【書店員さんからの感想続々!】森絵都『獣の夜』
■『獣の夜』書店員さん感想集
とてもよかったです!
どのお話も希望に溢れていて。彼ら(登場人物たちが)がこの先どんな選択をしても、明るい未来を生きる予感がして、幸せな気持ちになります。表題作『獣の夜』はちょっと他の作品と違う、まさに肉々しい話でした。がニヤリとしながら彼女たちを応援しました。
コロナ禍の真っ最中にこの作品群に触れていたら!今とは違う感情が沸いていたかも。読むタイミングで思うことが違う作品たちだと感じました。全部好きな作品たちで一番が選べません・・・!
ちょっと好きすぎて長文になってしまいました。すみません。
(紀伊國屋書店さいたま新都心店 大森輝美さん)
どの物語もおもしろかった。全7編とってもお得。読みごたえ最高。
中でも「あした天気に」がよかった。はればれ。
(椿書房 牧野さん)
成長するにつれて、誰かに合わせたり、自分の気持ちを隠した大人の仮面をつけることが増えてくる。たまには誰かのためにつけていた、大人の仮面を外して自分の気持ちに正直な顔を出してもいいのではないか。そんな、気づかずこぼれ落ちていた感情を取り戻せるような物語。時には「大人を休んで、子どもの頃に戻ってもいいんだよ」という優しいメッセージを感じました。息苦しかった苦しい心に、新鮮な空気が広がるような、解放的でのびやかな読み心地。内に秘めていた心が解き放たれるようで、爽快な気持ちが込み上げました!新しい自分に出会えるような色鮮やかな7編に魅了されました!
(紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん)
“人生とは、嵐が通りすぎるのを待つことじゃない。雨の中で踊る。それが人生だ”ヴィヴィアン・グリーン
7編の短編は長めのものをすごく短いものもあるけど、根底にあるのは最初の作品で出てくるこの言葉なんじゃないかと思った。
いつ終わるかわからない嵐にちぢこまっていてはいけない。自分の太陽をさがして、あしたを晴れにするために、身を入れて生きていかなければ。
(ジュンク堂書店松坂屋高槻店 西本裕子さん)
日常から不意にはみ出し現実から離れていく。苦痛もユーモラスに乗り越えている。十人十色の人生があるし、ちょっと角度を変えて生きていけば新たな道が待っている。短編のおもしろさがあふれてます。
(ジュンク堂書店三宮店 三瓶ひとみさん)
「特に好きと思ったのは『獣の夜』。女性が強いのは元気が出るし、自分の都合の良い行動ばかりとる人たちに負けるな!!そしてジビエ食べたくなる。私もジビエフェス行ってみたーい!!
『あした天気に』はなんかよかった。そんな男やめとけ〜と思ってたら…いや、よかった。結果が良くて安心しました。あとは一平頑張れ。ゴルフでシングルプレーヤーになるのはなかなか難しいぞ!てるてる坊主、久々にお願いするのもいいのかもしれない。
登場人物たちが自分を見つめて前を向いて歩くってイメージが全編からなんとなく浮かんできた。それぞれ置かれた状況は違うのに。私も明日頑張れる気がする。
(宮脇書店 ゆめモール下関店 吉井めぐみさん)
手をたたいて応援してくれる訳ではないが、
読んだ後には少し力が抜けて、がんばろうと思える。
疲れているというよりもちょっとイラっとした時に
落ち着きと活力を与えてくれる、
そんな不思議なやすらぎをくれるサプリのような作品だ。
(ブックマルシェ 渡邉 森夫さん)
私たちの日常はとても不確かで、大切な何かを失うことでぐらりと揺らぐ。その時私たちはどうしたらいいのか。
森絵都さんが描く新たな一歩は時に軽やかに時に力強く私たちを鼓舞する。
まだ慌てるときではない。私たちにはこの本を読んで楽しめる時間があると思った。
(あおい書店富士店 鈴木裕里さん)
朝起きてから夜寝るまで、同じ時間が繰り返される毎日。
目が覚めたときに思う、「あぁ、また今日が始まる」
夜寝るときに思う、「あぁ、また今日が終わる」
昨日と同じ今日。今日と同じ明日。そして明日はきっと昨日と同じ。
そんな日常の、同じ時間の繰り返しがある日少し変化する。いや、変化するんじゃない、変化させるのは、多分、自分自身。
7人が変える、7つの日常。
何も変わらないと諦めて足踏みしているこの足を、少し前に出すだけで変えることのできる明日。
誰かが何かがその一歩に力をくれるのなら、流されるように乗ってみるのもいいよね、とそんな気になる物語たち。キャラメルとクッピーラムネに背中を押されるのもいいんじゃない?
(精文館書店中島新町店 久田かおりさん)
現実と非現実が絶妙に混ざり合い、短い物語からも伝わる強いメッセージ。ひとつひとつのお話が心に染みわたる、大人だってしがらみから抜け出して思うままに行動したり、ちょっと疲れた大人たちに優しく寄り添ってくれる1冊です。
(ジュンク堂書店郡山店 郡司さん)
世の中いろんなことがある。人生って何が起こるかわからないし、未来もどうなるかわからない。
でも、この本にはたくさんの希望があった。
(ジュンク堂書店西宮店 水口真佐美さん)
子供から大人になるにつれ、未来への不安な気持ちに心が揺れる夜があった。
不安な夜でも光が差し込んで、やさしい朝を迎えることができるのだ。
『明日天気になりますように』って空に願いたくなる。雨模様、心が悲しくて雨が降るような気持ちになっても…いつか。晴れる日がきっとくるんだって信じられる。明日を頑張る勇気をくれる物語だ!
(紀伊國屋書店クレド岡山店 河東優衣さん)
明日を生きる元気が湧いてくる作品集!
楽しく、温かく、力強く。
「ポコ」が絶妙!!この短さなのにこれでもか!というぐらい中身が濃い!
森絵都さんはきっと「人」が好きなんだな、と感じました。
(文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子さん)
こんな不思議なことなんてありえない!と思っても、森絵都さんの作品なら心底納得してしまう。ページをめくって泣いて楽しんで笑いあってすっきりしてしまおう。物語を読む嬉しさに満ちた小説だった。
(大盛堂書店 山本亮さん)
素敵で奇妙な短編集。
余韻が長く浸っていられるお話ばかりでした。
獣の夜、スワン、特に好きです。
(福岡金文堂志摩店 伊賀理江子さん)
見果てぬ夢にままならない現実。
束縛と解放、破壊と再生。雄弁な言葉で紡がれた人生の真理。
そして容赦なく暴かれる人間の本性・・・
コクがあればキレもある。心を惑わす毒があれば優しく癒す薬もある。
際どい人間ドラマから溢れだすのは力強い生命力だ。
目の前の風景を一変させ、価値観を揺るがす恐るべき一冊。
読後の騒めきがいつまでも止まらない!
(ブックジャーナリスト 内田剛さん)
山あり谷ありの人生に、ふっと周りを見渡して「もしかしたら乗り越えられるかも」と思わせてくれる。いろんな山、いろんな谷に遭いながらも明日への希望が少しだけ見えてくる、人間への信頼に満ちた作品。
(HMV&BOOKS OKINAWA 中目太郎さん)
どの話もパンチが効いていて、「はあ~、そう来たか~」と声が出る作品です。最初に読んだからかもしれないけれど、“雨の中で踊る”の作中、「必然に抗い、偶然に乗ずる。それが生き方の鉄則です」と来たもんだから、お腹の奥がカッと熱くなりました。なんか全編カッコイイ奴らの塊って気がします。めっちゃ楽しかったです。ありがとうございます。
(未来屋書店名取店 髙橋あづささん)
不思議で、非現実的。なのに共感できる。
すぐに読める長さの作品なのに、心の中にじんわり残る。
人間、過去は忘れるものというけれど、案外昔のことは覚えているものだ。きっかけさえあれば、「あの時」のことが気持ちを揺らす。読む人の心の奥を揺らす作品だなと思った。
(ブックセンタークエスト小倉本店 竹内裕美さん)
あるある、こういうの!と共感したり、クスクス笑ったり。
不思議な余韻の超短編も、心地良く楽しめました。
美味しいミックスジュースを飲んだような、甘い爽快感。
愛らしい物語たちよ、ありがとう!
(蔦屋書店熊谷店 加藤京子さん)
なんか未来って明るいんじゃないか!
(喜久屋書店小樽店 渡邊裕子さん)
出会い強し、友情強し、人生、捨てたもんじゃない。
心あたたまる物語から、少し毒を含んだビターな物語まで、
いろんな感情を味わえる贅沢な短編集!おもしろかったです!!
「獣の夜」は読んでいて爽快でした!!
(未来屋書店碑文谷店 福原夏菜美さん)
ユーモアにあふれたお話たちが私たちを見たことのない場所まで連れて行ってくれる。とても軽やかに。日常のあれこれにがんじがらめになって生きている私たちにこそ、こうした物語が必要なのかもしれない。これは物語という名の処方箋。読み終えれば少し軽くなった体で日常を生きていける。
(金高堂土佐山田店 小松航輝さん)
縮こまっていた心がふわりとほぐれて軽くなった。
ちょっと不思議な、大人のための極上珠玉の短編集。
森さんといえば、「カラフル」「みかづき」などの長編小説が印象深かったのですが、短編もこんなに素晴らしいとは!
すべて好きですが、「獣の夜」「あした天気に」が特に良かったです。
(三洋堂書店新開橋店 山口智子さん)
人生は時に、思いがけない出来事が起こって、様々な選択をする。変化の中で、新たな道へと踏み出していくそんな姿に、気づいたら元気をもらっていました。どの作品も面白くて、思わず笑ってしまったりして、物語にどんどん引き込まれるように読みました。日常に躓いたり、悲しみや諦め、過去の傷なんかもあるけれど、それでも選んで歩いていく人たちの姿に、大切な人の幸せを想ったり、自らも前を見つめ、自分も一歩を選びたくなるような、心が前向きになる、そんな素敵な短編集です。
(宮脇書店青森店 大竹真奈美さん)
何気なく日常のことのような話の中に非日常のことがまぎれ込んでいて、
でも本当にあるのではないかと思ってしまうような感じになる。
読みやすい7編、どこからよんでもよし。また読み返したくもなります。
(くまざわ書店新潟亀田店 今井美樹さん)
気持ちが前を向く小説達でした。
テルテルに他人のことを考えて願う一平の優しさが素敵です。
(旭屋書店アトレヴィ大塚店 北川恭子さん)
「前に進んでごらんよ」と背中を押してくれる。きっとうまくいく。
(エホンゴホン堂 平林早都美さん)
ひとはだれだって、いつだって、ままならないものを抱えている。ふだんは口に出さなくとも、何かしら悩んでいることがある。
この本の登場人物も、そんなひとたちだ。彼らが生活してゆくなかで起こるちょっとおかしな出来事が、彼らとあなたの心を癒してくれる。ゆっくり、一息つきながら、読んでほしい。
(文教堂溝ノ口本店 山根麻耶さん)
日常と地続きの短編だけれど、どこかふわふわと浮遊感のある不思議な読後感でした。コロナ禍のあの閉塞的な雰囲気・もっと頑張っている人がいるのに、と自分を置き去りにしてしまう感覚を思い出しさかのぼって慰められたような気持にもなりました。森絵都さんの言葉の力すごい!!
(六本松蔦屋書店 山田麻奈未さん)
コロナ禍で自分より酷い人たちがいるからと秘めてきた鬱屈が印象的な短編集。
「雨の中で踊る」が一番好きです! 話して楽になるような愚痴すらも外出の自粛で吐露できずに胸に溜まってしまう。不意に履いた海パンから導かれるように海へ、そしてヨースケに出会いトシヤとのセッションに一緒に参加し、自分の可能性が広がるような海外のホテルでの仕事が舞い込む。劇的な変化の芽はきっと身近にいて向こうもこちらの準備が整うタイミングを見計らっているような希望が、タクだけではなく私にもあるような予感がしてとても素敵でした!!
(ジュンク堂書店名古屋栄店 西田有里さん)
コロナ禍で世界的な緊急事態の中、自分の悩みや悲しみはちっぽけなものだと心にフタをして生活してきた。その事を思って、自分を少しなぐさめたら、また一歩すすめる気がした、そんな一冊。
(岩瀬書店八木田店 樋口ゆかりさん)
「獣の夜」意外な展開、でもこういう女友達いるかも、関係最高じゃないか。大人になったからこそ、また変わっていく友情がある気がします。
「あした天気に」過去を変えたはずなのに…。まさかの結末はちょっとほろ苦さもありますが…。気持ちが晴れるような、すかっと元気になれる物語でした。
この2作品が特に好きです。
(AKUSHU BOOK & BASE 石田美香さん)
どれも良かったですが、一番好きなのは「あした天気に」です。私もしばらく見ていないてるてる坊主。てるてる坊主たちの自虐ぶりと強引さに笑いました。淋しい時や悲しい時、「さむざむ」とか使ってみたいです。ちょっと不思議なできごとに隠れていた本心がみえてくる、その不思議設定と真実に気づく心の動きが上手いです。「自分の明日を晴れにできるのは自分だけ」良い言葉ですね。はればれしました。
(平安堂長野店 清水末子さん)
短編とりどり楽しませて頂きました! 豆皿のような短編。
「太陽」「獣の夜」「あした天気に」がお気に入りです。
ままならない日常にちょっとの他力が入ってきて、いい方向に動き出しそうな気がしてくるパワースポット本。
好きなフレーズもたくさんあります。手帳に書きとめておきます!
てるてる坊主は作ろう。
(函館蔦屋書店 宮成珠美さん)
この不思議な物語たちに、現代のギスギスした社会の中で生きている我々の日常に、どこか温もりを与えられる人が多くいることだろう。
(くまざわ書店錦糸町店 阿久津武信さん)
どのお話も勇気をもらえる!
いくつになっても、どんなにままならない人生でも、大丈夫!
そう簡単に人生に横たわる問題は変えられないかもしれない。
けれど自分の心の持ちようで、まだまだ私たちは挽回可能だ!
自分の心との向き合い方、大切な自分の扱い方を教えてくれる短編集。
(東京旭屋書店新越谷店 猪股宏美さん)
こうだと思っていることやこう進んでいくだろうことが、突然、いや必然的にがらっと変わる瞬間、ユーモアとともに切なさと激しさ、様々な熱をもって現れる。その瞬間のなんと解放され、清々しいことよ。そこに登場する人たちは決して自分とはかけ離れた人ではない。だから切実さに自分を見て、救われた気持ちになるのだ。短編なのにすごく濃い人生が描かれた傑作だった。
(ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん)
大切な人、大切にしていたものとの突然の別れが心の奥に小さなとげを残した。喪失感で空いてしまった小さなほころびが日増しに大きくなり自分で知らない間に心に宿った闇に
覆いつくされたしまう。もどかしい日々、拭い去りたいこの悲しみを、掬って欲しい。でもいつまでも立ち止まってなんかいられない。背中を押してもらったから。青い空を見上げ、負けないように少しでも笑顔でいたい。乾いた心のオアシスが、ここにあるから。
(あおい書店富士店 望月美保子さん)
どの短編も、読みやすくて心に響きます。
特に「あした天気に」は、ファンタジーの魅力が詰まっていて好き。
鳴りやまぬ「さむざむ」の連呼や「はればれ」の唱和にクスクスと読みながら笑ってしまいました。
うまくいかない日常を何かや誰かのせいにしていないかなと問われるようです。
人生はやり直しはできなけれど、仕切り直しはできる。
私も久しぶりにてるてる坊主でも吊るしてみようかな。
(NetGalleyより 書店関係者)
どの章もピリっと山椒が効いたような辛口で少し不可思議なテイストもあって味わい深い作品集でした。個人的には最後の「あした天気に」がとても素敵なストーリーでお気に入りです。なんとなく日常に疲れて凝り固まってしまった人達の心をちょっとだけほぐしてくれるようなそんな作品だと思います。
(NetGalleyより 書店関係者)
クスッと笑ってたら、笑えない話だった…。びっくり。(「雨の中で踊る」)。心ってすごく難解なのかと思ったら、意外に単純で、すとんと腑に落ちる瞬間がある。風間先生が名医です。先生にかかりつけ医を是非お願いしたい。(「太陽」)。肉食な大人たち。とことん自分の欲に正直で、眩しくもある。女ともだちっていいな!彼女たちの様に獣になれるならどんなに生きやすいだろう。この夜、彼女たちはより獣と化す。気をつけて〜(「獣の夜」)。短めのお話の中に、生と死の真理が隠されている。そうだったのか!と目から鱗。この世界がより愛しくなる。(「ポコ」)。テルテルかわいい!はればれ!さむざむ!が耳?に残ります。癖になる。これからは、君たちの天下だ。(「あした天気に」)。
(NetGalleyより 書店関係者)
とても読みやすくて、それぞれがおもしろかったです!
クスッと笑えたりハッとしたり、うるっとしたりスカッとしたり…いろんな感情を楽しめました。
全部好きですが、私が特に好きだったのは「夜の獣」と「あした天気に」です。
「夜の獣」はタイトルからは想像もできない内容で、でも確かに獣で。そこにある友情を感じながらめちゃくちゃお腹空きました。しかもスカッとする!なんか元気出ました!
「あした天気に」はファンタジーでミラクルハッピーエンドな内容も好きですが、なにより喋るてるてる坊主が可愛い!しかも言葉のチョイスが本当にツボです。「はればれ、さむざむ」が頭から離れません!心と天気は同じなんだなぁと納得しました。
全てのお話が愛しい気持ちにさせてくれる、素敵な一冊でした!ありがとうございました!
(NetGalleyより 書店関係者)
■書籍データ
『獣の夜』
著者:森絵都
発売日:2023年7月7日(金)
発売元:朝日新聞出版
定価:1760円(本体1600円+税10%)
判型・製本:単行本 四六判上製
<収録全7編>
「雨の中で踊る」リフレッシュ休暇の最終日、永井はふと海を目指す。
「Dahlia」“ATTACK”後、変わり果てた日本で生きる私の見つめる先。
「太陽」原因不明の歯痛に悩む加原は不思議な歯医者を訪れる。
「獣の夜」女ともだちをサプライズパーティに連れ出す予定が……。
「スワン」恋人と乗り込んだスワンボートが見せる心の「澱」とは?
「ポコ」大好きな飼い犬を亡くした小4の朔が心にきざしたある思い。
「あした天気に」始まりは、久しぶりに作ったてるてる坊主だった。