俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]2-1

俺達は大地の魔人ジライゲンを倒して英雄と呼ばれるようになった。魔人相手に3人で立ち向かい(ドラゴン含め)勝つ事が出来たのはかなりの功績だった。
さらに勝利したときに手に入れたスキルがあった。それは
「大地。」
大地とはジライゲンが持っていた能力の事だったはずだ。なのになんで俺がもってるの?
「?大地の魔人がやられて新しく魔人が誕生してそれが俺になったとか?」
「いや、魔人の能力は生まれつき持ってるか、新しく魔人に継承、つまりお前に託す。みたいな儀式をしないと能力は継承されないらしいぜ。ジライゲンがお前にそんなことしてないだろ?」
確かにそれもそうだ。ん?
「あれ?キースのスキルなんだっけ?」
「俺はナイフスキルと、逃走本能だけど。」
「俺のスキル欄に……」
・大地
・ナイフ使い
・逃走本能
・モンスター使い
「え?大地以外に3つ??え?全部で4つ??んん??」
「どうなってんだ?もしキースのスキルだとしても、何で俺が持ってんの?倒した奴の能力だと思ったけど。」
俺的な想像では倒した奴のスキルを奪えるあるいは使えるようになるのかと思ってたけど、キースの事は別に倒してねぇけど…
「俺様も倒されたわ!ギルドにケイゴが入ってきた時にドアでガンしただろ!忘れんな!」
「あれも倒した判定なのか?ジライゲンと違って死んでないだろ。」
「死んだら倒した判定ならそうだけど…俺は死んだと思ったね!」
うーん……でもそれが理由じゃない気がするなぁ。
「どうやったらスキルが増えるのか分からん……あとモンスター使いって誰のスキルだ?」
「まあそこはもう別に良いけどさ、ケイゴこれからどうするんだ?」
「そこは別に良くねえけどどうするって…あぁ、ハマリングを出るのかってことか?」
ハマリングは街の雰囲気も好きだし英雄になった気分も悪くない。けど、せっかくゲームの世界にきたし、冒険も楽しみたいから旅に出ようかと思っている。
「俺は旅に出るかなぁーやる事ないし。」
「そっか。よし!じゃあ次の街は何処に行くか相談だ!北西にある鍛治の街シジンミなんてどうだ?賑やからしいぜ!あとはタテッホに行くか?あのじいさんにそのまま会いに行くとか……」
「え?仲間になってくれるって事か?」
てっきりジライゲン戦の共闘でお別れかと思ってた。俺は人との関係が長続きしないから今までの経験上そうだと思っていたのだが。
「は?そりゃそうだろ!なんたってあのじいさんの孫が言ってたみたいにお前この辺の事なんも知らねえだろ。心配で仕方ねー。」
「い、いいのか?俺の仲間に?」
「お前自分をなんだと思ってんだよ!魔人との戦いで勝てる程頭が切れる策士じゃんか!俺様はアホだから戦闘方法とか分からねえし、お前がいてくれた方が良いんだよ!それで納得してくれたか!?」
「……、お前自分でアホって言っちゃうんかい。」
「う、う、うるせぇな!自分では天才だと思ってるわい!」
「ありがとう。確かにお前は俺がいないとダメだな!俺の仲間になってくれ!」
「おうよ!言われなくてもなってやるよ!戦闘は俺様に任せろよ!」
戦闘面では意外にも頼りになるキースが仲間になってくれた。こいつは頭はパーだけど良い奴で戦闘センスがあるのは間違いない。これで俺の初めてのパーティメンバーができた。
「そうだ!一回俺らでクエスト出てみねえか?俺の知略とキースの素早さがあれば勝てるだろ!魔人も倒したし!」
「それもそうだな!魔人倒したしな!」
ギルドでクエストを受けられるというのでギルドに戻る。入った途端に誰かが走ってきた。
「ああ!英雄様!あなた方のお陰です!ありがとうございます!」
「…!あんたは…!」
ドラゴンと共にいて俺が助けた人だった。涙を浮かべている。
「俺はあの時、ジーブスが死んだと思いましたが、希望を捨てずにあなた方が戦ってくださっている間にジーブスを病院に連れて行けました……!そのお陰でジーブスの命が助かりました!本当にあなた方がいなかったら助からなかったかもしれません!ありがとうございます!!」
「えっ!あの人生きてたんですか!良かった!ドラゴンも喜んでるでしょうね!」
「はい!ドラゴンは彼のペットモンスターですが、あのとき私達の言う事を聞いてくれたドラゴンにも感謝しないとですね。」
「そうですね。無事で良かったと伝えておいて下さい!」
彼は嬉し涙を浮かべてギルドを出て行った。
するとキースが、
「なあ、感動してるところ悪いけど[モンスター使い]のスキル持ってたのってジーブスって人じゃないか?」
「いやでもジーブスさん本人とは話してもないんだぞ?違う気がするけどな……」
心あたりがあるとすればゼンじいか。ゼンじいもにわとりもどきを仲間にしてたしモンスター使いのスキルを持っていてもおかしくはない。
まあそんな事は置いておいて、クエストが紙として貼られているボードの前に行った。
「こんなかから一つクエストを取ってエスリアさんに渡すんだ。」
「ほえー何何?どんなのがあるんだ?」
・ゾンビロードの討伐
・家の周りの雑草取り
・肩たたき
・掃除
・話し相手
・洞窟に行って鉱石採掘
「2/3がクエストっぽくねえ!」
「まあ、依頼だから日常的な奴が大半だな…王都は魔物が多いから討伐依頼の方が多いんだけどな。」
でも見た感じこれだけだった。最初の街だもんなぁ。
「討伐はゾンビロードだけだな…どうする?」
「もう一度いうぞケイゴ…俺らは魔人を倒せたんだぜ?ゾンビロードなんて魔人と比べたら雑魚に等しい。つまり……」
――
「ぎゃぁあーーーーーー!!!」
「と、と、逃走本能!うぎゃあーーー!!」
「そうだ!俺も!逃走本……ぎゃあーー!!」
ゾンビロードとはゾンビの上位互換ってだけじゃなかった。魔法が使える奴だった。(キースは魔法が使えることは知っていました)ゾンビロードは体はゾンビ映画に出てくるようないわゆるゾンビだが、魔法使いの服装をしている為、頭良さそうに見える。しかし、ゾンビの為喋れる訳ではなく、アァーとかオォーとか言って呪文を出している。さらに、攻撃してくる所がうざくて高台の上から撃ってくるのだ。これでは迂闊に近づくこともできない。
「おいキース!呪文って詠唱に時間かかるんじゃねぇのかよ!ぎゃあっ!あいつバンバン撃ってくるけど!うえっ!」
「多分、うわっ!あいつはスキル[短時間詠唱]を持ってるなっ!うっ!そのスキルがあると魔法の呪文の詠唱が少し短くなるから簡単な呪文だったらバンバン撃てるんだよ!」
何だよそれ!あいつは簡単な弱めの呪文を2、3秒詠唱してからすぐ撃ってくるのだ。俺らはレベルが低い為体力もそんなに高く無いからちょっと掠ったらかなりきついのだ。
これははっきり言って無理ゲーだ。
「うわっ!もう[逃走本能]も限界だ!逃げるぞ!これこそ本当の逃走本能!!」
「た、た、退避ーーー!!!」
――
「ぜえ、はぁ、ぜえ、はぁ、し、死ぬかと思ったぜ……。」
俺とキースは全力で逃げ帰って来て一度ギルドへ帰った。どう考えても俺らの戦闘能力ではゾンビロードに勝てる気がしなかった。
「このままだとこういう敵に遭遇した時何も出来ずにジ・エンドだ。つまり俺らの最優先事項は!」
「「遠距離攻撃ができる新しい仲間の確保!!」」
俺とキースの心が一つになった。
さて、遠距離攻撃ができる新しい仲間を加入させるためにエスリアさんに頼んでみた。
「すみません、新しい仲間を募集したいんですが…」
「仲間募集ですね!はいどうぞ。」
そう言って渡されたのは一枚の紙だった。この紙に自身のパーティの長所や、募集するメンバーの条件などを書き込んでクエストボードの横にある募集ボードに貼っておいて、目にしてくれた人が俺たちの所へ来てくれるといった物だ。よーし、
・どんな人でも大歓迎!
・特に遠距離攻撃が得意な人を探しています。
・メンバーは大地の魔人を倒したケイゴとキースの2人だけです。
・集合場所:ギルド4番テーブル
「こんな感じかな?」
「いいんじゃね?よし、俺らは昼でも食って待ってるとするか。」
「そうだな。」
俺らはギルドに併設している食堂でサンドイッチを買って集合場所であるギルド4番テーブルに腰掛けた。ギルド内には沢山の人が話したりクエストを受けたり俺らと同じく飯を食っている。サンドイッチを食べ終えると、
「ふわぁ〜、眠いし寝るかぁ〜果報は寝て待てだ。おやすみ。」
キースはそう言ってテーブルに顔を伏せた。するとすぐに寝息が聞こえてきた。はんやっ!
「さて、俺は暇だし自分のステータスでも見てるか。」
ステータス
レベル:17
HP:50
攻撃:12
特攻:7
防御:10
特防:6
素早さ:69
なんか異常に素早さだけ早いな。中学のとき陸上部だったからか?レベル17のままだけど、スキルが急に増えたのと何か関係があるのか?あとこのレベルの平均がどれくらいなのか知りたいな…多分低い方だけど……キースに聞くか……
「あの、ちょっといいですか?」
「うーん俺は強いのか弱いのかどっちなんだ?」
「いや知らんわ」
突如目の前に現れた女の子にツッコまれてしまった。

2-1  完

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