【エッセイ】ひょん

　ひょんなことから、の「ひょん」が気になって仕方ない。ひょんってなんだ？
　キョンなら知ってる。びっくりするくらい小さい鹿だ。でもひょんじゃない。多分、動物ではないだろう。
　ひょん、ひょん、ひょん…。ひょんのつく言葉って、全然思いつかない。
　ああ、一つだけ浮かぶものがある。大妖怪ぬらりひょん、だ。
　ひょんなことからのひょんとぬらりひょんのひょんは同じなのか？
　調べればわかるのかもしれないが、調べるのは野暮な気がしてできないでいる。調べて答えがあってもなくても、それはそれでがっかりしそうだ。
　そういうわけで、このごろ脳の中にひょんが棲み着いている。その正体を突き止めるまで、しばらくともに過ごすことになりそうだ。