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また今日を語る日に


曲を聴くとそのときの情景がぶわっと蘇る。
あたかもそこにタイムスリップしたかのように、自分の居場所と、においと、考えていたことや感情までもが全て"戻る"


小学生のころ、福祉施設に行って少年時代を歌った。
大声で歌って歌詞をすっ飛ばしてしまってみんなを困惑させてしまった。
今でもアアアアアとなる。

初めて買ったCDはのだめカンタービレのドラマで使われたクラシックのアルバム。
ちあき先輩との初めてのピアノ連弾でのだめが2小節で間違えるパターンとか入ってて大好きだった。
火曜の朝、父から「昨日寝ながら指揮振ってたよ」と言われさすがに影響されすぎだろと思った。

中学生のころ3月9日を先輩が卒業式で歌ってた。
友達に借りたレミオロメンのアルバムがすごくよかった。
みんなノートや下敷きに歌詞を書いていた。
私は傘クラゲを書いた。若気の至り。今でも梅雨になると聴きたくなる。

高校生のころ部活の定期演奏会で毎年やる曲があった。
送る側が送られる側になったとき、曲の雰囲気とか、解釈とか、一転したのを覚えている。
煌々とスポットライトの当たるステージに立ったのはあれが最後だ。

卒業してすぐ母が交通事故にあってしばらく入院生活になった。
かなりゆるい私の人生の中で、
家の事と、お見舞いと、慣れない仕事と、全部がいっぱいいっぱいだったのはあの頃しかない。
病院に行くまでの道でKANA-BOONを聞いていると、咲き誇った桜並木で必ず結晶星が流れた。
逆に嘘みたいな話だけれど、当時は歌詞の意味などそんなに考えていなかった。時季外れではあるし。
それでも無意識に『何もかもうまくいく』と言ってほしかったのかもしれない。

色んな曲と出会った。
嫌な思いも、楽しい思いも、思い出したくない思いも、一生忘れたくない思いも
多くはなくても、経験とともに私という人を語る年表にひとつずつ書き出せるほどその時々に色んな曲と出会った。

むしろ20歳を超えてからのほうがたくさん音楽を聴いている。
それでも今だカサブタ以上の人生の応援歌は知らない。


今日は何の曲を聴こうかな。

何も変わったことなどなかった一日だったけれど


いつか今日を語るかもしれない未来の日に
あの曲と出会った日だと語りたくなるような
良き思い出の曲となるものを選ぼう。



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