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たゆたう軽石の下に美しい海があることを知っている【毎日note】#72

あんな大きなプラスチックゴミもとりのぞけないのに、軽石なんてなくせるわけないじゃないか、と思っている。

みんな、言うんだよ。軽石のせいで、きれいな海が・・・って。

気持ちはよく分かる。私も、いつも通っているポイントが軽石で埋め尽くされて水面というものがなくなり、すこし呆然とした。

だけど、ゴミで埋め尽くされた海岸よりは、軽石の方がましだと思う。自然のものだもの。砂や、珊瑚の死骸が堆積しているのと、さほど変わらない。

もちろん、海に光が射さなくなり、水温が通常より下がっているかもしれないし、光合成をする生き物は死んでしまうかもしれないし、軽くて浮いてしまう軽石を魚が呑みこんで窒息死したりしている。先週釣り上げたメッキの一匹は、口の中に軽石が入っているようで、ジャリという音が聞こえた。

大量の軽石の漂流は、もちろん大変なことだ。人間にとってはもちろん、海の生物たちにとって。

その実害は横に置かせてもらって、「きれいな海の見栄えが悪くなってしまった」という反応には、違和感を隠しえない。

確かに(人工ばかりの)白いビーチはねずみ色になり、光を反射してエメラルドブルーに輝くはずの海面はマーブル状に鈍い灰色で覆われている。

でも、まるで今まで海に汚い見栄えの悪いものがなかったかのような言い方はどうしても共感できない。

人間が海を漂うゴミを無くせるなら、軽石に対してできることも、あるかもしれないね。

ちょっとささくれだった心で、そう思う。

沖縄の海は、今日もきれいです。軽石の下で、人間が出したゴミの横で。

そのゴミには、釣りをする私の不手際で海に残すことになってしまった、ルアーや糸や針も含まれている。




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