意識の回遊
気がついたら考えたくもないことが頭の中をグルグルと巡っている。
「そんなことしないほうがいいよ」
友達のひとこと。どうしてそんなお節介なことをいうのだろうか?それをしたからといって、あなたに迷惑をかけたわけじゃないでしょう?むしろ誰にも迷惑をかけていないでしょう?
いや、ここは少し冷静に考えてみよう。ひょっとして迷惑をかけているんじゃないかって前提で考えてみよう。
…。
いや、どー考えても迷惑なんてかけていないでしょう。大きなお世話でしょう。
私の考えが正しくて、あなたは間違っている
私が上であなたが下
いつの頃からか、友達はそんな押し付けをしはじめた。一度、どういうふうに考えてしまうと、もう、なにもかもが押し付けのように思えてくる。
まるで会社のお局さま。
私のいうこと聞いてりゃいいの。間違いないんだから。
影でなんていわれているのかも知らない女王様。いや、きっと知っている。知っていて、それすら気にならないくらいに強くなってしまったのだ。それが彼女の生きる術。
可愛げのない女だ。
だからなに?
あぁ、これも差別だっていわれてしまうの?踏みにじられた僕の気持ちはどうしてくれるの?
***
「ごめんねぇ、知らずにいてねぇ」
電話をかけてきたのは親戚の叔母。まるで僕がせめらているよう。知らせなかったのは僕なのだから。
いやいや、それは本当に僕のことを心配してくれているのかもしれない。わざわざ電話をしてくれるくらいなのだから。
1年前に転勤になったとき。僕は母方の親戚にはその旨を伝えた。父方の親戚には伝えなかった。後者は苦手なのだ。苦手意識は関係を疎遠にする。
「留守の間、掃除しておいてあげるってお父さんが言ってるのよ」
「じゃあ、お願いします」ってなるかよ!断るのをわかっていて、親切心を押し付けてくる。親切の押し売りが大好きなこの家族。
「時間があったら手伝うんだけどねぇ、これから用事があってねぇ」
手伝う気もないのにそんなことをいう。いうばっかりで一度だって手伝ってくれたことはない。
こっちは手伝って欲しいなんて微塵も思っていないのだから、その気がなければわざわざそんなことをいわなくてもいいのに。
ついつい、言葉の裏を探りたくなっちゃう。
***
目の前にいるのにメールで仕事の依頼をしてくる会社の先輩。なんで?言葉をかわすのがイヤなら自分でやれば?
「○○さん、今メール送っといたんで、それお願いしますね」
他の人には声をかけているのに。イジメ?パワハラ?
不思議なのは普段の会話はそつなくこなすってこと。本当に嫌いならガン無視されてもいいはず。
「あんたはできるからいいよな」
先輩にそういわれたことがある。僕を認めてくれてる?自分でいうのもアレだが、僕はたいていの仕事はそつなくこなす。でも、その先輩はいつもバタバタしている。そのくせ仕事は進まない。
そういう目で僕は先輩を見ている。そんな気持ちが伝わってしまっているのだろうか?プライドを傷つけているのだろうか?
グルグルとまわる考えは結局は僕の頭の中だけの話。真実は全く別のところにあるのかもしれない。それを知る術なんてない。だったら、全てがプラスになるように考えればいいじゃないかと思うも、小さなプライドみたいなものがそれを邪魔するのだ。
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