戻ってこない道化ポーズ

昨日は10年来の付き合いの、大学の時の後輩の家にお邪魔した。
色々な話をしていたら昔一緒に行った旅行の話題になり、後輩が9年前の写真を引っ張り出してきてくれた。

一緒に全日本駅伝を見に伊勢まで行ったのだった。
当時の私は大学4年生で、就職が決まらなくていわゆる「就活鬱」だった。
元気を出すために駅伝を見に行ったのかもしれない。

それにしても驚いたのは、私の写真の写り方だ。
カメラに向かって道化のようなポーズをきめている。
それも何枚も。
こんなポーズをしていたことを、私はまるっと全て忘れていた。
こんな道化ができるくらい、元気だったのか……。
就活鬱と言いながらも、当時は大したことなかったのかもしれない。
だってこんなポーズ、うつ病じゃできない。

道化ができるほどの元気があった自分のことをすっかり忘れていたのが悲しくなった。
つらい思い出ばかりが頭に残って、楽しいことはすぐ忘れてしまう。
そういえばここ数年、性格がさらに暗くなったような気がする。
道化をやっていた自分を忘れるくらい、うつに侵食されている。

良くも悪くも人は変わる。
あの頃に戻りたいわけじゃない。
ただ、もうどうしたって道化ポーズができない今がいいってわけでもない。
元気は、戻ってこないのかな。
うつというズブズブ沼に飲み込まれていくだけなのかな。