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何万歩より帰る一歩


私は地元に住み続けている。

何か不自由があるわけでもなく、どこか遠くへとも思わず、
ここから抜け出したいなど、一度も思ったことがない。

たぶん、すきなんだと思う。

なんだそのはっきりしない答えはっていうのと
マイナスからしかすきを語れないのかっていうのと
思うところはたくさんあるんだけれど

ここがすきだー!みたいな熱い感情は出てこないのよね。
それがあながち良い方を向くように作用しているんじゃないかと思うんですが。


すぐそばに土手がある。
地元住民のもっぱらの散歩コースで、子供たちもわんちゃんたちも歩きやすいのが良い。
更にはかなりの距離がある。1日歩くに不自由しないその距離は、考え事だったりはたまた無だったり、それぞれに最適だったりする。

バンプの車輪の唄なんかを聴いて、ただひたすら歩くのだが
気付いたら空の色が変わっていた、となるほど
少し浮いているような雑気のない道を進む。

途端に民家との距離が近くなったり、自転車が4つ並んでも余裕があったり
幅は太く短く形を変えて川と一緒に海を目指す。

さすがにそれほど歩けば街は変わるが、回れ右をして同じ道を歩けばすきな街に帰れるというのは
これ以上ない安心感だと思う。
その安心感が足を動かしていると言っても…
うん、過言じゃない。


何十年住んでいても、すきであることをその都度確かめる。
何処かへ行っても帰ってくる。
見慣れた風景が変わろうとも、確かめて確かめて、確かなぬくもりのあるこの街がすきだ。


たぶん。


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