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「思い出は“人混み”」とならないために 「通」な京都旅行2つのポイント

 京都といえば、どこへ行っても人人人、人の波……というイメージが強い。コロナ禍の今こそ人出が減ってはいるようだが、平時に戻れば多くの人が訪れることが予想される。思い出は「人混み」。なんてことにならないように、愉しくて有意義で心に残る「通」な京都旅行のしたいものだ。生粋の京都人で歯科医師、かつ作家でもある柏井壽氏の著書『できる人の「京都」術』(2017年刊、朝日新書)から、「通」な京都旅行2つのポイントをお届けする。

 まず、あらかじめ調べておいた名所の中で、2カ所に絞り込みます。そのさい、2つポイントがあります。

 第1のポイントは2カ所の距離が遠く離れていないこと(できれば歩いて移動できるのが望ましい)。第2のポイントは2カ所に共通の、もしくは関連するストーリーがあること。

 この2カ所を半日掛けて観て歩くのがベストです。つまり午前中に2カ所、午後に2カ所を回って、1日で4カ所の名所旧跡などを観光するのです。僕はこれを「カップリング歩き」と名付け、京都を訪れる友人知人にすすめています。やみくもに数か所を駆け足で巡るより、はるかにゆったりしていて、かつ記憶に残るのです。

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 サンプルをひとつご紹介しましょう。

 JR京都駅の八条口から歩いてたどれるふたつの社寺。「六孫王神社」と「東寺」です。知られざる神社と、誰もが知る寺。この二つをカップリングして観て歩きます。

 京都駅の八条口から徒歩15分ほどの「六孫王神社」は、観光名所ではありませんが、清和源氏発祥の宮という、歴史上重要な位置にある神社です。それほど広い境内ではありませんが、小さな池があり、そこに架かる石の反橋が往時の雰囲気を漂わせています。春には桜が咲き乱れ、花見の隠れた名所でもあります。

 この社のすぐ南にあるのが観光地としても有名な「東寺」。その「東寺」と「六孫王神社」を結ぶものが、六孫王神社の池の端に建つ<誕生水弁財天社>にあります。清和天皇の六男として生まれ、「六孫王」と呼ばれていた源経基が六孫王神社の始まりです。その経基が、子・満仲誕生の折に、琵琶湖の竹生島から勧請した弁財天を祀り、安産を祈願し産湯に使ったことから<誕生水弁財天社>と呼ばれるようになりました。その竹生島に請来し、社に祀った弁財天像は弘法大師の作だと言われています。

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 くしくも「東寺」は、嵯峨天皇が弘法大師に下賜して託した寺院。そう、2つの場所をつなぐのは「弘法大師」なのです。

 こうした縁で結ばれるふたつの社寺をカップリングしながら歩くと、より京都旅行が深く心に残り、学びも多く、愉しみのあるものになるでしょう。