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読書log#6 言語を研究する / 全国アホ・バカ分布考

「アホ」と言う地域と「バカ」と言う地域の境界線を探すというテレビ番組の企画を、1から追うルポタージュのような本。

言葉についていくつか新たな視点が得られたので、それを書いていこうと思います!


地域独特の言い回しってどうやってできたの?

同じ日本語を使っているとはいっても、
同じものを指して地域によって違う呼び方をすることがある。

例えば、カタツムリは、
地域によってマイマイともでんでんむしとも、つぶりとも呼ばれるという。

こうなったのは、
京都で使われていた言葉が
京都を中心として同心円上に広がった結果であるらしい。

違う呼び方が存在するのは、言葉に流行り廃りがあるから。

つまり、京都から遠い地域で使われている言葉は、昔々の京言葉ということだ。

この説を柳田国男が主張し、
「アホ・バカ分布」もこの説を支持する形で完成していた。

なるほど、京都が文化の発信地であったというのは本当なんだなぁ。
流行の最先端の地で覚えた言葉を使いたいという気持ちはよくわかる。

昔はきっと言葉は人伝いに伝わっていったんだろうけど、
今はどうなんだろうな。

言葉のグローバル化

インターネットで、世界中の人といつでもどこでも会話できるようになってしまった今、
方言はどうなってしまうんだろう。

新しく覚えた流行ってる言葉を使いたい!という気持ちはそのままに、
言葉の伝わる速度だけ早くなってしまったら、
もう柳田国男のいうような言葉の広がりは起きないんじゃないだろうかと思う。

言葉がうまれて
流行って
廃って
おわりになるのかな。

地域ごとの個性というより、
同じ傾向をもつ集団内で個性が出てきそうな気がする。

例えば、
私は男性アイドル好きな妹の言う、「セトリ」「ムショ」とかは全くわからないorz

逆に、妹が私の発する言葉に対して「なにそれ?」となる時もある。

ちょっと違うかも..?

ともかく、ネットで言葉が広まるようになったら、極端な話方言がなくなって、言語が画一的になってしまうのではないかと心配になる。

画一的になってなにが困る、と言われると、
何とは言えず...
誰かこの感じを言語化してください😭

言語を研究する

なんとなく、この本の著者は「日本人」に夢を見すぎていないか?
と思う箇所がたびたびあった。

なんというか、「日本では直接的に相手を貶めるような言い回しはしない」という主張が頻繁に出てくる。

私は、日本人だって酷いこと言う時あるでしょう、と思ったが、
日本人の傾向としては筆者の主張が正しいのだろうか。

私が筆者の研究スタイルで驚いたのが、仮説と違う、自分の考えと違う結果になった時、筆者が諦めないということだ。

スポーツなら、自分の思うようにできなかった時諦めずに努力するという姿勢も頷ける。

でも、調査で結果が出て、それでも諦めないという姿勢にはびっくりした。

諦めないでいいの!?

結果でてるのに?

そんなふうに考えたりもしたけれど、
一人の人間が1から、むしろゼロから
研究をスタートさせ、分布図を完成させるところまでの軌跡を見られるのは
ドキュメンタリーみたいでおもしろかった!

私も大学で、こんなふうにいきいきと研究ができたらいいなあ✨

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