見渡すかぎり春のみどり 英国旅行2016その2
2016.04.22
2日目 ロンドン-カーディフ
「コーチ」と呼ばれる高速バスでウェールズへ向かうため、七時前にホテルをチェックアウトし、ディストリクト・ラインでヴィクトリア駅へ。地下鉄駅とナショナル・レイルは結構近かったけど、ヴィクトリア・コーチ・ステーションはちょっと離れていた。
ここからウェールズの州都カーディフで一泊、その後ソールズベリーで一泊してロンドンに戻ってくるという旅程で、スーツケースを持って歩くのは厳しいな……預けられるかな……と出発前から懸念していたのだけれど、レフトバゲッジはすぐわかったし、あっさり預かってもらえた。よかった!
高速バスに乗り込む列に、大荷物を持った赤ちゃん連れのムスリムの女性がいて、係員さんと何かイレギュラーっぽいやりとりをしていた。荷物といっしょに預けるためにベビーカーを畳もうとした彼女が、手に余った赤ちゃんをバスの係員さんに差し出して、係員のおじさんはちょっと戸惑ったふうだったけど、にこりともせず赤ちゃんを抱きとってあやしはじめた。並んでいる人たちはみな笑顔で見守っていて、私も思わず笑った。
ロンドンに来てから、すれ違いざま荷物がちょっとぶつかったりしたときに無視されたことがない。私が悪かったようなときですら「Sorry.」と言われる。とても些細なことで「人間扱いされている」と感じるのは、日本のラッシュで疲れているからだろうなあ。
(もっとも、ぶつかっただけですぐ謝るのは英国人の「マナー」の問題では? と現地留学中の友人Uは言っていた)
車窓から、一面黄色に染まった野原が見える。
行きの飛行機で隣になった人(イギリスで仕事をしていて戻るところだという日本のひとで、親切にしてもらってありがたかった)に行き先を訊かれて、カーディフ、と答えたら「菜の花がとてもきれいだ」と教わったことを思い出す。そのとおりだった。
馬が放牧されていたりもする。
Uがバス停まで迎えに来てくれていた。公園を抜けて、おすすめだというカフェでラザニアを食べた。
着いてすぐ、街のうつくしさにおどろいた。Uが留学していなければ訪れようと思うこともなかった街なので、Uに心から感謝した。来られてほんとうによかった。
マーケット、アーケード街、カーディフ大学、カーディフ国立博物館やBBCドラマ「SHERLOCK」の撮影に使われた階段や建物の窓などを案内してもらう。
授業があるらしいUといったん別れて、ひとりでカーディフ城を観光した。「キープ」という中庭の要塞と、戦時中に防空壕として使われていたトンネルが印象に残った。あと戦史博物館みたいな施設があって、微妙な気持ちで見学した。
再びUとおちあって、Uが暮らしているシェアハウスにお邪魔してコーヒーを飲んだあと、プリンス・オブ・ウェールズというバーに連れて行ってもらった。Uの学友のイタリア男子・イタリア女子・インド女子が同席して、にぎやかな夜だった。観光客でも日本人は少ないのか、イタリア男子に「このテーブルには日本人が二人もいるよ!」と珍しがられて面白かった。
せっかくの国際交流の機会だったのに、疲労でいつもよりさらに頭が回らず、ほぼまったく話せなくて残念だった……
天気があまりよくなく、ときどきにわか雨に降られたのだが、風が強くて傘をさしにくい。街の人々はだれも傘なんか使っておらず、ウィンドブレーカー兼レインコートのようなフード付きの上着を着ている。
足元が冷えてかなり寒かったので、バスタブにお湯をはってつかった。ひとり旅だということもあり、ホテルをちょっと贅沢(当社比)して正解だった。
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