なぜ建設業でDXが進まないのか
DXを推進していくためには、企業によって様々なハードルが存在します。
私自身、DXは現場とバックオフィスが目的を共有し連携していかないと絶対に上手くいかないと考えています。建設業でDXが進まない理由について考えました。
やらされ型のDX
前職の大手ゼネコンでは、DXによる業務改革が進められていましたが、新しい技術の導入やソフトウェアの変更など、上意下達の感は否めず、指示をされて渋々やっている空気感がありました。
従業員はこれまでのやり方に大きな不満を感じておらず、やり方を変える必要性を感じていなかったからです。なんのためにやっているのか分からないDXは、DXそのものが目的となってしまい、現場の浸透は芳しいものではありませんでした。
新しい技術はとにかくやってみないと身に付きませんので、強権的に使用を進めるという判断もあるかもしれません。しかし、利用者の主体性がなければ、高額なソフトウェアは宝の持ち腐れとなり、多額の設備投資は無駄になってしまいます。
大企業であれば、興味を持った何人かが上手く使ってくれればいいという進め方もあるかもしれません。しかし、中小企業においては、簡単に設備投資に踏み切れるものではありませんので、導入にはつい慎重になり、変化に時間がかかってしまうジレンマがあるように思います。
建設業とDX
特に建設業は、一品現場生産という特殊性から、仕事の俗人化や現場ごとに発生する固有の問題など非常に多く、DXが得意とするプロセスの平準化や一元管理が難しく、一気にシステムを導入できない現状があります。
そのため、DXのスタンダードは存在せず、会社に合わせた個別対応が必要となるため、それがDXが進まない大きな要因になっていると考えています。
DXはスモールスタート
私がいつも意識しているのは、ビジネスでもよく言われる大きく構えず小さな規模で素早くスタートするスモールスタートです。
時間や予算のかかる大掛かりな投資をせずに、とにかく小さな規模でスタートし、合わないと思ったらさっさと損切りするスピード感が重要と考えています。
現在は新しいデジタル技術も日進月歩で、特に建設業においては確固たるスタンダード(業界標準)が確立されるにはもう少し時間がかかります。
そのため、各社が自社にフィットした技術を取り入れて、ガラパゴス的に進めているのが現状であり、また順当な戦略でもあります。その段階において、スモールスタートは有効な進め方であると言えます。
DXの着地点を見据える
その際に注意すべきは、スモールスタートした個々の技術を、将来的に統合するビジョンを持つことだと考えています。
企業によっては場当たり的な投資によってシステムが統合しきれず、せっかくの投資が有効に活用されていないという悩みもよく伺います。
DXの目的と共に着地点が明確でないと、「場当たり型DX」となってしまい、最終的にシステムが複雑化し使い勝手の悪いものになってしまうというスモールスタートのデメリットに陥る可能性が高まってしまいます。
当社も、初期に設定した目的を見失わず、うまく着地できるように、今後も前向きにDXに取り組んでいきます。