね。それで、先述のイベントの中で「しらいのりこ」さんが「この料理に合う」っていう軸でお米の品種を紹介されたのを聞いて『なるほど!』と思いました。


―― やっぱり「料理との相性」っていう軸での提案は一般の方から見ても親しみやすい紹介方法ですよね。個人的には、最近流行りの「低アミロース系」のお米なんかは、もっちりしていてお腹に溜まるイメージがあるので『食べ盛りの方のいるご家庭におすすめ!』みたいなPRも面白いかなと思っています。

前田 いいですね!『食べ応え抜群!』みたいな(笑)。そういうライフスタイルだったり「暮らし向き」を軸にした紹介も、新しくて面白いと思います!

無意識にハードルを上げてしまっているかも…。


―― レタスクラブさんに掲載されているレシピは、普段どのように制作されているんですか?

前田 通常は図のような流れで進めています。私たちは「家庭での再現率」っていうのをすごく大切にしていまして、③や④の部分で、実際に作ったときに「分かりにくくないか」とか「危ない工程はないか」、「本当にその時間で作れるか」みたいなところを、しっかりと検証しています。もしかするとAIでもレシピが作れる時代なのかも知れませんが、機械的に「作れるか」ではなくて、「作りやすいか」「作り続けられるか」にフォーカスしたいと思っています。あと、編集者側としては、どうしても工程を丁寧に記載したいのでレシピが長くなりがちなんですが、そうならないように工夫していますね。


―― そうなんですよ!長いレシピって「ちょっとこれは難しいかも」って見ただけで感じてしまうんですよね。

前田 私も同じです(笑)。今って大半の方はお仕事をされていて、共働きのご家庭も多くて、皆さんとにかく忙しくてバタバタしてヘトヘトで…。“それでも作れる料理”っていうものをレタスクラブでは発信しています。今回お声掛けいただいたキッカケの「Let's!和ごはんプロジェクト」についても、日本人のベースになる和食を、「一から出汁を取って」とか「手間暇かけて」って毎日頑張るのではなくて、「もっと手軽に作って食べましょう!」ということを発信したくて参画したんです。

レタスクラブさんの「Let’s!和ごはんプロジェクトの読みもの
掲載されているレシピの数々は、工程が少なく分かりやすく工夫されている。

前田 今って「自分で作らなくても食べられる世の中」だったりします。それを否定するつもりは全くありませんが、この先も長く「家庭で作って食べる」ってことを考えると、和食はすごく日本人に合ってもいるし、体にも優しい。世の中の健康意識の高まりから、和食への回帰の流れも感じていますので、レタスクラブでも改めて「和食」を推していきたい、という気持ちもあります。


―― なるほど、この「さば缶の炊き込みご飯」なんかも、とってもお手軽で「試してみたい!」って思えます。これを「鯖を捌いて仕込む」ところから始めるのは大変ですもんね。

前田 場合によるとは思うのですが、「料亭ではこうする」みたいなことも、ご家庭ではそこまでする必要がなかったりします。「和食は難しい」というイメージがあるかもしれませんが、実は結構手軽にできる。さば缶のように、現代では便利なものがたくさんありますから、それを「肩の力を抜いて利用しましょう!」というのが媒体のスタンスなんです。

大人気の「献立カレンダー」
平日5日×4週間分の献立とそれに必要な食材がまとめられている。
嬉しいのは1週間ごと、食材が使い切れるように計算されていること。
これはレシピの提案、というよりも「仕組みそのもの」の提案だ。

前田 ただ、生活情報誌である私たちの方から「和食を作りましょう」「和食を手軽に」って改めて掲げると…、ちょっと壮大になり過ぎて、少し敷居が高くなってしまうと思うんです。なので「スピード煮物!」みたいなフレーズを使って、お悩みの解消だったり、エンタメ的な切り口で楽しい気持ちをくすぐる方が、読者の皆さんに届くのかなと考えています。


―― 確かに「和食を手軽に」ってフレーズが意図せず、その「和食」のハードルを上げてしまっているのかも知れませんね…。なんだか、とてもとても考えさせられました。ありがとうございます!

毎年10月ごろに特集される通称「煮もの号」。読者の皆さんも楽しみにされている。


―― 最後に前田さんとレタスクラブの皆さんの想いを聴かせていただけますか?

前田 はい。とにかく「作って食べる」を絶やしたくないと思っています。それが、健康に生きることのベースであるはずだからです。だけど、皆さん様々なライフスタイルがあって、子育てで目が回りそうな時期や、時には義務で料理をしていて涙が出ることだってあるはずです。そんな時でも美味しく作り続けられるように、とにかくどんな局面でも、そのベースのお手伝いがしたいと考えています。私たちレタスクラブのイメージは「時短」が先行するかと思いますが、それが目的なのではなくて、忙しい現代人の、この「作って食べる」のハードルを少しでも下げたい、そういう想いから来ているものなんです。先述のとおり「自分で作らなくても食べていける世の中」で、それが悪いとか、買っちゃいけないということではなくて、基本のスキルとして、「作って食べる」力をずっと持っていて欲しい、そう思っています。

※本記事は弊社発行「こめすけ 49」に掲載の内容を加筆修正し、再構成したものです。
※取材は2023年12月に行いました。