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出版社名を付けるのは難しい

南インドに関する書籍を刊行しようと思っていたとはいえ、実はまだこのときは阿佐ヶ谷書院という出版社名はありませんでした。取次と交渉するときまでに決めればいいやぐらいで、それよりはまずページ構成などの打ち合わせに時間を取られていました。井生明さんと春奈さんご夫妻、マサラワーラーの武田尋善さんと鹿島信治さんの4人による共著となるからそれぞれの担当ページはひとりの著者が書くようなときに比べれば分量は少ないとはいえ、『地球の歩き方』などで原稿を書いたりしている井生明さん以外は、原稿書いたりするのは初めてのこと。だから章立てなどもぼくも参加しながら決めていきました。

南インドの観光、祝祭、料理、音楽、映画、暮らしなどテーマ分けして、その中の細かいセンテンスは考えてもらったり。ジャリカットゥだのテイヤムだのコーラムだのこのあたりはまだ未知の世界だった人も多かったと思います。料理にしてもミールスやティファンぐらいをなんとなくは知っていても、細かく紹介している書籍もまだ少なかったと思います。だからこのあたりを知りたかった人ってのは、ぼくを含め少ないながらもそれなりにはいるんではないかと思ってました(このあたり知りたいかたはぜひ『南インドカルチャー見聞録』を読んでみてください)。

編集作業と同時進行でやらなければいけなかったことが、出版社の立ち上げ。これについては前回出てきた神保町にある取次、JRCと取引できればと思っていましたが、そのとき相談させていただいたのが、同じJRCを使って出版社をやっていた編集室屋上の林さやかさん。出版社の立ち上げ方とかJRCと取引の際の条件とか教えてもらいました。

出版社の立ち上げには、まずISBNが必要になるわけで、ISBNを取得するには当然ながら出版社名が必要なので、2014年夏にそろそろ決めなくてはと、いくつか名前を考えていたんですがこういうのは難しいですね。ご存知のかたもいるかと思いますが、ISBNを取ることはすごく簡単で、日本図書コード管理センターに申請するだけです(もちろんお金はかかりますが)。極端な話、個人名でも取れます。ただ、いちどその名前で取得したら途中から名前の変更ができないので、慎重に決めなくてはならないんです。最初はぼくの大好きな楳図かずおや手塚治虫のマンガのキャラから取ろうかなとかから始まり、好きなバンドの歌のタイトルから取ろうかなとか考えたりしながら、阿佐ヶ谷書院とは別の名前でほぼ決まりかけていたんですが、日が経つに連れてなんかその名前が恥ずかしくなってきて、結局ぼくが阿佐ヶ谷在住だから「阿佐ヶ谷書院」という、シンプルながらも落ち着いた感じのいい名前になりました。もう引っ越ししづらいんですが、個人的には気に入っています。

無事にISBNも取れたし、南インド本のタイトルも著者メンバーと喧々諤々しながら結局『南インドカルチャー見聞録』に決まり、JRCに相談しに行くことにしました。次回は出版社と取次の関係についてなども。


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