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「この物語を必要としていた」「心底励まされた」感動の声続々!櫻木みわ著『カサンドラのティータイム』への書店員さんの感想を一挙公開

「小説トリッパー」2022年夏号に一挙掲載した直後より、この物語を必要としていた、読み終わって心底励まされたとの声が広がる櫻木みわさんの『カサンドラのティータイム』。2022年11月7日(月)の発売にあわせて期間限定で全文公開をいたします。それに先立ち発売前より続々と届いている全国の書店員のみなさまからの感想を紹介させていただきす。

期間限定全文公開はこちらから

櫻木みわ著『カサンドラのティータイム』(朝日新聞出版)
櫻木みわ著『カサンドラのティータイム』(朝日新聞出版)

自己愛性パーソナリティという言葉を初めて知りました。そして、モラルハラスメントの加害者が、自己愛の問題を抱えているケースが多いということも初めて知りました。知識があるだけで心が軽くなったり逃げたりすることができる。それは大きな力になる。『カサンドラのティータイム』は必ず誰かの力になります。届けたいです。

明屋書店小郡店 村上紗季里さん

言葉による暴力・支配は外から見えず惑わされがちな分、実際の暴力よりも恐ろしく卑劣な行為だと感じました。
一方的に傷つけられ追い込まれた彼女たちが、そこから逃れる術やその後の未来を話し合う場を持つことで生まれる強さ、打ちのめされたように見えて、なお打ち勝とうとする強かさ、すっかり負けた側だと思っていた彼女たちが決して倒れず、強く立ち上がっていく様子に、これは負けていられないなぁ……と活力をもらえるような気がしました。

明文堂書店TSUTAYA戸田 坂本まさみさん

自分の生き方、人との関わり方、近しい人との関係性。
もし悩んでいるとしたら。その悩みを他人になかなか伝えられずにいるのであれば。
この物語があなたの心を動かすきっかけになるかもしれない。
冒頭の話がここで繋がるのか!と読んでいておどろきました。これは本当に読んでよかったです。

未来屋書店碑文谷店 福原夏菜美さん

誰が誰を救うのか、勇気ある行動とはどの選択の先にあるのか。一緒にいたい人は、幸福を分かち合える人であって欲しい。幸せの定義は、人それぞれ、十人十色であるとしても。
私ならどうするか、深く考える機会を頂きました。

蔦屋書店熊谷店 加藤京子さん

モラハラなんていう言葉はわからなくてもいい。
でもパートナーの言動に対して、言葉にすることが難しいことを悩んでいる人が100人いるならば、その内の1人にでも届いて欲しいと思う作品だ。
この作品を読んで感じたことの多くは言葉にすることが難しい。
でも近くに悩んでいる人がいるならば、自分の言葉で話すよりも、きっと伝わることが多いような気がする。

ブックマルシェ我孫子店 渡邉さん

友梨奈の話を読んでると、裏で皆で企んでるように思えてしまいました。
指輪のくだりからして怪しさが漂って、それ以前に連絡先を教えたよって、ダメですよね。もう胡散臭いが炸裂してました。
未知さんの話も、別れて終わりになるかと思ってたら、向き合います!って展開に驚きました。
どちらも傷つかないのは無理かなと思いますが、良い方に向かって行くといいなと思います。
友梨奈が未知に救いの手を差し伸べた、その温かさが伝わってきました。

宮脇書店境港店 林さん

誰かの気づきになる本。
知識は会話の中でよりパワーをふくらませる。
二人はそれぞれしんの部分で自分があってよかった。
力をぬいてホッと一息、世代も性格も違う仲間で会話できるって幸せだ。

未来屋書店高の原店 元尾和世さん

溢れる抑圧の中で……夢に躓いてしまった女性と現実に気づき始めている女性の奇縁が描かれる。共に自由に生きることを邪魔され抑圧されている状況に思え、とてつもなく息苦しい。他人ましてやパートナーの無意識・無自覚の行動に制限され傷つけられる頻度・確率がどうしても女性の方が格段に高いということを突き付けてくる。そして脱する第一歩が、逃げるではなく気づくことからという事実に問題の難しさ根深さを伝わってきます。
最後の諦めではない期待に希望を残す物語。

明林堂書店南宮崎店 河野邦広さん

他人からはわかりにくく、本人も気づきにくい暴力=モラハラを、小説という形で読むことで、追体験をした気になりました。
読んでいると息苦しくなりましたが、希望が見えますね。
問題の闇は深いですが、同じような体験をしている人にとって、救いになればいいと思います。

文信堂書店長岡店 實山美穂さん

被害者本人たちは自覚しづらいモラハラ。自己愛性パーソナリティ障害のパートナー。物語を読んで知る、魅力的で暴力的な男たちの実態。
友梨奈のようにDVやモラハラからは、逃げて距離をとることが正解だと思っていました。一度寝ただけでストーカーなんて騒ぎ立てて、こんな勘違い男こちらから願い下げよ!とあまりの理不尽さにイライラしました。
好きな人が幸せな状態でいられるために、自身が辛い思いをすることがあっても一緒に生活するという未知の選択には驚きました。未知はADHDを抱えているみたいに見えるし、これからも問題の多そうな夫婦だけれど、二人で欠けたところを補い合って幸せになって欲しいです。二人の選択を応援したくなります。パーソナリティ障害に濃淡はあれど、コミュニケーションの上で誰もが抱える可能性がある問題だと思いました。面白かったです!

ジュンク堂書店名古屋栄店 西田有里さん

私は、相手を踏み潰そうと発せられる怒鳴り声が嫌いだ。そこに相手への思いやり気づかいは一切ない。あるのはただ己の感情の爆発、気持ちよさのみ。世の中にはそんな声が溢れている。そんな感情に振り回され、未来を奪われる人たちが一人でも救われますように。
自分を守る方法は相手を攻撃する事ではないと全ての人に知ってほしい。

文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子さん

様々な発達障害があることは最近知られてきましたが、モラハラを受ける女性の立場になると、精神的に打ちのめされる辛さとどうにもならない怒りでたまらなくなりました。
今すぐ逃げてと言いたいのにそれでも離れない人が多いその理由が分かった気がしました。この物語で描かれた全てを受け入れて立ち向かう覚悟を決めた女性の強さ、何かあったらいつでも逃げこめる場所、仲間の存在は、同じような状況で苦しんでいる人たちの救いになると思いました。

ジュンク堂書店郡山店 郡司さん

最近、SNSを通じて耳にするようになっていたタイムリーな内容でした。
正直、わたしももしかしたらなっていたかもしれないかなと思う部分もあります。
それでも旦那が話を聞いてくれる人であったり、好きな仕事ができていたり、趣味があったりしたお陰で、逃げれる場所があったから助かっている部分があります。
家庭という閉鎖的な空間で起こっていて、外には一見してわからない暴力。単純に離れる選択を持つにしてもそれを知った上で一緒にいるにしても、もっともっと周知されなければいけないと見聞きする度に思います。この作品を通じて、自身が、身近な友人が苦しんでいる理由を知るといいなと思いました。

くまざわ書店新潟亀田店 今井美樹さん

自分の身に起こった事を誰にも理解してもらえない恐怖と絶望を体験した友梨奈。ふとしたきっかけで豹変し理不尽な怒りを爆発させる夫に対し悪いのは自分だと罪悪感に囚われる未知。二人が心に受けた暴力が痛くて息が詰まりそうでした。自分の心の奥底に封印していた思いが少しずつよみがえり、あれはこういう事だったのかと腑に落ちる感覚を味わった。これはモラハラだと気付く未知に自分を重ねながら読んだので彼女が選択した道に驚いた。大丈夫なのか!!!
この夫婦の行末はともかく、この二人とのティータイムがあれば未知はしっかりとこれからの人生を歩んでいけるだろう。琵琶湖の湖面に注ぐ陽の光が見えた。この小説を必要とする人は必ずいる。そんな人に届けたいと強く思った。

三洋堂書店新開橋店 山口智子さん

予知能力を持ちながらもアポロンの呪いによって誰からも信じてもらえなくなるトロイの女王カサンドラ。
事の大小によらず、誰でも一度くらいはそんな経験があるのではないか。でもいわゆる「カサンドラ症候群」にとらわれている女性の、その苦しみは、比べようもないほど深い。
女性が、パートナー(や、それに近い関係の男性)から心身に受けるDV。吐き出される罵詈雑言、人格を徹底的に否定する言葉たち。その暴力によって女性は「自分が間違っている」と思い込む。自分が至らないから相手を怒らせるのだ、と自分を責め続ける。周りがどれほど説明し説得しても、「それでも私が悪いからこうなってしまったんだ」という自己完結と無限ループ。
なぜ、きちんと「嫌だ」と、「あなたが間違っている」と言えないのだ、と思ってしまうけど、そうなるべくした過去がきっとそこにはあるのだろう。その相手と出会う前からきっと。
たった一夜の関係で、それまで積み上げてきた人間関係も仕事も生きがいも全て失った友梨奈。恋愛時代から続く夫からの人格否定と不信と口撃によって身動きの取れなくなってしまう未知。
二人の女性の、それぞれの「対応」の違い。逃げられるか逃げられないか。その違いが呪いの深さを物語っているようで。
何も解決しないラスト。これからも続く関係。途中で放り出されたような気になる読後。
続きがどこかにあるんじゃないか、とページをめくる。茫然暗澹、どうしよう。

精文館書店中島新町店 久田かおりさん

読んでいる間、モヤモヤとした気持ちが胸に渦巻いていた。
怒りを覚えるほどに。
二人の女性が受けた、受けている仕打ちは巧妙で、理不尽で、もし自分が…と思うと震えるほど恐ろしい。
自分だったら問答無用で逃げ出したくなる相手に、それでも一緒にいることを選んだ未知の人を信じる強さにすごいと思う。
どうか彼女が幸せでありますようにと祈りたくなる。
二人が出会えたことに、そこに、山久さんという何かあったら手を差し伸べてくれそうな人がいるということに、少しホッとするラストだった。
一方で加害者である彼らには彼らなりの苦悩があるのだろうと思った。

東京旭屋書店新越谷店 猪股宏美さん

価値観の違う男に翻弄される二人の女性。
揺らぐ心と身体から一線を超えた男と女の関係性。
モラハラ、DV、束縛。壮絶なまでの苦痛と苦悩。
危ういバランスで成り立つ日常に救いはあるのか。
そして踏み躙られたプライドから導き出された答えとは?
生々しく切実な魂の叫びが聞こえる一冊だ!

ブックジャーナリスト・内田剛さん

ぐるぐるとまわる自分の気持ちを言葉にできない。読み終えて、目が覚めたような感覚になった。自分が渦中にいると気付かなくなってしまう。傷つけられていると、自分でも気付けなくなっている。声をかけてくれるひとがいてよかった。お茶に誘われてよかった。
「大すきなひとは、人生のなかで何人も出会えない」そうだ、知っていたはずなのに。大すきなひとには伝えなければ。

福岡金文堂志摩店 伊賀理江子さん

モラハラ被害を受けた二人の女性。被害を受けていることに気づかず、自分に非があるかのように内省的になる女性。モラハラは巧妙でわかりにくく当事者の精神をむしばんでいく。二人がつながった時、なにかの予感を感じさせながらも、安易に解決し、希望へと導くのではなく、読者に委ねる、それが小説のすごみだと思う。この社会は安易なものだけでは成り立っていない。ただ、隠れている痛みに苦しんでいる。そして必要な人に届いてほしいと心から思った。連帯とは何て力強い。

ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん

何の気なしにとった行動が、どんどん変なことになる。
自分の中では、これが日常で普通だったものが、普通ではないと気づかされるその絶望的な気持ちが希望に変わっていく……。もっと皆生きやすく、なってほしい……と思った。

ジュンク堂書店西宮店 水口真佐美さん

見えない暴力ほど恐いものはない。
加害者はもちろん、とり込まれた被害者もそれが悪だと気づかない。
窓を開けて外を見てみよう。
ドアをノックしてくれる人がいたら、その声に耳を傾けてみよう。
世界は明るくて広くて、そんなに捨てたもんじゃない。

うさぎやTSUTAYA作新学院前店 丸山由美子さん

男性からの理不尽な暴力・暴言・身勝手な仕打ちに声を上げることも出来ず、ただひたすら耐えている女性がどれだけいるのか計り知れない。彼女達の過酷なこれまでの人生を振り返り、そこから何かを得たとしたら、今持っているすべての知識を誰かのために惜しみなく分け与え、まだ充分間に合うことを伝え、人生の軌道修正を手助けし、あなたを「信じること」を全力で教えてあげたいと思った。

あおい書店富士店 望月美保子さん

自分で選んだ道だとしても間違ってしまうことはある。
教えてくれる人、支えてくれる人、立ち止まれる余裕がなければ、一人ではきっとつぶれてしまう。
必要なのは、強さなのか、弱さなのか、私にはまだわからない。
でも考えよう、学ぼうと、この本を読んで思えた。
知ることはきっと大切な一歩なのだ。

あおい書店富士店 鈴木裕里さん

 表面的に認識できる”いじめ”より深い闇がここにある。
問題は、本人も気付けないこと。
この闇から抜け出す方法は一つ。
強い自分になり軸を持つこと。加害者への(ある意味)依存をおかしいと気付き、手を差し伸べてくれた人の手をしっかり握り、孤独にならないことだ。
今、一人で助けが必要な人に届いて欲しい。

山下書店世田谷店 漆原香織さん

大変重いテーマでありながらも非常に読みやすく、ラストには前向きな強さをも感じさせる一冊でした。多くのかたは勿論、モラハラ等で苦しんでいるかたにも是非読んでいただきたい作品です。

宮脇書店境港店 戎原さん

 あきらめないことをあきらめそうになっているすべての人に読んでもらいたい!!
 特に女性で生きにくさを感じている人は、この一冊に触れてほしい。

くまざわ書店錦糸町店 阿久津武信さん

スタイリスト見習いとして働く友梨奈
工場でパートをする主婦の未知
彼女たちのとった行動や言動は客観的に見れば、どちらも自らが選んだ決断、自ら撒いた種だとも言えるけれど、私達はいつも正しいものを選べるとは限らない。
掴んだその手が間違いだったとき、意図するものと違ったとき、踏みつけられ言われもない扱いをされたことに反論できなかったことには歯噛みするほど悔しい。
精神的な暴力は目に見えないもの。
誰かに話すことで、心の整理ができることもある。
事実を受け止めて、どうするのか。
後ろを振り返らず、一歩前に踏み出す姿がとてもよかった。

NetGalleyより 書店関係者

多かれ少なかれひとは誰でも周囲の人間の感情に影響されながら毎日を過ごしていると思うけれど、身近なひとに振り回されるのは本当に辛い。自分のとった行動によりひどい事態に陥ってしまった友梨奈、特に何をしたわけでもないのに相手の機嫌をうかがいながら暮らさないといけない未知、それぞれの人間関係の難しさやそこから立ち直ろうとする道の険しさを思った。ふたりの行動や考え方から目が離せず一気に読みました。著者の文章は分かりやすく読みやすくて表現も心地よく、とても好きです。

NetGalleyより 書店関係者

言葉による暴力、冷たい暴力は、ともすれば外から見えなくて惑わされ易い分、実際の暴力よりも恐ろしく卑劣な行為だと思います。
カランドラ症候群という言葉は耳にしたことはあったが、実態を伴って理解できたのは初めてでした。そして、その彼女たちを言葉巧みに操る側の病的な行いもまた、改めて理解できました。
一方的に傷つけられ、追い込まれていった彼女たちが、そこから逃れる術やその後の未来を話し合う場を持つことで生まれる強さ、打ちのめされたように見えて、なお打ち勝とうとする強かさ、すっかり負けた側だと思っていた彼女たちが、決して倒れずなおも強く立ち上がっていく様に、負けられないなぁと活力をもらえるような気がしました。

NetGalleyより 書店関係者

先天的(あるいは後天的)な特性が周囲に与えるデメリットが露呈した時、人は社会や組織、家族から排除されていく。
それは一体、誰の課題なのだろうか?
 
誰もが他人事ではない深い問題がテーマになっており、読み応えもあった。まるでドラマを見ているかのように、登場人物の人柄や雰囲気も伝わってきて没頭できる小説だ。
 
しかし欲を言えば、彰吾の視点での思考と葛藤や、未知が深い決心をするに至った出来事や思考、幼い頃の家族の環境などについても読みたかった。深淵をのぞくことにより、読者は更に深く未知の決心を理解できたのではないかと思う。
終盤でやや説明的になり、小走りでゴールを迎えたような印象をもったが、小説の力を信じても良いように思った。
 
この小説を読ませていただき1番深く心に残ったのは、通常ならば漢字で書かれる幾つかの単語が、おそらく意図的にひらがなで書き通されていることだ。
そこにある著者の思いを私なりに理解した時、奥底の方から胸が熱くなった。
この小説を書くに至った原動力は、きっと著者の中にある深くて美しい愛に違いない。
わたし達は、すきなひとの特性を含めて丸ごと大切に思うことができる、優しい世界に生きているのだ。

NetGalleyより 書店関係者

「サプコタさん」のことがわかった瞬間に「えーっ!?」となって、勢いがついてそのまま一気読みだった。
未知が受けてきた仕打ちのところを読んでいて、つらかったし本当にもどかしかった。彼女が悪いわけじゃない、相手が絶対悪い、どうして気づかないのって。だけど彼女が最後に出す結論にハッとした。

NetGalleyより 書店関係者


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