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なぜ自分の悪口や噂はよく聞こえるのか? なるほどな理由

 老け込んだ親の姿にハッとしたことはありませんか? そんな親のきもちや行動を、もしかしたら私たちは誤解しているかもしれません。大阪大学大学院教授で、老年行動学を専門とする佐藤眞一先生のやさしい文章と、まんが家・北川なつさんのマンガで、老いた親のきもちをわかりやすく解説。第6回は「自分の噂だけはよく聞こえるから不思議」です。

 年を重ねて耳が遠くなっているはずなのに、自分の悪口やグチだけはよく聞こえて反応してくる親。肝心なことは耳に入っていないことが多いのに、本当に不思議ですよね。

 人は、特に自分の名前や、自分に関する事柄には注意が向きやすいため、悪口などを言われた時にはよく聞こえるものです。悪口でなくても、例えば病院の待合室で自分の名前が呼ばれれば、すぐに反応することができます。

 これには人の「注意のしくみ」が深く関わっています。「注意を向ける」とは、聞いたことや見たものと、脳の中にある記憶との照合作業。人の頭の中には自分に関する記憶がたくさんあり、名前はもちろん、それらをすぐに照合することができるのです。

 また、パーティー会場のような騒がしい場所で、話している相手の声を聞き取ることができる(カクテル・パーティー効果)のも、注意のしくみによるもの。無意識に雑音を抑制しつつ、相手の声に注意を向けているのです。何かに注意するとは、別の何かを抑制することでもあります。

 自分の噂を聞き取りやすいのは高齢の親だけではありません。人の噂話をする時は周囲に気をつけましょう。

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【Happyアドバイス】
自分に関することには注意が向きやすい。
声にするのは親のグチではなく感謝のきもちにしよう。

(文:佐藤眞一/マンガ:北川なつ)

※この連載は、2017年に発売された『マンガで笑ってほっこり 老いた親のきもちがわかる本』からの抜粋で構成しています。同書の新版『マンガ 介護する人・される人のきもちがわかる本』好評発売中です↓↓↓


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