土地相続

あれから一年が経ったようだ。

「その節は誠になりがとうございました」

というハガキが届いたのは昨日のこと。土地相続の件だ。

一年前に遠い親戚から手紙が届いた。古い名義の土地があるからそれを整理したいという。調べると猫の額ほどのどうってことない土地。相続者は80名にも及ぶという。

田舎の土地だから価値があるものではない。しかも80名もの相続となると手間がかかるばかりの話だ。

手紙には5000円が同封されていた。「無事に手続きが完了すれば、別途謝礼を」と書かれていた。

5000円×80名、別途の謝礼、手続きの手間等を考えると、逆に感謝しかない。僕は素直に捺印した書類を返送した。

あれから一年。未だ手続きは完了していないらしい。素直に応じない人間がいるらしいのだ。80名もの関係者があれば、そういう人間もいるだろう。

「もう心が折れそうです」

手紙にはそう書いてあった。

僕も相続の話には何度か関わったことがあるので、その気持ちはよくわかる。

決して「金が手に入るぞ!わははは!」とはならない。こういった話は考えただけで気が滅入るのだ。

相続の話は時間が経てば経つほど複雑になっていく。僕自身のことも今から考えておく必要があると思うのだ。

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