◆追悼・大好きなこゆきへ
愛犬こゆき、18歳。
2024年6月1日の深夜、虹の橋を渡りました。
結婚してから6年。
ずっと猫派を自称していたぱぱはボロ泣きで「寂しいなぁ、寂しいなぁ」を繰り返し、何でみんな葬式で酒を飲むのか解ったわ、と言いながら、大して飲めないお酒を買いにいきました。
子どもがいないわたしたち夫婦の、宝物。
愛しくてかけがえのない娘みたいなミニチュアダックス。
もうあなたのもふもふの毛に顔を埋めて匂いを嗅げないかと思うと、何かを催促するときの ワン!という甲高い声を聞けないかと思うと、おやつをくれるかと思ってわたしを見上げる期待に満ち満ちたキラキラのおめめを見ることができないかと思うと、まだあとからあとから涙が流れてきます。
でも、あなたと過ごしたかけがえのない、幸せで美しい時間。それはずーっとままの、そして多分ぱぱにとっても宝物です。
愛してるよ、こゆき。
大好きだよ。
うちの子になってくれて、本当に本当にありがとうね。
あなたはイタズラなんてほとんどしたことがなくて、お買い物カゴからこっそり持ち出した大好物の人参の袋も、開けずにそのままおなかの下であたためてるような子だったね。
注射でも、一度だって痛がる素振りを見せたことがなくて、いつも獣医さんを感心させてたっけ。
人が来たら、小さいくせに番犬よろしくワンワン鳴くけど、椅子に腰をおろした人はだいたいお客様扱いで、おやつをもらったらコロッと鳴きやんでたよね。
お散歩はそんなに好きじゃなくて、歩き始めて15分もしたら『抱っこ』だったなぁ。
ぱぱのお仕事の都合で引っ越した田舎で、一度牧草地に放したら、枯れ草が肉球に刺さって小さなケガをしちゃったのを見て、ぱぱが「なんて軟弱なんだ!」って呆れてたっけね。
すっかり箱入り娘に育てちゃって、それは本当に申し訳なかったよ。
お風呂が嫌いで、気配を察知したら固まってたっけ。でも賢い子だから、観念したあとは借りてきた犬みたいにおとなしかった。
タオルで拭き終わったあと全身でストレスを発散するべく走り回って転げ回るあなたを笑いながら追いかけるの、大変だけど楽しかったな
抱っこすればくたくたと柔らかくて、持ち上げるとながーい胴を見て、猫飼いのお友達が『猫みたい!』って驚いてたよね。
実際、人間にはほとんど媚びず、いつも気高くて、晩年はお肉のキューブやジャーキーよりもかつお節やカニカマのおやつを好んでたあなたは、ほんとに猫みたいだったなあ
基本的には人間の事情には何食わぬ顔だったし、あなたが可愛くて仕方ないままがあなたにおめかしさせようとすると、いつも虚無顔になってたよね
そんな顔も可笑しくて可愛くて愛しくて、いつも無理やりチュウしようとしてゴメンよ。
そのたびに、あなたの強靭なお鼻力で「えいっ!」てアッパーカットを食らって遠ざけられてたっけ。
そうだ。
あれは確かこどもの日。
妹が急に「おねえ!見て!見て!」って笑うから何かと思って振り返ったら、見事なまでに虚無顔のあなたがいて、笑っちゃった。
妹ちゃんは、あなたの変顔を撮らせたら名人だったなあ
だけど、カブトの写真はその後ままのお友だちのデザイナーさんの目に留まって、ポストカードにしてもらったんだよね。
このこゆきちゃんは、何もかも見通す目をしてるから、RPGに出てきたらこんなキャラかなって、って見せられた画像は、ずーっとうちの玄関のシンボルだったんだよ。
実を言うと、あのデザイナーさんも6年前に、天国に行っちゃったんだ。
優しい人だったから、見つけたら声をかけてくれると思う。よろしくお伝えしてちょうだいね。
こうやって見返すと、ままのスマホはあなたか、ご飯か、ぱぱばっかり。
あなたがいなくなってしまったこの世界で、あなた以外の何を撮ればいいのでしょう。
小さな小さなあなたがいなくなってしまったこの世界の大きな大きな穴を、塞いでくれるものはありません。きっと一生見つからない。
でも、この大きな暗い穴も、抱きしめたまま歩いていけること、もうままはどこかで知っている。
ままのお父さん、あなたの前の家族だった先代犬のニックお兄ちゃん。
大きなふたつの穴が空いてしまったこの身体と心でここまで生きてきたんだ。
だからあなたがいなくなってしまったこの世界の埋まらない穴も、あなたが遺してくれた大切なものとして、抱きしめて歩いていくね。
あなたがおうちに来てくれた頃と違って、今は愛するぱぱもいてくれるしね。
ぱぱとケンカしたらいつもあなたに愚痴っていたから、これからは前より仲良くしなきゃなあ。
食べることが何より大好きだったこゆきちゃん。
苦手な獣医さんに行っても、診察や治療が終わったら先生がおやつをくれるから、それを楽しみにしてたっけ。
痛いお注射や手術のあとでも、先生のお顔をキラキラした目で見つめて嫌がりもしないあなたには、先生も嬉しそうにおでこゴツンしてたよね。
先生は動物大好きなのに、やっぱり痛いことして嫌われちゃうから、こうやって懐いてくれる子はやっぱり嬉しいし可愛いよね、って涙目で言われた時は、ままも釣られて泣いちゃった。
昨日、先生にあなたのことをお知らせして、これまでの感謝をお伝えして、もしもらって頂けるならって、あなたのために買ったけど、結局あなたに食べられることも使われることもなかった山のようなシート、おむつ、おやつ、ご飯を寄付してきたよ。
先生は「大切に使いますね」って言ったあと、寂しくなるなあ、って呟いて、泣いてくれました。
初めて先生とお会いしたぱぱと3人で、またあなたを思って泣いちゃったよ。
生い立ちのせいか、いつもどこかクールだったけど、そんなあなただからこそ、全力で「好き!」を示してくれる瞬間の、何と尊く輝かしかったことか。
本当に毎日、お泊まりで居ない日や入院以外は、本当にほぼ毎日一緒のお布団で寝たよね。
最期の3日間は、あれだけ食べるのが好きなあなたがご飯もおやつもお水も受け付けなくなって、痙攣や下痢や嘔吐を繰り返す姿を見て、何度も泣いちゃってごめんなさい。
今にして思えば、あの辛い3日間は、ただあなたが衰弱していったというよりも、もしかして最後にあなたが持てる力の限りを振り絞って、未熟なままとぱぱのために心の準備と覚悟をする期間をくれたんじゃないかと思ってるんだ。
辛そうな姿を見るのこそが辛くて、もう頑張らなくていいよ、楽になっていいよって、健気に生きようとするその姿を見てるだけで涙が出るようになるまで、あなたは生き抜いてくれた。
亡くなる前の日、ままの顔を見ながらクンクン鳴いたあなたを抱っこしたのが最期になっちゃったことを思い出すたびにまだ胸の奥が締めつけられるように痛むけど、安らかになっていた寝息が止まる瞬間を見守ることができて、最期にたくさん「ままとぱぱのところに来てくれてありがとう」って伝えることができて、それだけは、それだけは、良かったと思ってる。
3週間くらい前から、もう歩けなくなってたこゆきちゃん。
目とお鼻はしっかりしてたけど、耳もまったく聴こえなくなっちゃってたこゆきちゃん。
もう、あなたを縛っていた可愛くて尊くて、でも、ちょっぴり重かった肉体を離れて、今頃は他のわんこよりもちょっぴり短いおみ足で、元気に天国までの虹の橋を渡っていることでしょう。
たくさんお願いしたから、きっとままのお父さんと、ニックお兄ちゃんが迎えに来てくれてるよね。
大好きだった犬用おっとっとも、お芋も、カニカマも、好きなだけ食べていいからね。
もう、何もかも我慢しなくていいからね。
あなたとの思い出は、ぱぱと過ごしてからの6年間だけでも語り尽きることはありません。
6歳でままの娘になってくれてから、12年。
あなたへの感謝は、伝えても伝えても伝えきることができません。
ままはいつか、やっぱり虹の橋を渡ってそちらに行くでしょう。
その時はまた、少しでいいからあったかくて香ばしいあなたの毛に顔を埋めて、その優しくて幸せな匂いをもう一度嗅がせてくれたら嬉しいです。
現世では子どもを持つことが出来なかったけど、願わくば来世では、あなたやニックお兄ちゃんの本当のままになれたらなあって思うんだ。
嫌じゃなかったら、でいいけどね笑
最期に。
もう一度。
ままのところに来てくれて、ぱぱとままをたくさんたくさん笑顔にしてくれて、元気にしてくれて、幸せにしてくれて、本当に、本当に、本当にありがとう。
大好きだよ。
愛してるよ。
ずっとずっと忘れないし、いつだって思い出すからね。
そうしたら、何かの漫画で読んだみたいに、天国のあなたの周りには、キレイなお花が降るのかな?
そうだといいな。
それじゃあ、いってらっしゃい。
わたしたちの娘、こゆきちゃん。
またいつか逢う日まで。
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