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秋季号は創作が4本に、新連載もスタート!連載3本堂々完結。インタビュー、対談も充実!<「小説TRIPPER」2023年秋季号ラインナップ紹介>

 2023年9月15日(金)発売の「小説TRIPPER」2023年秋季号のラインナップを紹介します。特集「女性作家による時代小説競作『母親』」では、永井紗耶子さんの直木賞受賞後第一作となる「母の顔」、藤原緋沙子さんの「鈴虫鳴く」、坂井希久子さんの「なんてん」が並びます。江國香織さんの創作「川のある街Ⅲ」で「川のある街」三部作が完結となります。さらに、あさのあつこさんの時代小説連載「飛燕」がスタート。垣谷美雨さんの「墓じまいラプソディ」、大山誠一郎さんの「和山夜羽の5W1H事件簿」、そして佐々木敦さんの「成熟の喪失 庵野秀明とその時代」は今号で連載堂々完結となります。また、塩田武士さんの最新長編『存在のすべてを』ロングインタビュー、西加奈子さん×宮内悠介さん対談「クリシェと向き合い、小説を再発見する」、朝井リョウさん×奥山由之さん対談「"最初の自分"を迎えに行く」と、注目作家のインタビュー、対談も充実。

「小説TRIPPER」2023年秋季号
「小説TRIPPER」2023年秋季号

◆女性作家による時代小説競作「母親」

永井紗耶子 「母の顔」《直木賞受賞後第一作》

 十六歳の絵師の千鶴は、日本橋の乾物商・駿河屋惣兵衛の依頼を受け、妾お仙の亡くなったおっ母さんの似絵を描くことに。身重のお仙が「母になるのが怖い」と話すのを聞き、母親の似絵がそばにあればお仙の心も落ちつくのではという惣兵衛の思惑だったが……。千鶴とお仙のやりとりを通じて、さまざまな“母”の顔が浮かびあがる秀作。

藤原緋沙子 「鈴虫鳴く」

 女髪結のおまつが、浅草寺で迷子になっていた2歳の千太郎を引き取り、共に暮らして13年がたった。ある日、おまつの過去を知る岡っ引の銀蔵が、千太郎の実の両親が見つかったという。それを聞いたおまつは……。育ての母と産みの母、ともに子を思うが故の母の悲哀を、作家生活20年を迎えた短編の名手が描きます。

坂井希久子 「なんてん」

 貧乏長屋の子どもたちに慕われる辰巳芸者の「ぽん太姐さん」には、忘れられない過去があった。口減らしのために吉原の芸者屋へ売られ、大店の旦那の妾になり、ようやく手にした幸せだったが……。ぽん太姐さんに恋心を抱く髪結の源七や面倒見のいい大家夫婦など、貧しくも心優しい人々が暮らす裏長屋を舞台にした人情小説。

◆創作

江國香織 「川のある街Ⅲ」

 芙美子はパートナーの希子とヨーロッパに移り住み、すでに30年以上の時が過ぎた。希子を亡くしてから、いまでは認知症が進み、街を徘徊するように……。薄れ、霞む記憶と色鮮やかに想起される思い出が、運河が張りめぐらされた街を舞台に描かれる。「場所」をモチーフに、あらゆる小説的手法を駆使した「川のある街」三部作、完結。

◆新連載

あさのあつこ 「飛燕」

 高蔵家の長女・徳子が婿に迎えたのは、市中道場で師範代を務める藤十郎。平和に思えた日々は、彼が馴染みの女性と謎の相対死を遂げたことから大きく揺らいでいく。一方で次女のあぐりは、自分の母より年上の商人である紀野屋に嫁ぐと言いはじめ……。性格の異なる三姉妹の生き様を描く時代小説。

◆連載完結

垣谷美雨 「墓じまいラプソディ」

「夫の墓には死んでも入りたくない」。病院のベッドで母が放った言葉から始まった墓問題。それは親類や子供たちを巻き込み、それぞれの墓について考えるきっかけになっていく。「遺骨なんて燃えるゴミに出せばいいじゃない」と言いたくなるほど面倒な、明日は我が身の墓騒動小説。

大山誠一郎 「和山夜羽の5W1H事件簿」

 小学生の大介が初めての一人旅で乗車した列車は、一両を迷路に改造した迷宮号。楽しみに乗り込んだ大介だが、後ろの席の乗客が突然体調を崩してしまう。「毒を摂取されたようです」と推理したのは、ぶかぶかの制服をまとった和山夜羽という車掌だった。一見、能天気に見える彼女だったが、次第に謎への筋道をつけていく。

佐々木敦 「成熟の喪失 庵野秀明とその時代」

「エヴァンゲリオン」新旧劇場版から「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」「シン・仮面ライダー」まで庵野秀明の劇場公開作品を貫くモチーフから、江藤淳が設定した「成熟」と「喪失」という問題系を読み替える試み。50年にわたって問い直されてきた、日本における「成熟」を現代にアップデートする渾身の評論、堂々完結。

◆インタビュー/対談

塩田武士 「「虚」の中で「実」と出会う」

 塩田武士、衝撃の最新長編『存在のすべてを』を語る! 警察関係者の証言を元に書かれた冒頭の圧倒的な誘拐劇、ベテラン新聞記者の矜持、美術界の黒い内幕、最終的に辿り着く圧倒的なエンディング――現実を凝視することから生まれた、類を見ない社会派エンタメの誕生までの道程。

西加奈子×宮内悠介 「クリシェと向き合い、小説を再発見する」

 夏季号に一挙掲載した『ラウリ・クースクを探して』が、はやくも単行本化し8月21日に発売されたばかりの宮内悠介さんと、その単行本に推薦文を寄せた西加奈子さんによる対談は、自分に近い人物を主人公に据えるとき、クリシェを小説でどう扱うかなど、「書くということ」を巡る充実の内容です。

朝井リョウ×奥山由之 「"最初の自分"を迎えに行く」

 デビューから現在まで「時代のトップランナー」として駆け抜けてきた小説家と写真家。公私にわたって親交のある二人が、10年以上にわたるキャリアを振り返りながら、新たな扉の向こう側にあるものをすべてさらけ出す! ジャンルを超えて響き合いながら、表現することの核心へと迫る赤裸々な対話。


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