見出し画像

ギャガーに、光の下に引っ張り出してもらった話

私は双極性障害を患っている。20歳の頃からなのでもう4年ほどずっとだ。

これは、そんな私が手を引かれ、太陽の下に引っ張り出してもらった話。

2021年1月。私は数年ずっと日々暗闇の中で暮らしていた。1歩も動けない日なんてものはざらで、外に出れる日なんて1週間に2〜3日しかなかった。毎日が地獄。なにかが私を追い詰めるかのように日々見えないものに怯えていた。

そんなある日。知人のおすすめでとある芸人さんの動画を見た。タイトル「ギャグミテ」。なんだ?と思いながら再生すると、サツマカワRPGという男の人が、ギャグを見せたがっていた。そしてギャグを始めた。

「インド人降りまーす」

最初ははてなでいっぱいだった。ギャグというものを理解してなかったのかもしれない。ただ、それにはなにか心が少しふわりと浮くような感覚に陥った。

これが「ギャグ」「ギャガー」への認識と出会い。

そこから私は沢山動画を見た。
それはそれは沢山見た。
そしてウォータースライダーのように沼に飛び込んでいった。

そんなハマりたてのある日。2月22日にサツマカワRPGの単独ライブのお知らせが目に入った。
私は迷った。芸人のライブには行ったこと無かったことと、こんな狂気にまみれた人間を生で見た時、感情はどうなってしまうのだろうかと。

でも行きたかった。私に動画という形で小さな楽しみをくれた人を全身で浴びたいと思った。

悩みながらも私はチケットを取った。その時点で今の私はなにか変わるかもしれないと感じていた。この暗闇の中での生活に一筋の光がささってくる可能性を。

当日。演劇は今まで沢山見てきたものの、芸人さんを見に行く時のルールなどわからず、緊張しすぎて開場の30分も前に着いてしまった。
見知らぬ小さな劇場の入口。恐る恐る下北どーんのドアの前で待った。
するとスタッフさんが中から出てきた。
「サツマカワRPGさんのライブを見に来たのですが、ここで待てばいいですか?」
「本人に確認しますので少々お待ちください。」

すると重たいドアの奥からかすかに声が聞こえた。

「いいよぉ〜〜〜〜」

私は心臓のドキドキが止まらなかった。私が今まで見てきた、一筋の光が、この重たいドアの奥にいる。

そして私は、初めて彼を見ることとなる。

詳しいことはこちらを見ていただければわかると思いますので、リンクの方に飛んでいただければ幸いです。


このレポ漫画のように、目の前に現れ、「大人しく待ってるんだぞ!」というサツマカワさんに対して私は少し泣きそうになっていた。本当にいるんだ。どこか夢のようなふわふわとした存在だと認識していた人が目の前にいる。それだけで私は、今日来てよかったと思った。

ライブが始まる。


そこは私が思っていたよりも、ずっとずっとすごい世界が広がっていた。

一筋の光だったものが、太陽に包まれたような大きな陽の光に変わった瞬間だった。
ライブの内容が「光」だったわけではない。その空間、そのギャグ、その瞬間、彼の人柄、一つ一つが私の中に光として差し込んでいって、気がつけばライブは終わり、私は帰る道で立ち尽くしていた。ゆっくりと飲み込んだ後、また行きたいと思った。

そして、生きたいと思った。


それからというもの、ライブがある度に私は行った。
下北どーん、新宿Fu、ナルゲキ…。
どこへだって見に行きたいという気持ちがあった。追うことが苦だと思ったことは1度もない。単独ライブがある度に私は光を求めて駆け回った。

こうして私は暗闇での生活で光をくれたサツマカワRPGという存在に出会い、人生が変わった。

冒頭でお伝えした通り、私は双極性障害だ。部屋から出れない引きこもりで、ご飯も食べずひたすらベッドで蹲っていた、そんな私が、ギャガーを求めていろんな所へ飛び込めるようになった。こんなことがあるだろうか。今になっても自分が信じられない。現在、病状も安定していて、職にも就こうと頑張っている。とてつもない進歩である。

今私は人生がとても楽しいと感じている。彼をきっかけに色んなギャガーを知り、色んな芸人さんを知り、知らない世界をたくさん経験している。

この前はキングオブコント二回戦に初めて行って、怪奇以外の芸人さんを沢山見た。ゴッタニにも行って名前だけしか存じ上げなかった芸人さんを沢山見た。
どれも全て楽しかった。

知らない世界を見せてくれた彼、陽の光の温かさを教えてくれた彼に、私は私のできる「見に行く」という形で応援し、これからも楽しんでいきたいと思う。

最後に、こんな重たい文章をここまで読んでいただきありがとうございます。芸人さんきっかけで繋がっていただいたフォロワー様、読んでいただいた全ての皆様に感謝を込めて。

元気な幹夫より。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?