彼が『大学を辞めたい』と言った日

文:森下 栞


お久しぶりです。
最後に私個人の日記を投稿したのは去年のこととなってしまいました。


気がつけばもう3月です。花粉がこんにちはしていますね。


3月といえば大学の成績が発表される時期です。

夜も眠れないほど心配していた私自身の卒業認定は、めでたく合格でした、、!

4年生の最後の最後まで授業を受け、滑り込みセーフという形でしたが、結果オーライで自分を褒めます。

おめでとう。



と、私の話はここまでにして。
今回の本題は、私の彼についてです。


本日、彼が『もう大学を辞めたい』と私に言いました。


その時、私は泣きました。

涙が出た理由はよく分かりません。
同情なのか、自分が何もできないもどかしさからなのか、世の不条理に対する怒りからなのか。

いや、何かがとにかく悲しかったのかもしれません。
その言葉に込められた意味が複雑すぎて、素直に受け入れることは不可能で、私にとってはかなりパワーワードだったわけです。


彼は、アジア圏出身の私費留学生です。

生活費や学費などすべてを日々のアルバイトの給料でまかなっています。


そんな中、大学前期で授業を1つ落としたことにより、大学後期の学費がググッと上がりました。

そのように学費があがる仕組みを私はさっぱり理解できないままですが、きっとそれが学校のルールで、厳しさなのだと自分に言い聞かせています。

これは、仕方のないことなのだと。

仕方のないこと、というより、黙って従うしかないことと思っていると言ったほうが正しいかもしれませんが。。。



大学後期の成績が発表され、彼は思うように単位を取得できず、また学費が上がるのではないかという不安に押しつぶされそうになっていました。

元気のない細い声で私に電話をかけ、

『こんなことなら、もう大学辞めたいんだよ、、、』

と言ったのです。


学費が上がれば今よりもっと生活は厳しくなるし、
単位が取れずに卒業できないのであれば在籍し続けることも疑問になる。

学費の支払いと大学に通う意味を今必死に天秤にかけている状態なのではないかと思います。

ずっとギリギリの生活を続けてきた彼が、そんな風に言うのは初めてでしたが、

(ついにか、、やっぱりそうだよなぁ。)
という気持ちも片隅にあり、
辞めたいという気持ちを真っ向から否定することはできませんでした。

もし学校を辞めればビザが下りず、日本に滞在できなくなることをお互い分かっています。

だからこそ、たとえ落ち込んだ気持ちから咄嗟に発した言葉だったとしても、彼の言葉は深く突き刺さりました。


私にできることといえば、留学生にそんな言葉を言わせてしまう状況に対してひたすら悩み、考えることくらいです。

明らかに大事な何かが抜け落ちている今の日本の制度を変えていく力は、残念ながら私にはありません。
大学の専攻分野で研究したくせに、あまりにちっぽけな存在の自分に心底絶望してしまいます。


そしてこれは、彼に限らず、ほかの私費留学生にも。
場合によっては、留学生に限らず日本の大学生にも当てはまることと思います。

学びたいと望む学生に、そのような理由で「学校をやめる」という選択肢を与えてしまう仕組みの不条理さに、

うわあーーーー!!!と発狂したくなるような夜でした。


彼の一言に、とても悲しくなった夜でした。

#大学 #留学 #卒業 #日記

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