俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]0-3

「…………………っ、どこだここ?」
俺は見知らぬ森に倒れていた。さっき外で晩飯と「爆進!シナリオぶっ壊せ!」を買って帰ってきたばかりなのにだ。疲れて夢でも見てるのだろうか?弟にゲーム見せてやろうかと思って階段を登ってたら突然目の前が暗くなり、ここにいた。やっぱり夢だろうな。
「ウワアア!助ケテ下サイ!!ウワアア!」
「ギャハハハ!弱っちいロボだな!!」
ん?何だ?近くで叫び声が聞こえる。俺は少し歩くと何やら妙な生き物を発見した。小さいロボだ。120cmくらいのロボが追いかけられている。誰にかというと10mほどある人間だった。巨人かと思った。だが、ファンタジーでもあるまいし、ただのロボットショーだろう。巨人は棍棒を振り回してそのロボットを追いかけ回しているというかなり珍妙な光景である。
「ハッ!ソコノアナタ!助ケテ下サイ!!」
「はぁ!?むりだろ!こんなデカいやつ!助けを求めんな!後何で追われてんだよ!」
「ギャハハ!何だ?人間のガキか?賢明な判断だなっ!俺たち巨人族には手も足も届かないぜ!!」
やっぱり巨人の役か。でもショーなんだとしたら客に話しかけるなよ!
「先にテメェを殺してやるか。おらっ!」
「は?」
ガコン!
「な!?お前!?壊れるぞ!?」
なんと巨人役が俺に向かって棍棒を振り下ろしてきたのだ。なんて迷惑なショーだ。そして俺と棍棒の間にロボットが飛んで攻撃を受け止めたのだ。
「ハ…ハイ…助ケヲ求メマシタガ、何モアナタガ怪我ヲシテホシイワケデハアリマセン。ヤハリ、オ逃ゲ下サイ!早ク!!」
「おい!これショーなんだろ!ちょっと中止を…」
「はぁ?何言ってやがる!?確かにお前の殺人ショーだけどなぁ!!」
ドォン!!
「いやいや!まさかこれ現実!?」
俺は棍棒を避けようとロボットを抱えて横に避けたが足を擦りむいた。しっかり痛かった。ってことはこの棍棒に当たったら……死ぬ。
「いつの間に異世界に来てたのかよ…」
「大丈夫デスカ?アナタ二[スキル]ハアルノデスカ?」
「は?スキル?異世界だからか?ってことは最強のスキル持ってたりするのか?」
「ハイ!分カリマセンガ、目ヲ瞑ッテ考エルノデス!」
俺は目を瞑りスキルを確認した。
「お。これは………」
「ギャハハハハハ!!!何してんだぁ!?さっさとくたばれ…」
ザギャンッ
「カァッ!?」
「首ガ!?」
巨人の首が地面に落ち、粉となって消えた。
「[急襲]か…使えるスキルだ。Aが658、Bは342だから戦士とか盗賊とかがいいかな?あとはCが458、Dが647だから物理型特殊高耐久って訳か。使いやすそうだ。Sも申し分なさそうな496。いいステータスだな。」
「ブ、分析シテイル?ア、アナタハイッタイ……?」
「俺?俺は卜部真一郎。この世界では[急襲の魔人]って奴らしいぜ。」
ステータス欄にはこう書かれてあった。
急襲の魔人スキル:急襲
・体を透明にすることができる。
・相手が気づく前に攻撃を当てると、急所に当てることができる。
かくして[急襲の魔人]卜部真一郎(うらべしんいちろう)はケイゴと同じゲームワールドに現れたのであった。
さらにこれはケイゴがゲームワールドに来る一週間前なので、一週間で魔人の力をものにした1000年に1人の逸材の爆誕であった。

0-3  完

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